
8月も後半に入り、暑さのピークも過ぎたかと思われる今日このごろ。そういえば訳していなかったなと思い出したのがこの曲、シャルル・アズナヴールの「八月のパリParis au mois d'août」(作詞:Charles Aznavour、作曲:Georges Garvarentz)です。1966年のアルバムLa bohèmeに収録され、同年アズナヴール自身が主演したPierre Granier-Deferre監督の同名の映画(René Falletの小説の映画化)の主題曲となりました。

妻子がヴァカンスに出かけた8月、シャルル・アズナヴール扮する中年男性は閑散としたパリの街にひとり残っています。そして撮影のためにパリを訪れたSusan Hampshire扮するイギリス人の若いモデルと出会い、熱烈な恋をするという物語。
1966年のステージ
2015年…半世紀ほど経って
Paris au mois d'août 八月のパリ
Charles Aznavour シャルル・アズナヴール
Balayé par septembre
Notre amour d'un été
Tristement se démembre
Et se meurt au passé 注1
J'avais beau m'y attendre 注2
Mon cœur vide de tout
Ressemble à s'y méprendre 注3
A Paris au mois d'août
九月に追い払われ
僕たちのひと夏の恋は
悲しくも解体し
そして過去へと姿を消す
僕はそうなることは分かっていたはずだったが
僕の心は八月のパリとそっくりに
もぬけの殻になってしまった

De larmes et de rires
Etait fait notre amour
Qui redoutant le pire
Vivait au jour le jour
Chaque rue, chaque pierre
Semblaient n'être qu'à nous
Nous étions seuls sur terre
A Paris au mois d'août
僕たちの愛は涙と笑いに満ち
最悪の事態を怖れながらも
日々を生きていた
どの通りも、どの石ころも
僕たちのためだけにあるように思われ
僕たちだけがいた
八月のパリに
Pour te dire je t'aime
Aussi loin que tu sois
Une part de moi-même
Reste accrochée à toi
Et l'autre solitaire
Recherche de partout
L'aveuglante lumière
De Paris au mois d'août
君がどれだけ遠くに行ってしまっても
愛していると言いたくて
僕の半身は
君にしがみついたままだ
そして残る半身はひとり寂しく
そこここに探し求める
八月のパリの
まばゆい光を

Dieu fasse que mon rêve 注4De retrouver un peu
Du mois d'août sur tes lèvres
De Paris dans tes yeux
Prenne forme et relance
Notre amour un peu fou
Pour que tout recommence
A Paris au mois d'août
神よお願いだ 僕の夢を
君の唇にあった八月を
そして君の瞳にあったパリを
わずかでもまた見出したいという僕の夢を
実現させてくれそして返してくれ
僕たちの少々狂った恋を
すべてが再び元のように始まるよう
八月のパリで
[注]
1 se mourirは文語的表現で「死にかけている、消えていく」
2 avoir beau「たとえいくら…しても(無駄である)、…だけれども」。s'attendre à「…を予想する、覚悟する」
3 à s'y méprendre「取り違えるほどだ」
4 Dieu +sub.「神が…してくれますように」。faire que+sub.「…となるようにする」。Dieu fasse que(mon rêve prenne forme) et (Dieu) relance notre amourというつながり。
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