2017
12.02

生きるMa derniere volonté

Serge Reggiani Venise nest pas en Italie


今回は、セルジュ・レジアーニSerge Reggiani「生きるMa derniere volonté」です。作詩:シルヴァン・ルベルSylvain Lebel、作曲:アリス・ドナAlice Dona。1977年のアルバム:Venise n'est pas en Italieに収録されています。

複数形のdernières volontésは「遺言」ですが、ここでは単数形であり、volontéの原義である「意志」あるいは「意思」そのものです。人生の終わりを目前にして、自分が最後に望むことは「生きることvivre」だといいます。でもそれは、死にたくないという意味ではありません。行くべき時には行く、つまり死ぬ時には死ぬだけだ。近づく死にとらわれたり怯えたり、それに備えることに費やしたりしないで、残されたいのちを生き切りたいというのです。
日本では「生きる」という邦題で歌われており、これをそのまま用いることにいたします。美川憲一も歌っていますね。ただ、日本語の歌詞は、原詞の持ち味とは違って、私には妙に湿っぽく聞こえます。



Ma dernière volonté 生きる
Serge Reggiani    セルジュ・レジアーニ


Moi qui ai vécu sans scrupules
Je devrais mourir sans remords
J'ai fait mon plein de crépuscules
Je n'devrais pas crier "encore"
Moi le païen, le pauvre diable
Qui prenait Satan pour un Bleu
Je rends mon âme la tête basse
La mort me tire par les cheveux

 臆面も無く生きてきた俺は
 後悔なんぞなく死んで行くさ
 俺は自分の晩年を目一杯生きたから
 「もっと」と叫ぶこともない
 不信神な俺、哀れな男は
 空の青のかわりにサタンを選んだ
 こうべを垂れて僕の魂をお返しするぜ
 死が髪をつかんで俺を引き寄せるんだ

Serge Reggiani2


Vivre, vivre
Même sans soleil, même sans été
Vivre, vivre
C'est ma dernière volonté

 生きる、生きる
 たとえ日が昇らずとも、夏が来ずとも
 生きる、生きる
 それが僕の最後の望みだ

Dites-moi que le Bon Dieu existe
Qu'il a une barbe et des mains
Que Saint-Pierre est le brave type
Qu'on m'a décrit dans les bouquins
Dites-moi que les anges ont des ailes
Dites-moi que les poules ont des dents
Que je jouerai du violoncelle
Là-haut dans mon costume blanc

 顎鬚と両手を持つ
 神が存在するって
 書物に描かれているように
 聖ペテロはいいヤツだって言えよ
 天使には羽があるって言えよ
 鶏には歯があるって
 あの世で白いスーツを着て
 俺がチェロを弾くだろうって言えよ

Vivre, vivre
Même sans maison, même sans souliers
Vivre, vivre
C'est ma dernière volonté

 生きる、生きる
 家が無くとも、履物さえ無くても
 生きる、生きる
 それが俺の最後の望みだ

Serge Reggiani3


J'avais le blasphème facile
Et j'entends d'ici mes copains
Crier: "le traître, l'imbécile
Il meurt comme un vulgaire chrétien" 注1
Qu'ils m'excusent si je suis lâche
Je veux bien rire autant qu'on veut
Mais quand on se trouve à ma place
On prend quand même un coup de vieux

 俺は安易な暴言を吐いていた
 そしてここで俺は聞いたんだ、仲間が
 「裏切り者、愚か者、
 ヤツはごく普通のキリスト教徒として死ぬよ」と叫ぶのを
 俺が卑劣でもあいつらは俺を大目に見てくれるのさ
 俺は思う存分笑いたいよ
 だが誰だって俺の立場になりゃ
 やはり急に老け込むだろう

Vivre, vivre
Même bancal, même à moitié 注2
Vivre, vivre
C'est ma dernière volonté

 生きる、生きる
 びっこでも、半端でも
 生きる、生きる
 それが俺の最後の望みだ

Je vois de la lumière noire
C'est ce qu'a dit le père 注3
Moi qui ne pense pas à l'histoire
Je manque d'esprit d'à-propos 注4
Non, je n'ai vraiment plus la force
De faire un dernier jeu de mots
Je sors par la petite porte
J'ai le trouillomètre à zéro 注5

 俺には暗い光が見える
 それはユーゴー爺さんが言っていたものだ
 筋道を考えない俺は
 当意即妙の才に欠ける
 いや、俺にはもう最後のクロスワードパズルを
 やる気力がもうまったく残っちゃいない
 俺は小さな扉から出て行く
 俺は心底ゾッとするよ

Serge Reggiani1


Vivre, vivre
Quand faut y aller, il faut y aller
Vivre, vivre
Monsieur Saint-Pierre, la charité

 生きる、生きる
 行くべき時には、行くさ
 生きる、生きる
 聖ペテロ様、どうかお慈悲を

Vivre, vivre
En plein soleil, en plein été
Vivre, vivre
C'est ma dernière volonté

Vivre, vivre, vivre, vivre...

 生きる、生きる
 炎天下で、真夏に
 生きる、生きる
 それが俺の最後の望みだ

 生きる、生きる、生きる、生きる…

[注]
1 vulgaire本義は「俗悪な、卑劣な」だが、名詞の前では「ありふれた、ごく普通の」。
2 à moitié 後に形容詞か名詞が付き「半分…だ」という表現となるが、ここでは何も付いていない。前のbancal「びっこの」を言うのか、不特定なことがらなのか不明。「半端」で間に合わせた。
3 le père Hugo=Victor, Marie Hugo「ヴィクトル・ユーゴー」19世紀の小説家で、代表作は「レ・ミゼラブルLes Misérables」。今わの際の言葉が「黒い光が見えるje vois de la lumière noire」。宮沢賢治が「今夜は電燈が暗いなあ」と言い、ゲーテJohann Wolfgang von Goetheが「もっと光を!Mehr Licht!」と言ったことと類似している。
4 esprit d'à-propos「機転、当意即妙の才」
5 trouillomètre=trouille「おじけ」+mètre「メートル尺」。trouillomètre à zéro「激しい恐怖」の言い回しでのみ用いられる。



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2017
11.25

一人ぼっちのタンゴTout seul

Enrico Macias Tout seul


エンリコ・マシアスEnrico Maciasの「一人ぼっちのタンゴTout seul」1966年。作詞:ジャン・ペイネJean Peigné、作曲:エンリコ・マシアス。原題は単に「一人ぼっち」という意味ですが、歌いたくなるようなステキなタンゴなので「一人ぼっちのタンゴ」という邦題は気に入りました。「僕はもうけっして一人ぼっちじゃない、君がいるから」といった表現が歌詞にありますが、実はこれは過去のこと。現在はほんとに「一人ぼっち」です。
歌会《アミカル・サロン》では、皆さん、フランス語で歌われ、その前に曲内容に関してちょっとコメントされることがあります。時々、意外なことを言われて、思わず自分の訳を見直したりしますが、いえもう、どっちが正しいじゃなくて、そう思って歌うほうが勝ちかも。確かに、ちょっとした解釈の違いで、意味内容が正反対になることもありますしね。先日はこの曲をちゃんと「失恋の歌」だと言って歌われた方がいらしてうれしくなりましたのでさっそく取り上げることにいたしました。



Tout seul    一人ぼっちのタンゴ
Enrico Macias エンリコ・マシアス


Lorsque tombe la nuit
Qu’il faut rentrer tout seul avec l’ennui
Et retrouver chez soi
Un lit trop grand, quatre murs gris sans joie
À voir les autres s’en aller heureux
Et se quitter en nous disant adieu
On a des larmes plein les yeux

 夜になれば
 一人ぼっちで憂鬱を抱えて帰路につき
 自分のねぐらに戻らなきゃならない
 あまりにも大きいベッド、おもしろくもない灰色の四方の壁
 ほかのやつらがしあわせそうにして
 僕らにさよならしながら去っていくのをみて
 僕らの目には涙が溢れる

{Refrain:}
Mais jamais plus je ne serai tout seul
Car tu es là, tu es à moi tout seul
Je t’attendais, tu es venue un jour
Et ce fut toi mon grand amour 注1
Non, jamais plus je ne serai tout seul
Car tu es là, tu es à moi tout seul
Jusqu’à la fin sur le même chemin
Cœur contre cœur, main dans la main

 だが僕はもうけっして一人ぼっちじゃない
 だって君がいるから、君は僕一人だけのものだ
 僕は君を待っていた、君はある日やって来た
 そして僕の大いなる愛は君だった
 いや、僕はもうけっして一人ぼっちじゃない
 だって君がいるから、君は僕一人だけのものだ
 胸と胸を寄せ合い、手をつなぎ合って
 最後まで同じ道をと

Tout seul1


La nuit fait des promesses
Aux mal-aimés qui manquent de tendresse 注2
Alors, ils vont mendier
Un peu de joie, d’amour et de pitié
Quelques sourires, deux ou trois mots fanés
Une aventure qui ne fait pas rêver 注3
Le jour se lève, rien n’est changé

 愛されていない人たち、愛情を欠いた人たちに
 夜は約束してくれる
 そして、彼らは乞い求めようとする
 わずかな喜びと、わずかな愛とわずかな哀れみを
 いくばくかの微笑みと、色褪せた2、3の言葉のなかで
 夢など見させておかない出来事があり
 夜が明けると、何も変わってはいないのだ

{au Refrain}

Il y a tous les soirs
Des gens qui se retrouvent dans le noir
Et qui n’ont pas l’espoir
Qu’on vienne gentiment leur dire bonsoir
À vivre ainsi, on vit souvent pour rien
En se disant : Ça ira mieux demain
Et l’on s’endort sur ses chagrins

 夜毎
 暗がりの中で出会う人たちがいる
 そして彼らは、「こんばんは」と優しく声を掛けてもらう
 望みなど持っていない
 このように生き、ひとは時には空しく生きる
 「明日はもっとマシになるさ」と言い合いながら
 そして悲しみを抱えて眠りにつく

Non, jamais plus je ne serai tout seul
Car tu es là, tu es à moi tout seul
Je t’attendais, tu es venue un jour
Et ce fut toi mon grand amour

 いや、僕はもうけっして一人ぼっちじゃない
 だって君がいるから、君は僕一人だけのものだ
 僕は君を待っていた、君はある日やって来た
 そして僕の大いなる愛は君だった

Tout seul3


[注]
1君がやって来たと複合過去で言ったのち、君の存在を単純過去で表現していることで、「君がいるから自分はもう一人ぼっちじゃない」というのが過去の回想であったことが分かる。
2 manquer de tendresseは「優しさを欠く」と訳すと、「意地が悪い、非情な」というニュアンスになるが、mal-aimés「愛されない」と合わせて、「人を愛するという気持ちを忘れてしまった」くらいの意味だろう。
3 une aventureは、夜が約束してくれるわずかな「夢」など見させない実際の出来事、つまりは「失恋」で、それはquelques sourires, deux ou trois mots fanés「いくばくかの微笑みと、色褪せた2、3の言葉」を伴って起こった。




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2017
11.20

ジュテムレJe t'aimerai

Rina Ketty Je taimerai


リナ・ケッティRina Kettyが歌った「ジュテムレJe t'aimerai」です。作詞:ユベール・イティエHubert Ithier、作曲:ジョゼ・カナJosé Cana、1950年。越路吹雪のレパートリーのひとつで原題の仮名書きの邦題で呼ばれ、その後も日本人歌手にはよく歌われています。フランスでは忘れ去られた曲のひとつでしょう。
「病めるときも、健やかなるときも…」を思い起こさせる内容です。「…であるかぎり」という言葉が繰り返されますが、それは限定条件というより、今のしあわせな気持ちと自分の愛の大きさを表現しているだけなんですね。



Je t'aimerai ジュテムレ
Rina Ketty  リナ・ケッティ


Tant que le ciel à l'étoile ouvrira son écrin de satin 注1
Je t'aimerai
Tant que la fleur à l'abeille offrira le parfum du matin
Je t'aimerai

 空がそのサテンの宝石箱に星を迎え入れるかぎり
 あなたを愛すわ
 花がみつばちに朝の香りを贈るかぎり
 あなたを愛すわ

Je t'aimerai le long des jours, le long des nuits
Certain de mon cœur et de sa folie 注2
Et malgré tout, malgré le temps, malgré l'ennui
Je saurai t'offrir des heures jolies

 昼のあいだずっと夜のあいだずっと愛すわ
 私の心とその心の狂おしさは確かよ
 どうしても、どんな時でも、どんなに滅入っていても
 あなたにすてきな時間を差し上げることができるわ

Tant que mon cœur frémira au seul bruit de ton pas si léger
Je t'aimerai
Tant que ces mots garderont leur ferveur, rien ne pourra changer
Je t'aimerai

 あなたのとても軽やかな足音を聞いただけで私の心が震えるかぎり
 あなたを愛すわ
 この言葉が熱気をとどめるかぎり、なにも変わらないわ
 あなたを愛すわ

Je taimerai2


Ainsi jadis le poète
Déclarait sa passion à genoux
Mais aujourd'hui le poète
A trouvé d'autres rythmes plus fous

 昔こんなふうに詩人が
 ひざまづいて熱い想いをあらわした
 でも今日では詩人は
 別のもっと狂おしいリズムを見出したのよ

Tant qu'un oiseau chantera son amour aux joyeux horizons
Je t'aimerai
Tant qu'un ruisseau prêtera ses eaux claires aux moulins du vallon
Je t'aimerai

 小鳥がしあわせな地平で愛を歌うかぎり
 あなたを愛すわ
 せせらぎが清らかな水を谷間の水車にそそぐかぎり
 あなたを愛すわ

Je t'aimerai les mois d'avril, les mois de mai
Cueillant du bonheur pour toute l'année
Et quand viendront les soirs d'hiver je te promets
Que bien d'autres joies nous seront données

 4月にも5月にもあなたを愛すわ
 1年のあいだずっとしあわせを摘みとるの
 そしてあなたに約束するわ、冬の宵がやって来るときには
 あらたな喜びが私たちに与えられるって

Je taimerai1


Tant qu'un chemin conduira nos deux cœurs aux mêmes lendemains
Je t'aimerai
Tant que ma main sentira la fidèle douceur de ta main
Je t'aimerai Je t'aimerai Je t'aimerai

 ひとつの道が私たちのふたつの心を同じ未来へと導くかぎり
 あなたを愛すわ
 私の手があなたの手の誠実な優しさを感じるかぎり
 あなたを愛すわ あなたを愛すわ あなたを愛すわ

[注]
1 ouvrir sa maison à qn.「…を家に呼ぶ」といった表現に準じて理解。
2 certain(e) de qc.「…を確信している」のが自分なら、certaineとなると思うがcertainと歌っている。



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2017
11.16

私の分身Tu es mon autre

Lara Fabian Tu es mon autre


今回は、ララ・ファビアンLara FabianがモラーヌMauraneとデュオで歌っている「私の分身Tu es mon autre」です。ララの2001年のアルバム: Nueに収録されています。作詞:ララ・ファビアンLara Fabian、作曲:リック・アリソンRick Allison(=Eric Vleminckx)。二人が大半を三度ハモリで歌う曲で、ララはモラーヌ以外の何人かの歌手とも歌っています。私たちアミカルの仲間たちも歌っています。今年のJ’aime chanterコンクールでは、松尾千鶴さんと日栄輝美さんがこの曲で「フランス語進歩賞」(準グランプリ)を受賞されました。
邦題は「私の分身」としました。「もう一人の私」としてもよかったかもしれませんが…。ジュリエット・グレコJuliette Grécoの「悲しみよこんにちわBonjour tristesse」を思い出させるような歌詞内容ですが、けっこう訳し難くて時間がかかり、やっと出します。



Rick Allisonと



Nolwen Leroyと



Lionel Timと。5分過ぎから歌は始まります。



Michael Gregorioと



10 歳から15歳までの少女たちのコーラス




Tu es mon autre     私の分身
Lara Fabian & Maurane ララ・ファビアン&モラーヌ


Âme ou sœur 注1
Jumeau ou frère
De rien mais qui es-tu ?
Tu es mon plus grand mystère
Mon seul lien contigu
Tu m'enrubannes et m'embryonnes 注2
Et tu me gardes à vue 注3
Tu es le seul animal de mon arche perdue注4

 仲良しの姉あるいは妹
 双子の兄あるいは弟
 どうでもいいけどあなたは誰なの?
 あなたは私のいちばん大きな謎
 私の唯一の密接な絆
 あなたは私をリボンで飾り私を育む
 そしてあなたは私を監視する
 あなたは私の迷える方舟のたった1匹の動物

Tu es mon autre1


Tu ne parles qu'une langue aucun mot déçu
Celle qui fait de toi mon autre 注5
L’être reconnu
Il n'y a rien à comprendre
Et que passe l'intrus
Qui n'en pourra rien attendre
Car je suis seule à les entendre
Les silences et quand j'en tremble

 あなたはどの語も空しいひとつの言葉しか話さない
 その言葉は私の分身のあなたを
 よく知っている存在にする
 さっぱり訳が分からないわ
 何も待ってくれはしない
 その侵入者が入ってくるのよ
 だって私だけに聞こえるの
 静寂が、そして私は震える

Toi, tu es mon autre
La force de ma foi
Ma faiblesse et ma loi
Mon insolence et mon droit

 あなた、あなたは私の分身
 私の信条の力
 私の弱さそして私の王
 私の傲慢さそして私の権利

Moi, je suis ton autre
Si nous n'étions pas d'ici
Nous serions l'infini

 私、私はあなたの分身
 もし私たちがこの世の者でなくなれば
 私たちは永遠の存在となるでしょう

Et si l'un de nous deux tombe
L'arbre de nos vies
Nous gardera loin de l'ombre
Entre ciel et fruit
Mais jamais trop loin de l'autre
Nous serions maudits
Tu seras ma dernière seconde
Car je suis seule à les entendre
Les silences et quand j'en tremble

 そしてもしも私たち二人のうちの一人が倒れたら
 私たちの生命の木を
 暗い影から遠く離れた
 空と果実のあいだに保つでしょう
 でもけっして相手から離れすぎないところに
 私たちは呪われることでしょう
 あなたは私の最後の助っ人
 だって私だけが聞こえるの
 静寂がそして私は震えるの

Tu es mon autre2


Toi, tu es mon autre
La force de ma foi
Ma faiblesse et ma loi
Mon insolence et mon droit

 あなた、あなたは私の分身
 私の信条の力
 私の弱さそして私の王
 私の傲慢さそして私の権利

Moi, je suis ton autre
Si nous n'étions pas d'ici
Nous serions l'infini

 私、私はあなたの分身
 もし私たちがこの世の者でなくなれば
 私たちは永遠の存在となるでしょう

[注]
1「分身、伴侶、相性のいい人」の意味のâme sœurを分けて言っている。次行も「双子の兄弟」の意味のfrère jumeauを分けて語順を変えている。
2 enrubannesは「リボンで飾る」の意味の動詞enrubannerの2人称単数形だが、embryonnesは、それと合わせるため「芽生え、胎児」の意味の名詞embryonを動詞化した造語の2人称単数形。「育む」と意訳した。
3garder qn. à vue「…を厳重に監視する」
4 archeは「アーチ」の意味とarche de Noé「ノアの方舟」など、箱型のものの意味とがある。ここでは「方舟」とした。
5 celleは前行のune langue。toiとmon autre は同格。次行のêtreは名詞で、faire A de B「B(toi mon autre)をA(l’être reconnu)にする」。




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2017
10.29

美しい年齢Le bel âge

Barbara chante Barbara


バルバラBarbaraの「美しい年齢Le bel âge」は、ダリダDaliaの「18歳の彼Il venait d'avoir 18 ans」のようなテーマの曲。これで、1964 年にリリースされ翌65年にACC大賞を獲得した名盤:Barbara chnate Barbaraの12曲をすべて訳し終えました。
死に憧れてÀ mourir pour mourir」「ピエールPierre」「サン=タマンの森でAu bois de saint-Amand」「愛していると言えなくてJe ne sais pas dire」「リヨン駅Gare de Lyon」「ナントに雨が降るNantes」「脱帽よChapeau bas」「パリ、8月15日Paris, 15 août」「要するにBref」「何も持たずにSans bagages」「Ni belle, ni bonne美しくもなく、善良でもない



Le bel âge 美しい年齢
Barbara  バルバラ


Il avait presque vingt ans.
Fallait, fallait voir
Sa gueule: c'était bouleversant.
Fallait voir pour croire,
A l'abri du grand soleil.
Je l'avais pas vu venir.
Ce gosse, c'était une merveille
De le voir sourire.

 彼は二十歳くらいだった。
 見るべき、見るべきよ
 彼の顔、それは衝撃的だった。
 信じるには見るべきよ、
 強い日差しを避けて。
 私は彼がやって来るのを見なかった。
 この若者、
 彼が微笑むのを見るのは
 ひとつの驚異だった。

Voilà que, timidement,
Le Jésus me parle 注1
De tout, de rien, de sa maman.
Tu parles, tu parles.
J'aime beaucoup les enfants.
J'ai l'esprit de famille
Mais j'ai dépassé le temps
De jouer aux billes.

 やぶから棒にも、おずおずと、
 このイエスは私に話した
 あらゆること、なんでもないこと、自分の母親のこと。
 あなたは話す、あなたは話す。
 私は子供たちが大好き。
 私は家族的な精神を持ち合わせていた
 でもビー玉遊びをする
 年代は過ぎていた。

Le bel âge6


Il avait presque vingt ans
Et la peau si douce.
J'ai cueilli du bout des dents
La fleur de sa bouche
Et j'ai feuilleté pour lui
Un livre d'images 注2
Qu'était pas du tout écrit
Pour les enfants sages.

 彼は二十歳くらいで
 柔らかい肌をしていた。
 私は歯の先で
 花のような彼の唇を摘んだ
 そして彼のために
 絵本のページをめくった
 お利口な子どもたちのために
 書かれたものではまったく無い絵本を

Tant de jours et tant de nuits.
Donne, mais je te donne,
Lui pour moi, et moi pour lui
Et nous pour personne
Mais il fallait bien qu'un jour,
Je perde mes charmes.
Devant son premier amour,
J'ai posé les armes. 注3

 幾日も幾晩も過ぎた。
 与えてよ、私はあなたに与えるわ、
 私のための彼、彼のための私で
 私たちは誰のためのものでもない
 でもいつかは、
 私は魅力を失うことになる。
 彼の初恋を前にして、
 私は降りた

Elle avait presque vingt ans.
Fallait, fallait voir
Sa gueule: c'était bouleversant.
Fallait voir pour croire
Ils avaient tous deux vingt ans
Vingt ans, le bel âge...

 彼女は二十歳くらいだった。
 見るべき、見るべきよ
 彼女の顔、それは衝撃的だった。
 信じるには見るべきよ
 彼らはふたりとも二十歳だった
 二十歳、美しい年齢…

Le bel âge7


[注]
1 le Jésus「イエス・キリスト」彼をイエス・キリストにたとえているわけだが、人名に定冠詞を付ける場合は、軽蔑あるいは親しみを込める意味合いが含まれる。
2 利口な子どもたちを対象として書かれたものではない絵本を見せたというのは、恋の手ほどきをしたということだろう。
3 poser les armes「武器を置く、降参する」



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2017
10.24

美しくもなく、善良でもないNi belle ni bonne

Barbara chante Barbara


バルバラBarbaraの「美しくもなく、善良でもないNi belle ni bonne」です。
1964年のアルバム:Barbara chante Barbaraに収録された曲のうち、この曲と「今朝Ce matin-là」は、リリアンヌ・ベネリLiliane Benelliが作曲しました。既存の邦題を用いました。「善良」という語がちょっとひっかかりますが…。



Ni belle ni bonne 美しくもなく、善良でもない
Barbara      バルバラ


Je suis la très mystérieuse,
Je suis la mante religieuse. 注1
Ni belle, ni bonne,
Je n'aime personne
Et je passe, bonjour.
Je suis celle de la nuit,
Je suis celle de l'amour
Et je croque le mari 注2
Qui rode à mon alentour.

 私は摩訶不思議な女、
 私は残忍なカマキリ女、
 美しくもないし、善良でもない。
 誰も愛さない
 そして通り過ぎる、ボンジュール
 私は夜の女、
 私は恋の女
 そして私の回りをうろつく
 オトコを待つの。

Ni belle ni bonne1


Mais non, mes belles,
Mes tourterelles, 注3
Je suis la douce,
Si douce, douce.
J'ai le cœur tendre
Et patte de velours
Et, pour me prendre
Au piège de l'amour,
Il n'y en a qu'un
Qui sait poser ses mains
Au creux de mon cou,
Au creux de mes reins.

 でもね、美女さんたち
 キジバトさんたち
 私は優しいのよ
 とっても、とっても優しいの
 柔らかい心と
 ビロードのような手を持ってるの
 そして、私を恋の罠にかけるのに
 私の首の窪みに、
 私の腰の窪みに
 手を置くことのできる男は
 ひとりしかいないわ。

Pour vous, je suis mystérieuse,
La noire, la fleur vénéneuse,
Ni belle, ni bonne
Qui n’aime personne
Et qui passe, bonjour.
Il s'en est fallu d'un rien, 注4
J'étais blonde au nez mutin.
Chacun a la gueule qu'il a.
Moi j'ai la mienne et voilà.

 あなた方には、私は不思議な女、
 黒い、毒の花、
 美しくもないし、善良でもない。
 誰も愛さない
 そして通り過ぎる、ボンジュール。
 ごくわずかなものが足りなかった、
 私はいたずらっぽい鼻でブロンドだった。
 誰しも持ち前の面構え。
 私は自分のをってわけ。

Ni belle ni bonne2


Pourtant si douce,
Oh douce, douce,
Je suis la fidèle,
La pas cruelle. 注5
Quand je vous quitte,
Je vais, cheveux aux vent.
Je vais cueillir
La petite fleur des champs
Mais, pour vous plaire,
Lorsque revient le soir,
Sous les lumières,
Ange du désespoir.

 でもとっても優しいの、
 おお優しいの、優しいのよ、
 私は貞淑な女、
 残忍じゃない女。
 私があなた方の元を去ったとき、
 私は行くわ、髪を風になびかせて。
 私は摘みに行くわ。
 野原の小さな花を
 でも、あなた方に気に入ってもらうため、
 夜がまたやって来たとき、
 明かりのもとで、
 絶望の天使になる

Je suis la très mystérieuse,
La noire, la fleur vénéneuse,
Ni belle, ni bonne,
Je n'aime personne
Et je passe, bonjour,
Et je passe, bonjour

 私は摩訶不思議な女、
 黒い女、毒の花、
 美しくもないし、善良でもない。
 誰も愛さない
 そして通り過ぎる、ボンジュール
 そして通り過ぎる、ボンジュール

[注] 歌詞中に、形容詞の女性形を名詞化して用いて自分のことを表現している箇所が多々ある。「…な女」。
1 la mante religieuse「(男に対して残酷な)カマキリのような女」
2 croque le mariはcroque le marmot「待ちあぐむ」をもじっているようだ。
3 tourterelle「キジバト」は、「人になつかない動物」であり「男になびかない女」を意味する。
4 Il s'en faut de+名詞「…だけ足りない」。冠詞のunがついたrienは名詞で「ごくわずかなもの」。
5 cruelleを否定して名詞化している。




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2017
10.20

ママンが帰って来たらQuand Maman reviendra

Jacques Brel Quand maman reviendra


ジャック・ブレルJacques Brelの曲の歌詞には、たいへん深い内容のものと、言葉遊び的な軽い内容のものとがあると思います。「ママンが帰って来たらQuand Maman reviendra」は後者。でも哀愁を帯びた独特の味のある曲です。1962年末に録音し1963年にLes Bigotes / Quand maman reviendra / Les filles et les chiens / La Parlotteの4曲のアルバムとしてリリースされました。



ブレルがこの曲を作っている様子



Quand Maman reviendra ママンが帰って来たら
Jacques Brel        ジャック・ブレル


Quand ma maman reviendra
C'est mon papa qui sera content
Quand elle reviendra maman
Qui c'est qui sera content c'est moi
Elle reviendra comme chaque fois
À cheval sur un chagrin d'amour
Et pour mieux fêter son retour
Toute la sainte famille sera là 注1
Et elle me rechantera les chansons
Les chansons que j'aimais tellement
On a tellement besoin de chansons
Quand il paraît qu'on a vingt ans 注2

 ママンが帰って来たら
 喜ぶのはパパだ
 ママンが戻って来たら
 喜ぶのは僕だ
 ママンはいつものように
 馬に乗って恋の悩みを越えて戻って来る
 そしてその帰還をもっと祝うため
 聖家族が全員集う
 そしてママンは僕にまた歌を歌う
 僕がこんなに好きな歌を
 僕たちにはこんなに歌が必要なんだ
 二十歳くらいの時には

Quand Maman reviendra1


Quand mon frère il reviendra
C'est mon papa qui sera content
Quand il reviendra le Fernand
Qui c'est qui sera content c'est moi
Il reviendra de sa prison
Toujours à cheval sur ses principes
Il reviendra et toute l'équipe
L'accueillera sur le perron
Et il me racontera les histoires
Les histoires que j'aimais tellement
On a tellement besoin d'histoires
Quand il paraît qu'on a vingt ans

 僕の兄さんが帰って来たら
 喜ぶのはパパだ
 フェルナンが帰って来たら
 喜ぶのは僕だ
 監獄から帰って来る
 いつも馬で自分の主義にのっとって
 兄さんは帰って来るそしてチームの全員が
 ステップのところで彼を迎える
 そして彼は僕に物語を語る
 僕がこんなに好きな物語を
 僕たちにはこんなに物語が必要なんだ
 二十歳くらいの時には

Quand ma sœur elle reviendra
C'est mon papa qui sera content
Quand reviendra la fille de maman
Qui c'est qui sera content c'est moi
Elle reviendra de Paris
Sur le cheval d'un prince charmant
Elle reviendra et toute la famille
L'accueillera en pleurant
Et elle me redonnera son sourire
Son sourire que j'aimais tellement
On a tellement besoin de sourires
Quand il paraît qu'on a vingt ans

 僕の姉さんが帰って来たら
 喜ぶのはパパだ
 ママンの娘が帰って来たら
 喜ぶのは僕だ
 彼女はパリから帰って来る
 魅惑の王子の馬に乗って
 彼女は帰ってきて家族全員
 涙を流しながら彼女を迎える
 そして彼女は僕にまた微笑みをくれる
 僕がこんなに好きな微笑みを
 僕たちはこんなに微笑みが必要なんだ
 二十歳くらいの時には

Quand Maman reviendra2


Quand mon papa reviendra
C'est mon papa qui sera content
Quand il reviendra en gueulant
Qui c'est qui sera content c'est moi
Il reviendra du bistrot du coin
À cheval sur une idée noire
Il reviendra que quand il sera noir 注3
Que quand il en aura besoin
Et il me redonnera des soucis
Des soucis que j'aime pas tellement
Mais il paraît qu'il faut des soucis
Quand il paraît qu'on a vingt ans

 僕のパパが帰って来たら
 喜ぶのはパパだ
 パパがどなりながら帰って来たら
 喜ぶのは僕だ
 パパは角のビストロから帰って来る
 悪い考えにのっとって馬で
 パパは暗くなったら帰って来る
 帰るのが必要になったら
 そしてパパはまた僕に心配させる
 僕がこんなに好まない心配を
 だが心配は必要なようだ
 二十歳くらいの時には

Si ma maman revenait
Qu'est-ce qu'il serait content papa
Si ma maman revenait
Qui c'est qui serait content c'est moi

 もし僕のママンがまた行っちゃったら
 パパは喜ぶだろうか
 もし僕のママンがまた行っちゃったら
 喜ぶのは僕だよ

[注]
1 la sainte famille「聖家族」本来はヨセフ、マリア、イエス・キリストを言う。
2 Quand il paraît qu'on a vingt ansはぼやかした表現であり、直訳すると「二十歳になったと思われる時」だが、意訳した。
3 quandの前のqueは強調のために加えられているようだ。



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2017
10.16

太陽のようにComme un soleil

Michel Fugain Comme un soleil


ミッシェル・フュガンMichel Fugainの「太陽のようにComme un soleil」は、これから現れるはずの伴侶を待っているという内容の曲。シャルル・アズナヴールCharles Aznavour「君を待つJe t'attends」、アクセル・レッドAxelle Redの「あなたを待つJe t'attends」、そしてムルージMouloudjiの「いつの日にかUn jour, tu verras」も同様の内容でしたね。ほかにもあったような…。

この曲は、Big Bazar 結成以前の1970年にリリースしたフュガンのセカンド・アルバム:Comédie musicale ‘Un enfant dans la ville’に収録され、その後、多くの歌手がカヴァーしています。

ミッシェル・フュガン



ナナ・ムスクーリNana Mouskouri



ジネット・リノGinette Reno



レ・ザンジュLes Angesという女性デュオ



Comme un soleil 太陽のように
Michel Fugain   ミッシェル・フュガン


{Refrain:}
Comme un soleil, comme une éclaircie
Comme une fleur que l'on cueille entre les orties
Elle doit venir, comme vient le beau temps
Elle doit venir comme vient le printemps

 太陽のように、晴れ間のように
 イラクサのはざまに摘む一輪の花のように
 その人はきっとやって来る、晴天がやって来るように
 その人はきっとやって来る、春がやって来るように

Comme un soleil10


Demandez-moi tout ce que vous voulez
Et sans regrets je vous le donne
Mais dites-moi où je la trouverai
Celle qui comprendra, celle qui me dira
"Où que tu ailles je vais avec toi
Quel que soit le chemin, je te suis pas à pas"
Et s'il m'arrivait alors de tomber 注1
C'est elle qui me relèverait

 お望みのものをなんでも僕に要求してくれ
 僕は悔いることなくあなた方にそれを差し出そう
 だがどこにその人が見つかるのか教えてくれ
 「あなたが向かうところに私はあなたともに行くわ
 どんな道でも、1歩ずつあなたについて行くわ」
 と心に思い、僕に言う人が
 そしてもしも僕が倒れたりしたら
 僕を起き上がらせてくれるのはその人だ

{au Refrain}

Comme un soleil2


Demandez-moi tout ce que vous voulez
De ne plus jamais voir personne
De renoncer aux parfums de l'été
Aux accords de guitare, aux fumées de la gloire 注2
Demandez-moi de ne plus croire en rien
Pourvu que je la voie au bout de mon chemin
Demandez-moi tout ce que vous voulez
Mais dites-moi où la trouver

 お望みのものをなんでも僕に要求してくれ
 もうけっして誰にも会うなと
 夏の香りを
 ギターの音色を、栄光のはかなさを拒めと
 何も信じるなと僕に要求してくれ
 僕の道のりの果てにその人を見出せさえすれば
 お望みのものをなんでも僕に要求してくれ
 だがどこにその人が見つかるのか教えてくれ

{au Refrain}

[注]
1 il arrive à qn. de+inf.「…が…することがある」
2「栄光はうたかたにすぎない」の意味をLa gloire n’est que fumée.と表現するなど、fumée「煙」は「むなしいもの、はかないもの」を例えるのに用いられる。




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2017
10.11

ひとりの死んだ歌手にÀ une chanteuse morte

Léo Ferré À une chanteuse morte


エディット・ピアフEdith Piafは1963年10月11日に亡くなりました。第二次世界大戦終結後、エディット・ピアフの勧めで自作曲を歌い始めたレオ・フェレLéo Ferréは、敬愛する彼女へのオマージュとして「ひとりの死んだ歌手にÀ une chanteuse morte」という曲を発表しました。「エディット・ピアフに捧ぐHommage à Edith Piaf」という副題が付けられアルバム:Cette chansonに収録されています。「エディット・ピアフを皮肉った曲」だと、ウィキペディアのレオ・フェレのページに書かれていますが、ピアフを皮肉ったのではけっしてなくて、その死を深く悼んでいることが歌詞内容から分かります。



カトリーヌ・ソヴァージュCatherine Sauvage



À une chanteuse morte ひとりの死んだ歌手に
Léo Ferré         レオ・フェレ


T'avais un nom d'oiseau et tu chantais comme cent
Comme cent dix mille oiseaux qu'auraient la gorge en sang
À force de gueuler, gueuler même des conneries 注1
Mais avec quelle allure ! T'étais un con de génie
T'étais un con de génie

 君は鳥の名を持ち 百羽の…
 叫び過ぎて、ばかげたことをも叫び過ぎて
 喉から血を出す 百十万羽の鳥のように歌った
 だがなんて格好で!君は天才的なバカだった
 君は天才的なバカだったよ

T'avais un nom d'oiseau et la voix d'Attila 注2
On t'entendait d'ici, on t'écoutait d' là-bas
T'étais à toi toute seule le "Bal des petits lits noirs" 注3
Un Wagner de carrefour, un Bayreuth de trottoir 注4
Un Bayreuth de trottoir

 君は鳥の名とアッティラ大王の声を持っていた
 人はここでもかしこでも君の声を聴いた
 君はたったひとりだけで「小さな黒いベッドの舞踏会」だった
 街角のワーグナー、舗道のバイロイト音楽祭
 舗道のバイロイト音楽祭だった

À une chanteuse morte2


Et y avait dans tes mains comme une bénédiction
Et comme tu t'en servais pour bénir tous ces cons
Ces cons gentils, émus, qu'on appelle les gens
Qui, devenant public, deviennent intelligents
Deviennent intelligents

 そして君の手のなかには天恵があり
 これらのバカ者たちすべてを祝福するために君はそれを用いたから
 大衆と呼ばれるこれらの心優しい、感動しやすいバカ者たち、
 彼らは、聴衆となることで、聡明になる
 聡明になるんだ

C'est pas toujours le cas, bien sûr, même à Paris
Les auteurs de la merde, il faut que ça mange aussi
Toi, tu t'es débrouillée pour passer au travers 注5
T'aurais chanté France Soir comme de l'Apollinaire 注6
Comme de l'Apollinaire

 常にそうだというわけじゃないさ、もちろん、パリでも
 駄作の作者たち、そいつらも飯を食わなきゃならない
 君はね、すり抜けるためにうまくやってのけたよ
 君はフランス・ソワール紙の記事内容を歌った、まるでアポリネールの詩のように
 アポリネールの詩のように

À une chanteuse morte3


On t'a pas remplacée, bien qu'on ait mis l' paquet 注7
Le pognon et ton ombre, ils peuvent pas s'expliquer
Sous les projos miracle et sous la lampe à arc 注8
Quoi que pense et que dise et que fasse monsieur Stark
Et que fasse monsieur Stark

 誰も君の代わりにならなかった、全力を尽くしても
 カネと君の影ってのは、説明がつかないものだ
 瞠目もののプロジェクターのもとでもアーク灯のもとでも
 スターク氏が何を思おうと何を言おうと何をやろうと
 スターク氏が何をやろうと

Arrêtez ! Arrêtez la musique ! 注10

 やめろ!音楽をやめろ!


[注]
1 À force de「…によって、…しすぎて」
2 Attila「アッティラ」(406年? - 453年)フン族とその諸侯の王。現在のロシア・東欧・ドイツを結ぶ大帝国を築き上げ、西方世界の「大王」を自称した。
3 Bal des petits lits noirs「小さな黒いベッドの舞踏会」1918年にジャーナリストのレオン・ベルビィLéon Bailbyが結核の子どもたちの支援のための慈善事業として始めたマニフェストとして1935年まで毎年オペラ・ガルニエOpéra Garnierで公演をおこなったBal des Petits lits Blancs「白い小さなベッドの舞踏会」をもじっているようだ。
4 Bayreuth「バイロイト」ドイツ連邦バイエルン州北部フランケン地方にある小都市バイロイト。バイロイト祝祭劇場にて、毎年7月から8月にかけて、ワーグナーのオペラ・楽劇を演目とするバイロイト音楽祭が行われる。
5 passer au travers「通り抜ける、(危険や罰を)免れる」
6 France Soir「フランス・ソワール」フランスの夕刊新聞。1944年にパリで創刊された保守系の大衆紙で1950年代が絶頂期。2011年にネットでのニュース配信に完全移行した。ここでは、歌詞内容が三面記事のようなものだという意味であろう。de l'Apollinaireは、固有名詞に部分冠詞が付けられており、「アポリネールの作品」の意味。ちなみに、アポリネールの詩に曲を付けた「Le pont Mirabeauミラボー橋」はフェレの代表作。
7 mettre le paquet「有り金全部を賭ける、全力を尽くす」
8 miracle「驚異、奇跡」は前の名詞(ここではles projos)と同格の形で用いられる。
9 Stark=Johnny Stark「ジョニー・スターク」ミレイユ・マチューMireille Mathieuのプロデューサー。マチューが「ピアフの再来」と呼ばれたことを揶揄している。
10 Arrêtez ! Arrêtez la musique ! 「アコーデオン弾きL'accordéoniste」の最後そのままである。恋人のアコーデオン弾きが死に、別の男がアコーデオンを弾いている。ピアフが死に、別の歌手が歌っている…。



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2017
10.08

愛、愛、愛L'amour l'amour l'amour

Mouloudji Lamour lamour lamour


ムルージMouloudjiの「愛、愛、愛L'amour l'amour l'amour」はとても美しい歌です。
作詞:Yves Stephane、作曲:Jack Arel。1963年のアルバム:Voulez-vous danser…avec Mouloudjiに収録されています。



L'amour,l'amour,l'amour 愛、愛、愛
Mouloudji         ムルージ


L'amour, l'amour, l'amour
Dont on parle toujours

 愛、愛、愛
 それについてひとはいつも語る

À l'amour, c'est un printemps craintif 注1
Une lumière attendrie, ou souvent une ruine

 恋、それは不安な春
 柔らかな光、また時には崩壊だ

L'amour, l'amour, c'est le poivre du temps
Une rafale de vent, une feuillée de lune  注2

 愛、愛、それは時のスパイス
 一陣の風、月夜の葉陰だ

Lamour,lamour,lamour1


L'amour, l'amour, à l'amour
Dont on parle toujours

 愛、愛、恋
 それについてひとはいつも語る

L'amour, met la nuit un bonnet
Et le jour porte un masque
Qui veuille que l'on grimace

 愛は、夜にはボンネットをかぶり
 昼には仮面をつけ
 ひとに顔をしかめさせようとする

L'amour, l'amour
C'est parfois même aussi, que le visage d'un autre  注3
Qui n'est ni lui ni l'autre

 愛、愛
 ときには、自分でも相手でもない
 別の者の顔もまた同じになる

À l'amour, à l'amour, à l'amour
Dont on parle toujours
À l'amour, à l'amour, c'est plus d'une fois
Un panier vide aux bras l'arc-en-ciel sur deux cœurs  注4

 恋、恋、恋
 それについてひとはいつも語る
 恋、恋、それは一度ならずのもの
 空のカゴをかかえ、二つの心に虹がかかる

Lamour,lamour,lamour2


À l'amour, à l'amour
À l'amour, c'est quand je t'aime
À l'amour, c'est quand tu m'aimes
Sans me le dire
Sans te le dire (×2)

 恋、恋
 恋、それは僕が君を愛する時
 恋、それは君が僕を愛する時
 僕にそれを語ることなく
 君にそれを語ることなく

[注]
1 l'amourは「愛」と訳したが、à l'amourは、愛に関わっている状態を示すので、苦慮した末に「恋」と訳した。
2 feuilléeは「葉陰」であり、本来は陽の光をさえぎる葉陰だが、ここでは月の光だ。
3 c'est…que A.のqueは同格を導き「Aは…だ」。queの前にコンマがあるので、même que やaussi queというつながりではないと判断した。
4 相手のいない二人の心にあらたな恋の希望が生まれる、といった意味であろう。




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