
今回は、ジョルジュ・ブラッサンスGeorges Brassens「オーヴェルニュ人に捧ぐChanson pour l'auvergnat」です。1954年に作られたこの曲は、戦時中に強制労働から脱走した彼をかくまってくれたオーヴェルニュ人夫妻と、もうひとりのオーヴェルニュ人、café-charbon(コーヒーとワインと炭を売るカフェ)の店主への感謝をあらわして書かれた曲です。彼はのちに夫妻の家を買い取り、60年半ばに彼らが亡くなるまでいっしょに生活するとともに、友人たちにその家を開放し、年中来客を受け入れていたそうです。
ブラッサンスに関しては「仲間を先に(パリジャン気質)Les Copains d'abord」のページに書いていますので、そちらを参照ください。
Chanson pour l'auvergnat オーヴェルニュ人に捧げる歌
Georges Brassens ジョルジュ・ブラッサンス
Elle est à toi cette chanson
Toi l’Auvergnat qui sans façon
M’as donné quatre bouts de bois
Quand dans ma vie il faisait froid
Toi qui m’as donné du feu quand
Les croquantes et les croquants 注1
Tous les gens bien intentionnés
M’avaient fermé la porte au nez
Ce n’était rien qu’un feu de bois
Mais il m’avait chauffé le corps
Et dans mon âme il brûle encore
A la manièr’ d’un feu de joie
この歌は君に捧ぐるもの
僕が人生で寒さに震えていたときに
もったいぶらず僕に4本の薪をくれた
オーヴェルニュ人の君
粗野な男たちや女たち
すべての善人たちが
僕を門前払いしたときに
僕に火をくれた君
それは薪の火にすぎなかった
けれど僕の体を暖め
僕の心のなかにそれはまだ燃え続けている
喜びの焔として

Toi l’Auvergnat quand tu mourras
Quand le croqu’mort t’emportera
Qu’il te conduise à travers ciel 注2
Au père éternel
オーヴェルニュ人の君 君が死んだとき
葬儀人が君を運ぶとき
空をぬけて運んでくれますように
永遠の父のみもとへと
Elle est à toi cette chanson
Toi l’hôtesse qui sans façon
M’as donné quatre bouts de pain
Quand dans ma vie il faisait faim
Toi qui m’ouvris ta huche quand
Les croquantes et les croquants
Tous les gens bien intentionnés
S’amusaient à me voir jeûner
Ce n’était rien qu’un peu de pain
Mais il m’avait chauffé le corps
Et dans mon âme il brûle encore
A la manièr’ d’un grand festin
この歌は君に捧ぐるもの
僕が人生で空腹にあえいでいたときに
もったいぶらず僕に4切れのパンをくれた
女主人の君
粗野な男たちや女たち
すべての善人たちが
絶食している僕を面白がっていたときに
僕のために長びつを開けてくれた君
それは少しばかりのパンにすぎなかった
けれど僕の体を暖め
僕の心のなかにそれはまだ燃え続けている
りっぱなご馳走として

Toi l’hôtesse quand tu mourras
Quand le croqu’mort t’emportera
Qu’il te conduise à travers ciel
Au père éternel
女主人の君 君が死んだとき
葬儀人が君を運ぶとき
空をぬけて運んでくれますように
永遠の父のみもとへと
Elle est à toi cette chanson
Toi l’étranger qui sans façon
D’un air malheureux m’as souri
Lorsque les gendarmes m’ont pris
Toi qui n’as pas applaudi quand
Les croquantes et les croquants
Tous les gens bien intentionnés
Riaient de me voir emmener
Ce n’était rien qu’un peu de miel
Mais il m’avait chauffé le corps
Et dans mon âme il brûle encore
A la manièr’ d’un grand soleil
この歌は君に捧ぐるもの
憲兵たちが僕を捕えたとき
もったいぶらず辛そうな様子で僕に微笑んだ
見知らぬ君
粗野な男たちや女たち
すべての善人たちが
連行される僕をあざ笑っていたときに
拍手をしなかった君
それは少しばかりの優しさにすぎなかった
けれど僕の体を暖め
僕の心のなかにそれはまだ燃え続けている
大きな太陽のように

Toi l’étranger quand tu mourras
Quand le croqu’mort t’emportera
Qu’il te conduise à travers ciel
Au père éternel
見知らぬ君 君が死んだとき
葬儀人が君を運ぶとき
空をぬけて運んでくれますように
永遠の父のみもとへと

[注]
1 croquant(e)「百姓、田舎者」「粗野な人」ここでは次行のles gens bien intentionnésとの対比で後者を選んだ。
2 Qu’il te conduise…接続法で願望を表している。
Comment:2
コメント
いつも応援していただいて感謝しています。
コンクールやコンサートなどなどでバタバタしていてちゃんとお返事できないことが多いですが、お許しください。
私にとって、シャンソンの世界はまだまだ知らないことだらけ。
mimihaさんはとても詳しい方だと思います。
気づかれたことがあればいつでもどうぞお知らせください。
コンクールやコンサートなどなどでバタバタしていてちゃんとお返事できないことが多いですが、お許しください。
私にとって、シャンソンの世界はまだまだ知らないことだらけ。
mimihaさんはとても詳しい方だと思います。
気づかれたことがあればいつでもどうぞお知らせください。
朝倉ノニー
2016.09.16 15:41 | 編集

ブラッサンス。好きなのです。だから素直に嬉しい^^
ありがとうと拍手をノニーさんに88888^^
ありがとうと拍手をノニーさんに88888^^
mimiha
2016.09.16 14:57 | 編集
