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2016
12.20

帰り来ぬ青春Hier encore

Charles Aznavour Hier Encor


1964年、シャルル・アズナヴールCharles Aznavourが40歳のときに作詞・作曲した「帰り来ぬ青春Hier encore」は、過ぎ去った青春の日々を「つい昨日のことのようだ」と言って惜しみ懐かしみ、当時の自分のあり様を後悔するという、その年齢にふさわしい内容。前回取り上げた、「青春という名の宝Sa jeunesse」と対をなすものだということで、続けて取り上げることにしました。前回の曲では、その制作年が、アズナヴール本人が言うのと実際の登録年が違うことに触れましたが、今回の曲にも同様の疑問が有ります。
Aznavourは1968年1月から3月までのOlympia出演の際、MCで、「私がこの曲Sa jeunesseを書いたのは25年前だ.25年の間に同じインスピレーションで二つの曲を書くことはあり得ることだ。私は今夜、二つをつなぎたいと思う。14年の年齢の開きのある二つを」と語ってからSa jeunesseとHier encoreを歌ったそうです。1968ー25=43で、ほぼ1942年として、+14=1956年ですから、Hier encoreに関しても、本人が最初に書いた年と登録年が違うということでしょうか。
いえ、数字云々より、本人もこの二つを一対のものと意識しているということが、このことであらためて確認されました。



ダニー・ブリアンDany Brillantもいいですね。



Hier encore     帰り来ぬ青春
Charles Aznavour  シャルル・アズナヴール


Hier encore 注1
J'avais vingt ans
Je caressais le temps
Et jouais de la vie
Comme on joue de l'amour
Et je vivais la nuit
Sans compter sur mes jours 注2
Qui fuyaient dans le temps

  つい昨日のこと
  僕は二十歳だった
  僕は刹那を愛しみ
  僕は人生を満喫していた
  ちょうど恋愛を愉しむみたいに
  そして僕は夜に生きて
  日数を数えるのを怠っているうちに
  日々はいつしか過ぎ去って行った

J'ai fait tant de projets
Qui sont restés en l'air 注3
J'ai fondé tant d'espoirs
Qui se sont envolés
Que je reste perdu
Ne sachant où aller
Les yeux cherchant le ciel
Mais le cœur mis en terre

  ずいぶん計画を立てたが
  宙に浮いたままになった
  ずいぶん希望を抱いたが
  消えてしまい
  僕は希望を失ったまま
  行く先も分からず
  目は空を探し求めながらも
  心は地に埋もれていた

Hier Encore2


Hier encore
J'avais vingt ans
Je gaspillais le temps
En croyant l'arrêter
Et pour le retenir
Même le devancer
Je n'ai fait que courir
Et me suis essoufflé

  つい昨日のこと
  僕は二十歳だった
  僕は時を浪費していた
  時を止められると信じつつ
  そしてそれを取り戻そうと
  先取りさえもしようと
  ひた走りに走り
  そして息を切らしてしまった

Ignorant le passé
Conjuguant au futur
Je précédais de moi 注4
Toute conversation
Et donnais mon avis
Que je voulais le bon
Pour critiquer le monde
Avec désinvolture

  過去は捨て
  未来を当て込み
  僕はみずから
  会話をつねに先導し
  世の中を批判するのに
  適すと思われる
  自分の意見を
  無遠慮に言った

Hier encore
J'avais vingt ans
Mais j'ai perdu mon temps
A faire des folies
Qui ne me laissent au fond
Rien de vraiment précis
Que quelques rides au front
Et la peur de l'ennui

  つい昨日のこと
  僕は二十歳だった
  だが僕は自分の時間を費やしてしまった
  無軌道なおこないを重ねるうちに
  そんな時間は心の奥に
  ほんとうに確かなものは何も残さない
  額の皺と
  倦怠への怖れしか

Hier Encore1


Car mes amours sont mortes
Avant que d'exister
Mes amis sont partis
Et ne reviendront pas
Par ma faute j'ai fait
Le vide autour de moi 注5
Et j'ai gâché ma vie
Et mes jeunes années

  なぜなら僕の恋はみな
  育まれる前に死んでしまった
  僕の友人たちは去って行った
  もう戻っては来ないだろう
  自らの過ちで
  周りから乖離してしまった
  そして自分の人生と
  青春を浪費してしまった

Du meilleur et du pire 注6
En jetant le meilleur
J'ai figé mes sourires
Et j'ai glacé mes pleurs
Où sont-ils à présent
A présent mes vingt ans?

  最良のこともあったし最悪のこともあったが
  最良のものをほうり出して
  僕は笑みをこわばらせ
  涙も凍りつかせた
  どこに行ってしまったのか、今
  今、僕の二十歳の時は?

[注]
1 hier encore「つい昨日のことのようだ」
2 compter sur qc.「…を数える」
3 rester en l'air「宙に浮いたままになる」ここは、「宙に浮いたままの計画を立てた」と訳すと不自然。続く部分も、「消えた希望を持つ」としてはまずい。
4 自分がtoute conversationにde moi「みずから」précéder「先行する」。
5 j'ai fait le vide autour de moiは直訳すると、「自分の周りに隙間を作ってしまった」だが、意訳した。
6 行のあたまにJ’avaisを補って解釈。du(de+le)は部分冠詞で、抽象名詞meilleur「最良のこと」とpire「最悪のこと」を具象化。




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