
シンガー・ソングライターのギィ・マルデルGuy Mardelは、シャンタル・ゴヤChantal Goyaとデュオで歌う「バラを君にPrends une rose」をすでにご紹介していますが、1944年にアルジェリアのオランで生まれ、15歳までアルジェリアで暮らしたのち、1959 年にフランスに移り歌手となりました。すなわちエンリコ・マシアスEnrico Maciasと同様にピエ・ノワールPieds-Noirsです。デヴュー後、最初のうちは鳴かず飛ばずでしたが、1965年のユーロヴィジョン・コンクールで、フランス代表として「決して云わないでN'avoue jamais」を歌い、3位に入賞しました。
今回、この曲を取り上げましょう。作詞は、フランソワーズ・ドランFrançoise Dorin、作曲はギ・マルデル自身。日本では越路吹雪の歌で知られています。
この曲のタイトル:N'avoue jamais のavouerという動詞は「白状する、告白する」という意味で、この歌詞では、誰かを好きになっても性急な告白はするな。回り道をして待てば永続する本物の愛が得られる、と言っています。日本語の歌詞とはずいぶん趣旨が違うようですね。
1965年のユーロヴィジョン・コンクール
N'avoue jamais 決して云わないで
Guy Mardel ギィ・マルデル
{Refrain:}
N'avoue jamais,
Jamais, jamais, jamais, jamais
N'avoue jamais que tu aimes
N'avoue jamais, jamais,
Jamais, oh non jamais
N'avoue jamais que tu l'aimes
云っちゃダメ、
ダメ、ダメ、ダメ、ダメ
云っちゃダメ 愛してるって
云っちゃダメ、ダメ
ダメ、いやダメだ
云っちゃダメ 彼を愛してるって

Si tu veux qu'on te donne
Tout ce que tu attends
Si tu veux que l'automne
Ait le goût du printemps
Sois celui qui déroute
Et souviens-toi toujours
Qu'il faut semer le doute
Pour récolter l'amour
もしも君の待っているものをすべて
誰かがくれることを望むなら
もしも秋が
春の風情をもつことを望むなら
回り道をなさい
そしていつも覚えておくといい
愛を収穫するためには
疑いの種を撒かなきゃならないことを
{Refrain}
Si tu tiens à défendre
Ton bonheur d'amoureux
Si tu tiens à entendre
Les plus tendres aveux
Soit celui que l'on aime 注
Pour ce qu'il ne dit pas
Qui commence un poème
Mais ne le finit pas
もしも君が
恋するしあわせをまもりたいと望むなら
もしも君がとても甘い告白を
聞きたいと望むなら
愛する相手の誰かさんは
口には出さないことを
詩に託し始め
それをやめることはない

{Refrain}
{Coda:}
N'avoue jamais, jamais
Jamais, jamais
Jamais, n'avoue jamais que tu l'aimes
云っちゃダメ、ダメ
ダメ、ダメ
ダメ、云っちゃダメ 彼を愛してるって
[注] Soit「仮に…だとしよう」という仮定を示す。この部分は意訳した。
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