2017
09.20

秋のさかりにAu cœur de l'automne

Marie Lafôret La vin de l’été


マリー・ラフォレMarie Lafôretの「秋のさかりにAu cœur de l'automne」は彼女の声の魅力がよく発揮された歌だと思います。1963年。作詞・作曲:ミッシェル・ジュルダンMichel Jourdan、アルマン・カンフォラArmand Canfora。1969年のアルバム:La vin de l’étéに収録されています。
陰暦8月は、今年の新暦では9月20日~10月19日にあたり、秋らしい風情が最高潮なので「盛秋」と呼ばれます。この曲のタイトルはちょうどその頃のことで、夏が恋の季節で秋は別れの季節、という定番とはまた違った季節感があらわされています。



Au cœur de l'automne 秋のさかりに
Marie Lafôret      マリー・ラフォレ


Au cœur de l'automne
Ce soir, deux enfants
Me rappellent qu'il y a longtemps
Notre amour de même
Notre amour de même
A fleuri tout en se cachant
Nous n'avions pas encore l'âge
Pour ce grand voyage
Que l'on fait lorsqu'on est grand
Et pourtant l'amour lui-même
D'une voix lointaine
Nous chantait "Je vous attends"

 秋のさかりに
 今宵、二人の若い子たちが
 私に思い出させる、遠い日の
 私たちの同じような愛を
 私たちの同じような愛は
 こっそり隠れつつ花開いた
 大きくなったらするような
 この大旅行に出る年頃には
 私たちはまだ至っていなかった
 けれど、愛は
 遠くから聞こえる声で
 私たちに歌っていた「あなたを待っている」と

Au cœur de lautomne2


Au cœur de l'automne
Ce soir, deux enfants
Ont les yeux perdus dans le ciel
Notre amour de même
Notre amour de même
Espérait vivre au grand soleil
Mais nous vivions en cachette
Loin des bruits des fêtes
Nous attendions le printemps,
Le printemps pour avoir l'âge
De n'être plus sage
Et pour nous aimer vraiment

 秋のさかりに
 今宵、二人の若い子たちが
 目を空にさまよわせている
 私たちの同じような愛
 私たちの同じような愛は
 赤日のもとに生きたいと願っていた
 けれど、私たちは隠れて生きていた
 祭りの喧騒からは遠ざかって
 私たちは春を待っていた、
 春を、もうお利口にしていなくていい
 年になるために
 そして本当に愛し合えるために

Au cœur de lautomne1


Au cœur de l'automne
Deux enfants bientôt
Connaîtront leur premier matin
Autant que l'on s'aime,
Presque autant que nous,
Eux aussi s'aimeront
Demain

 秋のさかりに
 二人の子どもたちはまもなく
 最初の朝を知るだろう
 人々が愛し合うのと同じように
 私たちと同じように
 彼らもまた愛し合う
 明日



Comment:0
2017
09.15

ヴェローヌの恋人たちLes amants de Vérone

Isabelle Aubret Les amants de Vérone


1949年のアンドレ・カイヤットAndré Cayatte監督の映画「火の接吻Les amants de Vérone」は、セルジュ・レジアーニSerge Reggiani とアヌーク・エーメAnouk Aimée が主演。筋書きは、ロメオとジュリエットの物語の映画撮影に、主役のスタントマンとして雇われた二人が恋に落ち、ロメオとジュリエットの悲劇そのままの運命を辿るというもの。音楽担当は ジョゼフ・コズマJoseph Kosma。

映画と同じ原題のLes amants de Véroneという曲を1965年にイザベル・オーブレIsabelle Aubretが歌っています。ジャン・フェラJean Ferratの作曲で、「太陽の子供たちDeux enfants au soleil」と同様、作詞はクロード・ドレクリューズClaude Delécluse。Véroneの仮名書きを用いて「ヴェローヌの恋人たち」としましょう。ロメオとジュリエットの物語の舞台である街ヴェローヌに、「あんたはあの二人をどうしちゃったの?」と訊きます。「ロミオとジュリエット」の話自体はフィクションですが、イタリアの新婚旅行の定番都市といえば、ヴェローナ。「ジュリエットの家」と呼ばれる建物があり、バルコニーでの記念撮影はカップル旅行の定番で、庭に作られたジュリエット像の右胸に触ると幸せな結婚ができるともいわれます。
ミッシュル・ポルナレフMichel Polnareffの「ジュリエットとロメオのようにComme Juliette et Roméo」は、恋人の理想であるあの二人のようになりたいという、ポルナレフにしてはたいへん素直な内容でしたね。
ちなみに、劇団四季の「ヴェローナの恋人たち」は、シェイクスピアWilliam Shakespeareの第一作とされる「ヴェローナの二紳士The Two Gentlemen of Verona」をミュージカル化したものでロメオとジュリエットには無関係。



Les amants de Vérone ヴェローヌの恋人たち
Isabelle Aubret      イザベル・オーブレ


{Refrain:}
Vérone
Qu'as-tu fait
Des deux amants si beaux
Qui s'appelaient je crois,
Juliette et Roméo ?

 ヴェローヌ
 あなたどうしちゃったの?
 とっても美しい二人の恋人たちを
 その名はたしか
 ジュリエットとロメオだったわね

Les amants de Vérone
Sont à jamais couchés 
Est-ce donc pour mourir
Qu'ils se sont tant aimés ?
Plus de baisers donnés,
Plus de corde au balcon
Le temps qui brise tout
N'a laissé que de l'ombre.
L'alouette qui chante
Pour annoncer le jour,
Ne verra plus s'enfuir
L'amoureux et l'amour.

 ヴェローヌの恋人たちは
 永遠の眠りについた
 じゃあ二人があれほど愛し合っていたのは
 死ぬためだったの?
 もう口づけも与えられず
 バルコニーにはもう縄梯子も無く
 時がすべてを破壊し
 幻影しか残さない。
 時を告げて
 さえずるヒバリは、
 愛し合う恋人たちと恋が
 去る姿をもう見ることはないわ。

Les amants de Vérone1


{Refrain}

Les amants de Vérone
N'irons plus au jardin,
L'iris bleu de la nuit
Peut refleurir en vain.
Si parfois deux colombes
Inclinent un peu le cou,
C'est que le vent murmure
Quelque chose de fou.
Mais leurs cœurs apaisés
Ne craignent plus l'aurore
Et dans leurs mains trouées
La rose brûle encore.

 ヴェローヌの恋人たちは
 もう楽園に行くことはなく、
 夜の青いアイリスは
 むなしく咲くことでしょう。
 もし二羽の鳩が
 すこし首を傾げていたなら、
 それは風が
 おかしなことをつぶやくから。
 けれど安らいだ彼らの心は
 もはや夜明けを怖れず
 そして穿たれた二人の手のなかには
 今もバラが燃えているわ。

Les amants de Vérone2


{Refrain}

[注]  à jamais「永遠に」で「けっして…ない」ではない。



Comment:0
2017
09.09

眼前の刑務所の壁Le mur de la prison d'en face

Yves Duteil Tarentelle


イヴ・デュテイユYves Duteilの「眼前の刑務所の壁Le mur de la prison d'en face」は、パリ14区のサンテ刑務所Prison de la Santéをテーマにした曲です。先にご紹介した「夜の通行人に捧ぐHommage au passant d'un soir」には、天文台大通りAvenue de l'Observatoireが出てきますが、その天文台はリュクサンブール公園 Jardin du Luxembourgの南に位置し、そのすぐ近く、アラゴ通りBoulevard Aragoを隔てたはす向かいの南東にサンテ刑務所はあります。歌詞に出てくるモンパルナス・タワーTour Mont-Parnasse.、セルジュ・ゲンズールSerge Gainsbourgの眠っているモンパルナス墓地Cimetière du Montparnasseなども近辺にあります。
サンテ刑務所に収容された著名人としては、詩人のギョーム・アポリネールGuillaume Apollinaire、作家のジョルジュ・ベルナノスGoerges Bernanosとジャン・ジュネJean Genetが挙げられます。日本人としてはアナキストの大杉栄、カニバリスト(?)の佐川一政が。

ギョーム・アポリネールはその体験を、詩集「アルコール」(1913年)に収録された詩「ラ・サンテ刑務所にてÀ la Santé」(1911年)であらわしています。
その最後の6節目の前半
J’écoute les bruits de la ville 私は街の物音を聴く
Et prisonnier sans horizon そして視界を持たぬ囚人の身の
Je ne vois rien qu’un ciel hostile 私に見えるのは悪意のある空と
Et les murs nus de ma prison 刑務所の裸の壁だけ 
が、この曲のヒントになったように思えます。
歌詞に挿入した写真をご覧ください。サンテ刑務所の壁は、並じゃない風情を持っています。この姿を見れば、この歌詞を作ったイヴ・デュテイユの気持ちが分かる気がします。でも、この壁は改装中で、2019年には新しい姿に生まれ変わるとか。

いえいえ、そんな注釈抜きで、この曲を味わって下さい。ほんとうに魅力的な曲です。1977年のアルバム:Tarentelleに収録されています。



2007年のEntre elles et moiでは、Véronique Rivièreとデュオで歌っています。急きょ自分で動画を作りました。



Le mur de la prison d'en face 眼前の刑務所の壁
Yves Duteil            イヴ・デュテイユ


En regardant le mur
De la prison d'en face,
J'entends tous les ragots
Et les bruits des autos,
Boulevard Arago,
Qui passent,
Sur les toits des maisons
Qui servent d'horizon, 注1
Un bout de la tour Mont- 注2
Parnasse.

 眼前の刑務所の
 壁を見ながら、
 僕はいろんな噂話や
 アラゴ大通りを、
 通る、
 車の音を聞く、
 地平の代わりとなる
 家々の屋根の上には
 モンパルナス・タワーの
 端っこが

Le mur de la prison den face3


L'hiver on voit les gens
Dans les maisons d'en face,
L'été les marronniers
Les cachent aux prisonniers
Et les bruits du quartier
S'effacent,
Quand l'école a fermé
Combien ont dû penser 注3
Au jour de la rentrée 注4
Des classes.

 冬には
 向かいの家々の人々が見える
 夏はマロニエの木々が
 それを囚人たちから隠し
 界隈の物音は
 消える、
 学校が休みになった時
 クラスが
 再開する日を
 どれだけの人が思ったことか。

Le mur de la prison den face2


En regardant le mur,
J'imagine à sa place 注5
Les grillages ouvragés
D'un parc abandonné
Explosant de rosiers, 注6
D'espace,
Les grillages ouvragés
D'un parc abandonné
Où les arbres emmêlés
S'enlacent.

 壁を見ながら
 僕はその代わりに想像する
 一面に
 バラの木々を爆発させる
 さびれた公園の
 凝った作りの柵を、 
 もつれた木々が
 たがいに絡み合う
 さびれた公園の
 凝った作りの柵を。

En regardant le mur
De la prison d'en face,
Le cœur un peu serré
D'être du bon côté, 注7
Du côté des autos,
Je passe
Et du toit des maisons
Qui ferment l'horizon,
Un morceau de la Tour
Dépasse.

 眼前の刑務所の
 壁を見ながら、
 壁のいい方の側にいることに
 少し心を締め付けられながら
 車たちの傍らを
 僕は通る、
 そして地平をふさぐ
 家々の屋根から
 タワーのかけらが
 抜きん出る。

Le mur de la prison den face5


[注]
1 servir de qc.「(…として)役立つ、(…の)役目を務める」
2 la tour Mont-Parnasse「モンパルナス・タワー」
3 フランスの新学期は9月。rentréeだけで「夏休み明け、新学期、新学年」の意味。
4 ontの主語はcombienで複数形扱い。
5 à sa place「それ(彼、彼女)の代わりに」。saはle mur「壁」。
6 explosantはexploser「爆発する」の現在分詞。比喩的な表現だが、あえて意訳しないでおく。
7 le bon côté de la routeは、「車が通行すべき側」(フランスでは右側)を言うが、ここでは、刑務所の壁の内側に対して外側を言っている




Comment:0
2017
09.04

キャトル・セプタンブル駅Station Quatre Septembre

Vanessa Paradis Love Songs


Quatre Septembre今回はヴァネッサ・パラディVanessa paradisの「キャトル・セプタンブル駅Station Quatre Septembre」です。先にご紹介した「城壁Le Rempart」同様、作詞・作曲:バンジャマン・ビオレィBenjamin Biolayで2013 年のアルバム:Love Songsに収録されています。
タイトルはStation 4 Septembreとも表記されますが、パリ2区にあるメトロ3号線の駅で、オペラOpéraからブルスBourseまで東西に走る通り、la rue du Quatre-Septembreの中央に位置するのでQuatre-Septembreという駅名が付けられました。そもそもその通りの名称は「9月4日」の意味で、皇帝ナポレオン3世の廃位と第三共和政の開始が宣言された1870年9月4日を記念して付けられました。右上の地図は、通りと駅が出ていてちょうどいいので、ブック・オフさんお借りします。宣伝になるので許してね(#^.^#)
ついでながら、おもしろいエピソードを。昨2016年のエイプリル・フールの日に、RATPがパリの13のメトロの駅の駅名表示が言葉遊び風に変えました。この駅は「4月1日Premier avril 」とされました。→記事



Station Quatre Septembre キャトル・セプタンブル駅
Vanessa paradis       ヴァネッサ・パラディ


On s'est connus un matin station quatre septembre
Reconnus dès le lendemain pour aller boire un café ensemble
On en a fait du chemin, du moins il me semble
Depuis le premier verre de vin au dernier baiser sans la langue
On a connu les arrières cours, les frimas de décembre
Les ingénues qui portent court, qui font du pied aux pieds-tendres 注1
Les nuits moites allongé sur le coco et la cendre 注2
Le vin chenu, la misère nue mais quel bonheur ensemble

 私たちはある朝キャトル・セプタンブル駅で知り合った
 翌朝にはまた会って一緒にコーヒーを飲みに行った
 私たちはそんな成り行きに従った、少なくとも私にはそう思えたわ
 ワインを飲み始めてから、最後に黙ってキスをするまでのあいだ
 裏庭と12月の濃霧を何度も体験した
 うぶな娘たちは性急で、優しい足に足で合図する
 ココや灰の上に横たわる長い湿っぽい夜
 年代もののワイン、無一物の貧乏、でも二人でいることが幸せだった

Quatre Septembre2


Même au siècle prochain j'en parlerai encore
Même au siècle prochain j'en parlerai encore
Même au siècle prochain j'en pleurerai encore
Même au siècle prochain j'en pleurerai encore

 来世紀まで私はそれを語るわ
 来世紀まで私はそれを語るわ
 来世紀まで私はそれに涙するわ
 来世紀まで私はそれに涙するわ

On s'est perdus un matin station quatre septembre
Eperdus, ivres de ce vin qui vous fait les yeux en amandes
On a rasé quelques murs, toi levé quelques jambes 注3
Une pensée bien saugrenue, dire adieu à ces grands ensembles
Adieu nuits tendres, adieu caresses, adieu lait à l'amande
Adieu relative allégresse de prendre un café ensemble

 ある朝キャトル・セプタンブル駅で互いを見失った
 取り乱し、ひとの目をアーモンド色にさせるこのワインに酔って、
 私たちはいくつかの壁を取り払い、あなたはいくつかの支柱を取り除いた
 突拍子も無い考えが浮かぶ、この素晴らしい愛の暮らしにさよならすること
 やさしい夜よさよなら、愛撫よさようなら、アーモンドミルクよさよなら
 一緒にコーヒーを飲むことのそれなりの喜びもさよなら

Quatre Septembre3


Même au siècle prochain j'en parlerai encore
Même au siècle prochain j'en parlerai encore
Même au siècle prochain j'en pleurerai encore
Même au siècle prochain j'en pleurerai encore
J'en pleurerai encore

 私は来世紀までそれを語っているわ
 私は来世紀までそれを語っているわ
 来世紀までそれに涙しているわ
 来世紀までそれに涙しているわ
 涙しているわ

Même au siècle prochain j'en parlerai encore
Même au siècle prochain j'en parlerai encore
Même au siècle prochain j'en pleurerai encore
Même au siècle prochain j'en pleurerai encore
J'en pleurerai encore

 私は来世紀までそれを語っているわ
 私は来世紀までそれを語っているわ
 来世紀までそれに涙しているわ
 来世紀までそれに涙しているわ
 涙しているわ

Quatre Septembre4


[注]
1 faire du pied à qn.「(テーブルの下などで)…の足を自分の足で触る」異性の気を引いたりするため。
2 cocoは「ココナッツ」「ガソリン」「安酒」「頭」「靴」「パイロット」「喉」「胃」「卵」「幼児・恋人の愛称」「(軽蔑的に)ヤツ」「共産党員」「コカイン」など多数の意味がある。cendre「灰」が続くので「コカイン」か「安酒」かとも思ったが、仮名書きの「ココ」にとどめた。ちなみに、今、パリではジュリアン・ドレJulien DoréのCoco câlineという曲が流行っているという。これはココ・シャネルCoco Chanel同様、女性の名前。
3 lever quelques jambesは「脚を上げる」ではなくraser quelques murs「壁を取り払う」と合う意味として「支柱を取り外す」だろう。




Comment:2
2017
08.30

瞳を交わしてNos yeux se sont croisés

Yves Duteil Sans attendre


イヴ・デュテイユYves Duteilの「瞳を交わしてNos yeux se sont croisés」は、恋人同士のことを歌った曲だろうとタイトルからまず想像されるかもしれませんが、1977年の大ヒット曲「子供を抱いて(マルティーヌに)Prendre un enfant (à Martine)」と同様、再婚相手の娘のことを歌っています。今度は弟が生まれる時のこと。2001年のアルバム:Sans attendreに収録されています。

YouTubeに動画が無かったので、急きょ作って出しました。



Nos yeux se sont croisés 瞳を交わして
Yves Duteil         イヴ・デュテイユ


Nos yeux se sont croisés
Fallait-il que tu souffres
Ton regard m’a semblé
Venu du fond d’un gouffre

 僕たちの視線が合った
 君は苦しまなければならなかったのか
 僕には君の視線は
 深い穴の奥から来るように思えた

Nos yeux se sont croisés1


Nous n’étions qu’au début
Il fallait tenir bon
Et nous avons tenu
Ainsi quatre saisons

 僕たちは出発点に立っていた
 いい関係を保たねばならなかった
 そして僕たちは保った
 こうして1年のあいだ

Nous restions souvent tard
Ensemble à son chevet
Au moment du départ
Ta maman t’embrassait

 僕たちはしばしば遅くまで
 いっしょに彼女の枕元にとどまった
 出発のとき
 君のママは君にキスした

Nous nous prenions la main
Pour puiser du courage
Quelques instants sereins
Au plus fort de l’orage 注1

 僕たちは手を取り合った
 勇気を引き出すために
 嵐のただなかの
 平穏な瞬間だ

Ton bébé nous offrait
En lumineux présage
Le plus beau des soleils
Sur ce si lourd nuage

 君の赤ちゃんは僕たちに
 光輝く前ぶれのうちに
 もっとも美しい太陽を
 このとても分厚い雲の上にもたらした

Nos yeux se sont croisés2


Tu les portes toujours 注2
Tous les deux dans ton cœur
Les couvrant tour à tour
De larmes et de bonheur

 君はいつも持っている
 心のなかに二つの気持ちを
 涙でそして幸福とで
 かわるがわる覆い隠しながら

Et tu les as portés
L’un et l’autre à bon port 注3
Tu vois, la traversée
Nous a rendus plus forts

 そして君は
 その二つの気持ちをことなく運んだ
 ほら、航海は
 僕たちをより強くした

Moi je t’ai vue grandir
Tout au long de la route
Et sourire en dépit 注4
Des angoisses et des doutes

 僕はね 君が成長していくのをみた
 全行程のあいだ
 そして不安と疑いにもかかわらず
 微笑むのをみた

Nos yeux se sont croisés3


Ton petit a grandi
Lui aussi, et tu pleures
En voyant ta maman
Le serrer sur son cœur

 君のおチビちゃんは成長した
 彼もね、そして君は泣く
 君のママが
 彼を胸に抱きしめるのを見て

Et les nuages gris
Partis vers d’autres cieux,
Le soleil s’est surpris 注5
A briller dans tes yeux

 そして灰色の雲は
 よその空に向かって行き、
 太陽はおのずと
 君の目のなかで輝く

Nos yeux se sont croisés...

 僕たちの目が合った…

[注]
1 au plus fort de「…の真っ最中、絶頂期」
2 les … tous les deuxは、あとで出てくるdes angoissesとdes doutesだと解釈される。
3 à bon port「無事に、うまく」。そのport「港」という語に関連付けて次行のla traversée「航海」という表現で、ある過程を経過することを示している。
4 en dépit de「…にもかかわらず」
5 se surprendre「思わず…してしまう、…している自分にふと気づく」



Comment:0
2017
08.27

愛することの不幸せLe malheur d'aimer

ferrat-chante-aragon.jpg


ジャン・フェラJean Ferratの「愛することの不幸せLe malheur d'aimer」です。ジョルジュ・ブラッサンスGeorges Brassensの歌った「幸せな愛はないIl n'y a pas d'amour heureux」と類似したタイトルですが、こちらはもっと個人的な愛をテーマとしています。1971年のアルバム「アラゴンを歌うFerrat chante Aragon」に収録されています。



Le malheur d'aimer 愛することの不幸せ
Jean Ferrat      ジャン・フェラ


Que sais-tu des plus simples choses
Les jours sont des soleils grimés
De quoi la nuit rêvent les roses
Tous les feux s'en vont en fumée
Que sais-tu du malheur d'aimer

 君はもっと単純なことを知っているか
 日々は隈取りされた太陽だ
 夜にバラは何を夢見るのか
 すべての炎は煙となって消える
 君は愛することの不幸せを知っているか

Je t'ai cherchée au bout des chambres
Où la lampe était allumée
Nos pas n'y sonnaient pas ensemble
Ni nos bras sur nous refermés
Que sais-tu du malheur d'aimer

 僕は部屋の奥に君を探した
 そこにはランプが灯っていた
 そこでは僕たちの足音はいっしょに響かなかったし
 僕たちの腕もたがいを抱くことはなかった
 君は愛することの不幸せを知っているか

Le malheur daimer1


Je t'ai cherchée à la fenêtre
Les parcs en vain sont parfumés
Où peux-tu où peux-tu bien être
A quoi bon vivre au mois de mai
Que sais-tu du malheur d'aimer

 僕は窓から君を探した
 公園は空しくもかぐわしかった
 君はどこに君はどこにいるんだ
 5月に生きていてなんになるんだ
 君は愛することの不幸せを知っているか

Que sais-tu de la longue attente
Et ne vivre qu'à te nommer
Dieu toujours même et différente 注1
Et de toi moi seul à blâmer
Que sais-tu du malheur d'aimer

 君は知っているか、長く待つことが
 常に同じでまた異なる神と
 君を呼ぶためにだけ生きることがどんなものか
 そして君にとっては僕だけに咎がある
 君は愛することの不幸せを知っているか

Le malheur daimer2


Que je m'oublie et je demeure 注2
Comme le rameur sans ramer
Sais-tu ce qu'il est long qu'on meure
A s'écouter se consumer 注3
Connais-tu le malheur d'aimer 注4

 僕は忘れられ
 舟を漕がない漕ぎ手としてとどまるのか
 僕たちは自らの気持ちに従い燃え尽きて
 死んで久しいということを君は知っているのか
 君は愛することの不幸せというものを分かっているのか

[注] 疑問点は多々残るが、見切り発車した。後日の訂正もありうる。
1前行からつながり、te「君を」toujours même et différente「常に同じでまた異なる」dieu「神と」nommer「呼ぶ」。déesse「女神」ではなくdieu(男性名詞)を用いているが、女性なので、différenteと女性形を用いている(mêmeは男女同形)。
2 3行あとのmeureと同様、接続法である。
3 s'écouter「自分の考えに従う」の意味と捉えた。
4 最後のみ、savoir du malheurではなくconnaître le malheurとしている。




Comment:0
2017
08.19

ピアノのレッスンLa leçon de piano

Alice Dona La leçon de piano


先月、アリス・ドナAlice Donaの「悲しいピアノLe piano triste」を取り上げましたが、今回もタイトルにpianoが入っている曲、これまたステキな「ピアノのレッスンLa leçon de piano」です。出だしは、聞き覚えがあると思ったら、リヒャルト・ワーグナーWilhelm Richard Wagnerの楽劇「ヴァルキューレDie Walküre」。作詞:クロード・ルメルClaude Lemesle. 作曲:Alice Dona。1981年のアルバム:Vivreに収録されています。




La leçon de piano ピアノのレッスン
Alice Dona     アリス・ドナ


Ah ! vous venez pour la leçon de piano, entrez jeune homme
Ah ! vous verrez comme c'est bon l' va et vient du métronome 注1
Asseyez-vous sur ce banc suffisant
Pour deux personnes, attaquons les rudiments
Les premiers balbutiements 注2
Les fondations du bâtiment

 ああ!ピアノのレッスンにいらしたのね、お若い方お入りなさい
 ああ!メトロノームの動きがなんと的確なのかあとで分かるわ
 この椅子にお座りなさい、
 二人座れるわ、基礎から取りかかりましょう
 初歩的な練習
 構築の基礎よ

Positions des doigts, souples pas comme ça
C'est vrai qu'il doit plaire aux dames
Caressez le do, celui du piano 注3
Puis montez au si pour faire la gamme
Entre nous vous viendrez à bout
De tous les claviers si vous
Arrivez à faire vibrer le mien 注4
Comme il convient qu'il vibre 注5

 指の構えは、そんなじゃなくしなやかにね
 ご婦人方に気に入られなきゃ
 ドを撫でて、ピアノのドよ
 そしてシまで上って行って音階練習よ
 ここだけの話、あなたは
 全鍵盤の端まで行くのよ、あなたが
 私の背を震わせることになったらね
 それは震えて当然だから

La leçon de piano2


Quand vous serez prêt, je vous apprendrai
Les silences et les soupirs 注6
Il est important d' prendre bien son temps
Pour savoir ce que piano veut dire
Faut, c'est sûr, garder la mesure
Tout en sachant bien oser
Quelquefois s'écarter de la partition
Improviser

 あなたに用意ができたら、私はあなたに教えるわ
 休止と休符を
 その拍をちゃんととることが大切よ
 ピアノが言いたいことを知るため
 必要よ、もちろん、拍子を保つことは
 すべてよく知った上ならあえて
 時には譜面を離れて
 即興演奏することもね

Ah ! quel progrès, quel succès
Vous allez avoir jeune homme
Ah ! je me sens George Sand
Vous êtes Chopin en personne 注7
C' n'est pas encore les accords
Que j'adore
Mais c'est tout comme
Certains soirs, de vous à moi 注8
Il m'arrive de regretter
De n' posséder qu'un piano droit

 ああ!なんという進歩、なんという上達
 あなたはものにするわ、お若い方
 ああ!私はジョルジュ・サンドになった気分
 あなたはショパンそのもの
 私が求める
 調和音にはまだ至っていないけれど
 でもそれはまるで
 ここだけの話だけど、ある晩、
 私がアップライト・ピアノしか持っていないことを
 悔やむことになるみたい

Position du corps, genre toréador
Bien cambré, il est parfait
Il faut épouser, presque ventouser 注9
Les moindres contours de la musique
Doucement, puis progressivement
Vous accélérez l' mouv'ment
Allegro, ma non tropo 注10
Puis de plus en plus fortissimo

 姿勢は、闘牛士風
 背筋をよく伸ばして、完璧よ
 ごく細部の音楽のメロディーラインに
 結合して、ほとんど吸いついていかなきゃ
 優しく、そして徐々に
 動きを加速するの
 アレグロ、マ・ノン・トロッポ
 そして次第にフォルテッシモに

La leçon de piano3


En fermant les yeux, je vous entends mieux
Mais retenez-vous un peu
Gardez je vous prie, assez d'énergie
Pour réussir la monter finale
Ah ! Bravo, c'était très très beau
La leçon s'est bien passée
Puisque vous semblez en bonnes dispositions 注11
Recommencez

 目を閉じると、あなたのピアノがもっとよく聴けるわ
 でも少し抑えて
 お願いよ、エネルギーを充分残して
 フィナーレを盛り上げるために
 ああ!ブラヴォー、とってもとっても美しいわ
 レッスンはうまく行ったわ
 だってあなたはご機嫌だったから
 続けてね

La, la, la ...
À demain, pour un quatre mains 注12
À cinq heures dans mon salon
Quand vous s'rez complètement au point 注13
J' vous apprendrai l' violon !

 ラ、ラ、ラ…
 明日、二人で弾くために
 5時に私のサロンで
 あなたが完璧にマスターすれば
 ヴァイオリンをお教えするわ!

[注]
1 va et vient= va-et-vient「(振り子やピストンなどの)往復運動、往来」
2 balbutiement「口ごもること、たどたどしさ」が原義で、「未熟、初期段階」をいう。
3 doはdos「背中」と同じ発音。「背中を愛撫する」という意味を匂わせ、celui du piano「ピアノのド」だと付け加えている。
4 le mienは注3の解釈の延長でmon dosであろう。ここの解釈には自信が無い。
5 il convient que...「…であるべきだ」
6 silence, soupirともに音楽用語で「休止、休符」
7 Chopin(Frédéric François Chopin)「ショパン」は「ピアノの詩人」とも呼ばれるポーランドの作曲家で、フランスの文筆家George Sand「ジョルジュ・サンド」は数年間その愛人であった。en personne (抽象名詞に先立たれて)「…の化身、…そのもの」。ここでは固有名詞に先立たれている。
8 de vous à moi「ここだけの話だが、あなたと私だけのことだが」
9 épouser本義は「結婚する」だが、「適応する、合致する」といった意味合い。「吸い玉、吸盤」の意味の名詞のventouseをépouserに合わせて動詞にしたようだ。
10 イタリア語の音楽用語。Allegro「アレグロ」軽快に速く 。ma non tropo「マ・ノン・トロッポ」しかしあまりはなはだしくなく。fortissimo「フォルティッシモ」きわめて強く。
11 être en bonnes dispositions「機嫌がいい」
12 à quatre mainsは「連弾で」
13 au point「調子よく、整備されて」



Comment:0
2017
08.15

マダムMadame

Barbara Ma plus belle histoire damour


前回の「この子Cet enfant-là」に続きバルバラBarbaraで、「マダムMadame」という曲。1967年のスタジオアルバム:Ma plus belle histoire d'amour および同年のライブアルバム:Bobino 1967に収録されています。
恋人の母親から彼の戦死を知らせる手紙が届きます。それに対する返事の手紙という形で書かれている歌詞です。この曲が作られたのはベトナム戦争の最盛期であり、世界中で反戦運動が高まっていたということも時代背景として伺えます。



Madame マダム
Barbara  バルバラ


Je reçois, à l´instant où je rentre chez moi
Votre missive bleue, Madame
Vingt fois je la relis, et mes yeux n´y croient pas
Pourtant, c´est écrit là, Madame
Et de votre douleur, je me sens pénétrée 注1
Mais je ne pourrai rien, Madame
Vous savez, aujourd´hui, que de l´avoir perdu
C´est lourd à supporter, Madame

 受け取りました、帰宅した時に
 あなたの青色のお手紙を、マダム
 20回読み返しました、そして私の目は信じることができませんでした
 でも、そこにちゃんと書かれてありました、マダム
 そしてあなたの苦しみが、身に沁みるように感じました。
 でも私には何もできません、マダム
 今、あなたはお分かりでしょう、彼を失ったということは
 辛くて耐えられないことだと、マダム

Madame1.jpg


Vous demandez pardon de n´avoir pas compris
Ce qu´était notre amour, Madame
Vous n´aviez que ce fils, vous aviez peur pour lui
Et vous l´avez gardé, Madame
Ne me demandez pas ce qu´a été ma vie
Quand vous me l´avez pris, Madame
Je me suis toujours tu, ce n´est pas aujourd´hui
Que je vous le dirai, Madame

 あなたは謝っていらっしゃる
 私たちの愛がどんなものか知らなかったことを、マダム
 あなたにはこの息子しかいない、彼のために恐れを抱き
 そして彼を引き止めましたね、マダム
 私の生活がどんなものだったかお訊きにならないで
 あなたが私から彼を取り上げたときに、マダム
 私はいつも口をつぐんできました、今は
 あなたにそれを申し上げるときではありません、マダム

Vous eussiez préféré, je vous retrouve là,
Qu´il fût mort en héros, Madame
Oui, c´eût été plus noble, je vous crois,
Que de mourir d´amour, Madame
Mais qu´il soit mort ici ou qu´il mourût là-bas 注2
Auriez-vous versé moins de larmes?
Il en a décidé, lui seul avait le droit
Il faut vous résigner, Madame

 あなたは望まれたんですね、私にはそう見受けられますが、
 彼が英雄として死ぬことを、マダム
 ええ、それはもっと気高いことだった、でしょうね、
 愛のために死ぬよりも、マダム
 でも、彼がここで死んだとて向こうで死んだとて
 あなたの流す涙に差はあるでしょうか?
 彼はそれを決めました、彼だけがその権利を持っていたのです
 あなたは諦めなくてはなりません、マダム

C´est trop tard, maintenant, pour que je vous revienne
Et vous vieillirez seule, Madame
Et ne m´en veuillez pas si je parais cruelle 注3
Mais je l´ai trop aimé, Madame
Pour qu´à la fin du jour, près d´une cheminée
Nous évoquions ensemble, Madame,
Celui que, vous et moi, nous avons adoré
Et perdu tout ensemble, Madame

 遅すぎます、今となっては、私があなたのところに伺うには
 おひとりで齢を重ねてください、マダム
 もし私が酷い言い方をしていても悪く思わないでください
 でも、私は彼を愛していたのです、マダム、あまりにも
 一日の終わりに、暖炉のそばで、
 あなたと私、私たちが熱愛し、
 そしてともに失ったその人を、マダム
 ごいっしょに、想い起こすにはあまりにも、マダム

Madame2.jpg


Mais le chagrin m´égare, il faut me pardonner
J´ai mal de votre mal, Madame 注4
Mais que faire, et que dire, puisqu´il s´en est allé?
Je ne puis rien pour vous, Madame
Pour la seconde fois, il va nous séparer
Non, je ne viendrai pas, Madame
Car, le perdre deux fois, c´est lourd à supporter
Vous me comprendrez bien, Madame

 いえ悲しみにわれを忘れました、お許しください
 あなたの苦しみに胸が痛みます、マダム
 でも、何をするのか、何を言うのか、彼は逝ってしまったんですから?
 私はあなたのために何もしてあげられません、マダム、
 ふたたび、彼は私たちを引き離します
 ええ、私は参りません、マダム
 なぜなら、二度も彼を失うこと、それは耐え難いからです
 どうか分かってください、マダム...

Je reçois, à l´instant où je rentre chez moi
Votre missive bleue, Madame
Vingt fois je la relis, et mes yeux n´y croient pas
Pourtant, c´est écrit là, Madame
Et, de votre douleur, je me sens pénétrée
Mais je ne puis plus rien, Madame
Vous saurez, comme moi, que de l´avoir perdu
C´est lourd à supporter, Madame...

 受け取りました、帰宅した時に
 あなたの青色のお手紙を、マダム
 20回読み返しました、そして私の目は信じることができませんでした
 でも、そこにちゃんと書かれてありました、マダム
 そしてあなたの苦しみが、身に沁みるように感じました。
 でも私にはもう何もできません、マダム
 あなたはお分かりになるでしょう、私のように、彼を失ったということは
 辛くて耐えられないことだと、マダム…

Madame3.jpg


[注]
1 pénétré(e) de qc.「…が染みこんだ、…に確信を持った、…でいっぱいである」
2 que...que...soit mortは接続法過去、mourûtは接続法半過去。
3 en vouloir à qn.「…を恨む、悪く思う」
4 malはともに「苦痛」




Comment:1
2017
08.11

この子Cet enfant-là

Barbara seule


バルバラBarbaraの「この子Cet enfant-là」という美しい曲は、「ウィーンVienne」「ア・ペーヌÀ peine」と同様、ロラン・ロマネッリRoland Romanelliが作曲。1981年のアルバム「孤独と夜の中でSeule」に収録されています。このアルバムは日本でも発売されていますので、この曲も邦題が付いているでしょうが、原題を直訳して「この子」といたします。

「この子」は、自分の子ではなく、相手の男性とその恋人か妻のあいだにできた子。状況はよく分かりませんが、その子を受け入れて愛する心情を語っています。



イザベル・ヴァジュラIsabelle Vajraとマチュー・ロザスMathieu Rosazのデュオ



Cet enfant-là この子
Barbara     バルバラ


Cet enfant-là,
Cet enfant-là
Te ressemble, te ressemble.
Il a de toi 注1
Je ne sais quoi:
Le sourire
Ou peut-être,
Quand il marche,
Ta démarche.
Il hésite et s'avance.
Cet enfant-là
Te ressemble
Et j'en tremble.

 この子、
 この子は
 あなたに似ている、あなたに似ている
 彼はあなたにそっくり
 なんだか分からないけど:
 そのほほえみ
 あるいはたぶん、
 歩くときは、
 あなたの歩き方。
 彼はためらってから進む。
 この子は
 あなたに似ている
 私はそのことで心が震える。

Cet enfant-là1


Cet enfant-là,
Tu t'en souviens,
Tu le voulais.
Tu m'en parlais
Et, merveille des merveilles,
Je riais de t'entendre.
Tu me disais:
" Comme je voudrais,
Qu'il te ressemble,
Te ressemble.
Moi je voulais
Que cet enfant
Te ressemble. "

 この子、
 あなたは覚えているかしら、
 あなたはそれを望んでいた。
 あなたはそのことを私に話した
 そして、
 あなたの言うことを聞いて私は笑った。
 あなたは私に言った
 「その子が、
 君に似て、
 君に似て欲しいから。
 僕はね望んでいたんだよ
 その子が
 君に似ていることをね。」

Tu voulais qu'un jour, il soit avocat ou bien médecin.
Nous nous disputions déjà l'avenir
D'un enfant qui n'était pas encore là.
Moi, je voulais qu'il soit berger, jardinier
Ou bien musicien.
Je l'imaginais déjà, tout petit,
Un immense piano au bout de ses doigts.
Il aura des poissons d'or, des jardins de sable
Et de grands voiliers blancs,
Des oiseaux de feu, des îles enchantées,
Des étoiles filantes au fond de ses yeux.
Il ne connaitra que l'ogre gentil
Qui jamais n'a dévoré les enfants.
Mon enfant dieu, mon enfant prince, mon enfant roi,
Mon enfant merveilleux, mon enfant rien qu'à moi,
Nous lui tournions des manèges sous la neige,
Nous lui bâtissions des châteaux en Norvège, en Norvège

 あなたは彼がいつか、弁護士かあるいは医者になることを望んだ。
 私たちはもう未来のことを論議していた
 まだいない子どものことを。
 私は、その子が羊飼いに、庭師に
 あるいはミュージシャンになるよう望んだ。
 私はもう想像していた、とても小さい子が、
 指先で巨大なピアノに向かっているのを。
 彼は得ることだろう、金の魚を、砂の庭園を
 そして大きな白いヨットを、
 火の鳥を、魔法の島を、
 流れ星を瞳の奥に。
 けっして子どもたちを食べない
 優しい人食い鬼しか彼は知らない。
 神のような私の子、王子のような私の子、王のような私の子、
 すばらしい私の子、私だけの私の子、
 私たちは彼のために雪の上でメリーゴ-ラウンドを回した、
 私たちは彼のためにノルウェーに城を建てた、ノルウェーに

Cet enfant-là2


Mais cet enfant-là,
Cet enfant-là
Lui ressemble.
Il a d'elle
Je ne sais quoi:
Le sourire
Ou peut-être,
Quand elle marche,
Sa démarche
Et sa grâce,
Ma disgrâce.
Cet enfant-là
N'a rien de moi 注2
Mais vous ressemble.

 でもこの子は、
 この子は
 彼女に似ている。
 彼は彼女にそっくり
 なんだか分からないけど:
 そのほほえみ
 あるいはたぶん、
 歩くときは、
 彼女の歩き方。
 そして彼女の器量のよさ、
 私の不器量。
 この子は
 私とはまるで似ていない
 でもあなた方に似ている。

Cet enfant-là,
Cet enfant-là
Te regarde,
Me regarde.
Il s'étonne,
Il s'inquiète
Et, timide, il s'avance.
Cet enfant-là
Me tend les bras
Et je l'aime.
Cet enfant-là
N'a rien de moi, mais te ressemble,
Ressemble, ressemble

 この子は、
 この子は
 あなたを見る、
 私を見る。
 彼は動揺する、
 彼は不安になる
 そして、おずおずと、彼は進む。
 この子は
 私に両腕を差し伸べる
 そして私は彼を愛する。
 この子は
 私とはまるで似ていない、でもあなたに似ている、
 似ている、似ている

[注]
1 avoir de qn.= ressembler à qn.「…に似ている」
2 n'avoir rien de...「似ても似つかない、…らしいところがない」



Comment:0
2017
08.08

蜜の味Le goût de miel

FabienneThibeault Le goût de miel


ビートルズThe Beatlesのナンバーとしても知られる「蜜の味A taste of honny」。私はジュリー・ロンドンJulie Londonの歌が好きで、そのフランス語ヴァージョンがないかなと探していたら、見つかったのは、ケベックのシンガー・ソンガライター:ファビエンヌ・チボーFabienne Thibeaultの「蜜の味Le goût de miel」。まったく別の曲ながらいい曲です。1981年のアルバム:Je suis née ce matinに収録されています。チボーは「世界は石になったLe monde est stone」を先にご紹介しています。
ビートルズの歌詞は「ワインより甘い君のキスの味のために僕はきっと戻って来る」といった内容ですが、こちらは、意気消沈した男に「もっと楽しい甘い人生があるのよ」といざないます。



Le goût de miel   蜜の味
Fabienne Thibeault ファビエンヌ・チボー


Il y a des nuages
Autour de ton visage
Il y a ton cafard
Aux portes du hasard 注1
Regarde la maison
Au bout de l' horizon
Il y a la chaleur et
Les couleurs qui manquent à ton bonheur

 あなたの顔のまわりには
 雲がかかっている
 先行きに向かって
 あなたは憂鬱になっている
 地平の果ての
 家をごらんなさい
 あなたのしあわせには不足している
 熱気と色彩があるわ

Il y a ton passé
Mais tu peux l'oublier
Il y a tous ces tours
Tous ces jours sans amour
Regarde la maison
Et cherche bien au fond
Tu trouveras mon cœur
Et la douceur qui manquent à ton bonheur

 あなたの過去がある
 でもあなたはそれを忘れることができる
 こうしたすべての過程が
 愛のないこうした日々がある
 家をごらんなさい
 そしてその奥を探すのよ
 あなたは私の心と
 あなたのしあわせには足りない優しさを見出すわ

Le goût de miel4


As-tu le goût de vivre
Une vie de velours
Qui fait que l'on s'enivre
À voir venir le jour?
As-tu le goût d'entendre
Mille paroles tendres?
As-tu le goût du goût de miel
Aux couleurs de l'arc-en-ciel?

 一日がやって来るのを見て
 うっとりさせてくれるような
 甘い人生を
 あなたは生きたくない?
 たくさんの優しい言葉を
 あなたは聞きたくない?
 虹の七色をした
 蜜の味が欲しくない?

Si tu voulais courir 注2
Le risque de venir
Tu n'aurais jamais de regrets
Moi je te le promets
Ton cœur est en prison
Et ça n'a rien de bon
Il y a le temps qui passe
Et qui efface la trace des chagrins

 やって来る危険に
 立ち向かいたいと望むならば
 けっして後悔はしないでしょう
 私はあなたにそれを請け合うわ
 あなたの心は牢屋に入っている
 それは何もいいことじゃない
 時は過ぎ行き
 悲しみを消してくれるわ

As-tu le goût de vivre
Une vie de velours
Qui fait que l'on s'enivre
Dans les bras de l'amour?
As-tu le goût de prendre
Ma bouche qui demande?
As-tu le goût du goût de miel
Au cœur de mon arc-en- ciel?
As-tu le goût du goût de miel
Au cœur de mon arc-en-ciel?
Mon arc-en-ciel

 愛に抱かれて
 うっとりさせてくれるような
 甘い人生を
 あなたは生きたくない?
 求めている私の口を
 奪いたくない?
 たくさんの優しい言葉を
 あなたは聞きたくない?
 私の虹のなかの
 蜜の味が欲しくない?
 私の虹の

Le goût de miel6


[注]
1 aux portes(à la porte) de qc.「…の入り口で」
2 courirは他動詞で「(危険などに)立ち向かう」。courir un risqueは「危険を冒す」。




Comment:0
back-to-top