
今回は、アマジック・カテブAmazigh Katebの「ボンジュールBonjour」。Bonjour ma vieとも呼ばれています。たいへんアラビア風ですが、その歌詞はフランス語で、アルジェリアの著名な作家カテブ・ヤシーンKateb Yacineの1947年の詩を元にしています。アマジーグ・カテブはその息子で、フランスのレゲエバンド:グナワ・ディフュージョンGnawa Diffusionのボーカルを務めていました。アマジックAmazighとはタマージク語で「自由な人」の意味。
アルジェリア独立は1962年7月5日。その前年の1961年10月7日、民族解放戦線Fédération de France du FLNによって組織されていたアルジェリア人がパリで行っていた平和的なデモを、パリ警視庁の治安部隊が非情な形で鎮圧しました。彼らは、自分たちだけに課せられた外出禁止令に抗議しただけだったのですが、少なくとも200人のアルジェリア系フランス人が橋から放り投げられるか、銃殺されるか、もしくはこん棒で殴られ死亡しました。この曲を収録したアルバム:Marchez noirは、2009年の10月7日、その事件と同じ日に発売されました。

Bonjour ボンジュール
Amazigh Kateb アマジック・カテブ
{Refrain :}
Bonjour ma vie
Et vous mes désespoirs.
Me revoici aux fossés
Où naquit ma misère!
Voici le coin de boue
Où dormait mon front fier,
Voici ma vie à moi,
Rassemblée en poussière...
ボンジュールわが人生
そしてお前らわが絶望どもよ。
俺はかつて身の不幸が生じた
溝に再び嵌った!
ここ汚泥の一隅に
わが誇り高き面構えが眠っていた、
ここにわが人生あり、
塵となって集まって…
Toi mon vieux guigon,
Je te rapporte un peu de coeur
Bonjour, bonjour à tous
Bonjour mes vieux copains ;
Je vous reviens avec ma geule
De paladin solitaire,
Et je sais que ce soir
Monteront mes chansons infernaux...
Aux hurmelments de vents,
Par les cris de Décembre.
お前わが古なじみの不運よ
俺はお前にちょっとは気持ちを向ける
ボンジュール、ボンジュールみんな
ボンジュールわが古なじみの仲間たちよ;
孤独な騎士たるこのツラ引っさげて
俺はお前らのところに戻って来たぜ、
俺は分かっている 今夜
俺の地獄の歌が湧き上がると…
風の唸りに向かって、
12月の叫び声で。

{Refrain}
Bonjour,bonjour à tous
Dans mon cœur en rictus !
Bonjour mes horizons lourds,
Mes vielles vaches de chimères 注1
J'ai suivi l'oiseau des tropiques
Aux randonnées sublimes
Et voici sanglant
Avec des meurtrissures
Ainsi fleurit l'espoir
En mon jardin pourri !
ボンジュール、ボンジュールみんな
心のなかで無理に笑って!
ボンジュールわが暗澹たる未来よ、
俺は熱帯鳥のあとを追い
すばらしい遠出をした
そして傷を負って
このように血だらけになり
かくして希望が花開く
わが腐った庭に!
{Refrain}
元の詩もご紹介しましょう。
Bonjour ボンジュール
Kateb Yacine カテブ・ヤシーン
Bonjour ma vie
Et vous mes désespoirs.
Me revoici aux fossés
Où naquit ma misère!
Toi mon vieux guigon、
Je te rapporte un peu de cœur
ボンジュールわが人生
そしてお前らわが絶望どもよ
俺はかつて身の不幸が生じた
溝に再び嵌った!
お前わが古なじみの不運よ
俺はお前にちょっとは気持ちを向ける
Bonjour, bonjour à tous
Bonjour mes vieux copains ;
Je vous reviens avec ma geule
De paladin solitaire,
Et je sais que ce soir
Monteront mes chansons infernaux...
Voici le coin de boue
Où dormait mon front fier,
Aux hurmelments de vents
Par les cris de Décembre ;
Voici ma vie à moi,
Rassemblée en poussière...
ボンジュール、ボンジュールみんな
ボンジュールわが古なじみの仲間たちよ
孤独な騎士たるこのツラ引っさげて
俺はお前らのところに戻って来たぜ、
俺は分かっている 今夜
俺の地獄の歌が湧き上がると…
わが誇り高き面構えが眠っていた
ここ泥沼の一角に、
風の唸りに向かって、
12月の叫び声で;
ここにわが人生あり、
塵となって集まって…

Bonjour,bonjour mes choses,
J'ai suivi l'oiseau des tropiques
Aux randonnées sublimes
Et me voici sanglant
Avec des meurtrissures
Dans mon cœur en rictus! ...
ボンジュールわが現状よ、
俺は熱帯鳥のあとを追い
すばらしい遠出をした
そして傷を負って
このように血だらけだ
心のなかでは無理に笑って!…
Bonjour mes horizons lourds,
Mes vielles vaches de chimères :
Ainsi fleurit l'espoir
En mon jardin pourri !
Ridicule tortue, 注2
J’ai ouvert le bec
Pour tomber sur des ronces
Bonjour mes poémes sans raison...
ボンジュールわが暗澹たる未来よ、
わが古なじみのすばらしい妄想よ
かくして希望が花開く
わが腐った庭に!
こっけいな亀だ、
俺は口を開けてしまい
いばらの上に落ちた
ボンジュールわが筋の通らぬ詩よ…
[注]
1 vaches de(単数ではun,une vache de)「すごい、見事な」chimère原義は「(ギリシャ神話の怪獣)キマイラ」で「妄想、空想」の意味。
2ラ・フォンテーヌLa Fontaineの寓話「カメと二羽のカモ」は、旅をしたいと思った亀が2羽のカモに頼み、彼らが両端をくわえた棒に嘴でぶら下がって運んでもらうが、うかつにしゃべろうとして口を開けたために落ちてしまったという話。ここでは、余計なことを言う自分をその亀にたとえている。

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