2016
11.04

塔の囚人Le prisonnier de la tour

Édith Piaf Le prisonnier de la tour


今回は、エディット・ピアフÉdith Piafの「塔の囚人Le prisonnier de la tour」(1949年。作詞:フランシス・ブランシュFrancis Blanche, 作曲: Francis BlancheとG. カルヴィG. Calvi)。別府葉子さんの歌でこの曲を知りました。以前取り上げた「王様の牢屋Les prisons du roy」と似た題材ながら、こちらの方がメロディアスです。イザベルIsabelleという娘の言葉とおばあ様なる人物の言葉が1節ごとに交互になっていて、最後におばあ様が意外なことを述べます。



Le prisonnier de la tour  塔の囚人
Édith Piaf           エディット・ピアフ


Le prisonnier de la tour
S´est tué ce matin,
Grand-mère.
Nous n´irons pas à la messe demain.
Il s´est jeté de la tour
En me tendant les mains,
Grand-mère.
Il m´a semblé que j´avais du chagrin. 注1

  塔の囚人は
  今朝、自殺したのよ、
  おばあ様。
  私たちは明日ミサには行かないわ。
  彼は塔から身を投げたの
  私に手を差し伸べながら、
  おばあ様。
  私は悲しい気持ちになったわ。

Le prisonnier de la tour 10


Si le roi savait ça, Isabelle,
Isabelle, si le roi savait ça,
A la robe de dentelle,
Vous n´auriez plus jamais droit, 注2
Isabelle, si le roi savait ça.

  もしも王様がこのことをお知りになったら、イザベル、
  イザベル、もしも王様がこのことをお知りになったら、
  レースのドレスなど賜る権利など、
  あなたにはもうけっしてないでしょう、
  もしも王様がこのことをお知りになったら。

Le prisonnier de la tour
Était mon seul ami,
Grand-mère.
Nous n´irons pas à la messe aujourd´hui.
Il était mon seul amour,
La raison de ma vie,
Grand-mère
Et ma jeunesse est éteinte avec lui.

  塔の囚人は
  私のたったひとりの友だちよ、
  おばあ様。
  私たちは今日ミサには行かないわ。
  彼は私のたったひとりの恋人で、
  私の生きる理由も、
  おばあ様
  私の若さも彼とともに消えたわ。

Si le roi savait ça, Isabelle,
Isabelle, si le roi savait ça,
A la robe de dentelle,
Vous n´auriez plus jamais droit,
Isabelle, si le roi savait ça.

  もしも王様がこのことをお知りになったら、イザベル、
  イザベル、もしも王様がこのことをお知りになったら、
  レースのドレスなど賜る権利など、
  あなたにはもうけっしてないでしょう、
  もしも王様がこのことをお知りになったら。

Le prisonnier de la tour4


Le prisonnier de la tour,
Chaque jour, m´attendait,
Grand-mère.
Nous n´irons plus à la messe, jamais.
C´est un péché que l´amour 注3
Et le monde est mal fait,
Grand-mère.
On a tué mon amant que j´aimais.

  塔の囚人は、
  毎日、私を待っていたわ、
  おばあ様。
  私たちはミサには行かないわ、もうけっして。
  恋って罪だわ
  そして世の中が不具合なの、
  おばあ様。
  みんなは私が愛していた恋人を殺したのよ。

Si le roi savait ça, Isabelle,
Isabelle, si le roi savait ça,
A la robe de dentelle,
Vous n´auriez plus jamais droit,
Isabelle, si le roi savait ça.

  もしも王様がこのことをお知りになったら、イザベル、
  イザベル、もしも王様がこのことをお知りになったら、
  レースのドレスなど賜る権利など、
  あなたにはもうけっしてないでしょう、
  もしも王様がこのことをお知りになったら。

Le prisonnier de la tour
N´aura pas de linceul
Et rien
Rien qu´un trou noir où s´engouffrent les feuilles,
Mais moi, j´irai chaque jour
Pleurer sous les tilleuls
Et rien,
Pas même le roi, n´empêchera mon deuil.

  塔の囚人は
  死装束をまとわない
  そして何も無いのよ
  木の葉がなだれ込む暗い穴しか無いの、
  でも私はね、私は毎日
  菩提樹の下に泣きに行く
  そして何者も、
  王様でさえ、私の喪の悲しみを妨げないわ。

Le prisonnier de la tour2


Si le roi savait ça, Isabelle,
Il ne pourrait que pleurer avec toi
Car il aimait une belle
Qui n´était pas pour un roi
Et la belle, Isabelle, c´était moi...

  もしも王様がこのことをお知りになったら、イザベル、
  王様はあなたと一緒に泣くことしかおできにならないわ
  だって彼は、王にそぐわない
  一人の女を愛していたから
  そしてその女とは、イザベル、それは私だったのよ…

[注]
1 Il me semble que…「…のように思われる」
2 avoir droit à qc.「…を受ける権利がある」
3 C´est A que B「BはA である」同格を導く、虚辞的用法。



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