2016
11.13

アトリのようには歌えないPas de pinson

Régine Pas de pinson


レジーヌRégine(本名:レジーナ・ジルベルグRegina Zylberberg)は1929年、ベルギー生まれ。戦後パリのナイトクラブ「ウィスキー・ア・ゴーゴー」の支配人となったのち、モンパルナスに「ジミーズ Jimmy's」をオープンし、「パリの夜の女王」と呼ばれました。1964年にレコード・デビュー。女優としても活躍しています。
このブログでは、セルジュ・ゲンズブールSerge Gainsbourgが彼女のために作った「小さな紙切れLes petits papiers」を先に取り上げています。
今回ご紹介するのは、「アトリのようには歌えないPas de pinson」(1969年。作詞:ガストン・ボヌールGaston Bonheur 、作曲:フランシス・レイFrancis Lai)という曲で、1970年のアルバム:La fille que je suisに収録されています。私としては結構惹かれる曲です。邦題は既存のものを用いました。



Pas de pinson  アトリのようには歌えない
Régine       レジーヌ


Y a pas d’pinson dans ma chanson 注1
Y a plus personne dans la gare
Y a pas d’oiseaux, pas de raisons
Et le point rouge d’un cigare

  私の歌にはアトリがいない
  駅にはもう誰もいない
  小鳥たちもいないし、道理もない
  そして葉巻の火の赤い点が

Pas de pinson1


Plus d’oiseau bleu pas de pardon 注2
Le train d’Anvers n’attend personne 注3
Un signe à revers comme ces yeux 注4
Lui déjà loin, moi qui frissonne

  青い鳥ももういないしどうしようもない
  アンヴェール発の列車は誰も待たない
  この目のようなテールランプ
  彼はもう遠ざかり、震える私

Plus de marins
Dans mon refrain
Ni matelots
Ni tourterelles
Adieu foulard
Adieu ma mère
Y a pas d’pinson
Dans ma chanson

  私のルフランには
  船乗りたちはもういない
  水夫たちも
  キジバトたちも
  さよならスカーフ
  さよならお母さん
  私の歌には
  アトリがいない

Je me souviens d’une musique
Qu’il sifflotait dans cet hôtel
Près de la mer, pas loin du ciel
À l’hôtel des « Deux Amériques » 注5

  彼がこのホテルで口笛で吹いていた
  曲を思い出す
  海の近くの、空から遠くない
  「二人のアメリカ人」というホテルで

Il était blond comme les blés
Comme le Nord, comme l’orage 注6
Et il avait dans une cage
Un drôle d’oiseau qui parlait

  彼は麦のように金髪だった
  北欧人のように、雷雨のように
  そして彼は喋る奇妙な鳥を
  籠に入れて飼っていた

Pas de pinson3


Y a pas d’pinson dans ma chanson
Plus d’ortolan, la cage est vide
Plus de velours, plus de frissons
Au bout duquel, plus d’oiseau-lyre

  私の歌にはアトリがいない
  ホオジロももういない、籠はからっぽ
  ビロードの柔らかさももうない、身の震えももうない
  ついには、コトドリもいなくなった

Plus d’alcyon, plus de cols bleus 注7
Que mes regrets, plus d’alouettes
Que mes soupirs, que mes adieux
Que mes sanglots, adieu mouettes

  アルキヨンももういない、水兵たちももういない
  私の後悔だけ、ヒバリたちはもういない
  私のため息だけ、わたしのさよならだけ
  私の嗚咽だけ、さよならカモメたち

Plus d’oiseaux bleus
De matelots
Le train d’Anvers
Me laisse veuve
Adieu foulard
Adieu ma mère
Y a pas d’pinson
Dans ma chanson

  青い鳥たちも
  水夫たちももういない
  アンヴェール発の列車は
  私をやもめにした
  さよならスカーフ
  さよならお母さん
  私の歌には
  アトリがいない

Pas de pinson4


[注] 
1 pinson「アトリ」は冬に公園や庭園に多い小鳥。
2 Il n'y a pas de pardon.「手のつけようがない、情け容赦もない」
3 Anvers「アンヴェール」レジーヌはベルギー生まれであり、アントウェルペンにあるベルギー国鉄が運営する鉄道駅「アントウェルペン中央駅」(蘭語:Station Antwerpen-Centraalのことであろう。
4 signe à revers「後部のサイン」とは「テールランプ(尾灯)」のことだと判断した。
5 Deux Amériques「二人のアメリカ人」 という名のホテルが実在するか否かは確認できなかった。
6 Nord:先頭文字が大文字なので「北欧」。北欧では金髪碧眼の人が多い。
7 alcyon「アルキヨン」冬至の頃の海上の風波を静める力を持つといわれる幸運の鳥。歌詞サイトではalsillonとされていたが、辞書の表記に合わせた。




コメント
管理者にだけ表示を許可する
 
back-to-top