2016
08.28

サン=ルイ島L'île Saint-Louis

Léo Ferré La chanson du scaphandrier


前回に引き続き、「島」がテーマです。
パリの中央を流れるセーヌ川にあるサン=ルイ島Île Saint-Louisは、のあるシテ島Île de la Citéとともに「パリ発祥の地」と呼ばれ、パリの中心部に位置するセーヌ川の中州。サン=ルイ島は古くから大貴族や著名人が邸宅を構える最高級住宅地として知られ、両側の岸およびシテ島と5本の橋でつながっています。

Lîle Saint-Louis1


ご紹介する「サン=ルイ島L'île Saint-Louis」という曲は、そのサン=ルイ島がシテ島のそばにいることに飽きて川を下って海に出て行くという不思議な内容。大きなシテ島にちょっとどいてもらわないと行けないはず…いえいえ、余計な理屈は引っ込めましょう。

作詞:レオ・フェレLéo Ferré&フランシス・クロードFrancis Claude、作曲:レオ・フェレLéo Ferré。ジャクリーヌ・ヴァロワJacqueline Valoisが1948年にラジオで創唱し、1952ルネ・ルバRenée Lebas、ミッシェル・アルノーMichèle Arnaudが歌い、翌1953年にはカトリーヌ・ソヴァージュCatherine Sauvageも歌いました。

レオ・フェレ自身の歌は1954年のアルバム:Chansons de Léo Ferréに収録されています。



ミッシェル・アルノーは作詞したフランシス・クロードの経営する店でこの歌を歌ってデヴューし、彼と結婚することになりました。私は彼女の歌が一番好きですが、フェレの元の歌詞を全部は歌っていません。



カトリーヌ・ソヴァージュ



L'île Saint-Louis   サン=ルイ島
Léo Ferré        レオ・フェレ


L'île Saint-Louis en ayant marre
D'être à côté de la Cité
Un soir a rompu ses amarres
Elle avait soif de liberté
Avec ses joies, avec ses peines
Qui s'en allaient au fil de l'eau
On la vit descendre la Seine
Ell' se prenait pour un bateau.

  サン=ルイ島は
  シテ島のそばにいることにうんざりして
  ある晩 舫い綱を断ち切った
  彼女は自由を渇望したのだ
  喜びと、苦しみとともに
  彼女は水の流れに乗った
  ひとは彼女がセーヌ川を下るのを見た
  彼女は船になったつもりだった。

Lîle Saint-Louis3


Quand on est une île
On reste tranquille
Au cœur de la ville
C'est ce que l'on dit,
Mais un jour arrive
On quitte la rive
En douce on s'esquive 注1
Pour voir du pays.

  島であるからにゃ
  街の真ん中で
  静かにじっとしているもんだ
  とひとは言う、
  だけどある日
  岸辺を離れ
  ひそかに逃げ出すのだ
  国々を見るために。

De la Mer Noire à la Mer Rouge
Des îles blanches, aux îles d'or
Vers l'horizon où rien ne bouge
Point n'a trouvé l'île au trésor, 注2
Mais tout au bout de son voyage
Dans un endroit peu fréquenté
On lui raconta le naufrage
L'île au trésor s'était noyée.

  黒海から紅海まで
  白い島々から、金色の島々まで
  動くものとて無い水平線のあたりには
  宝島なんてまるで見つからなかった
  だが旅の最後に
  あまり人の訪れないところで
  彼女は難破の話を聞かされた
  宝島は海に溺れたんだ。

Quand on est une île
On vogue tranquille
Trop loin de la ville
Malgré c'que l'on dit,
Mais un jour arrive
Où l'âme en dérive,
On songe à la rive
Du bon vieux Paris

  島でありながら
  街からとても遠いところで
  静かに漂っている
  ひとの言うことに逆らって、
  だが魂がそこから引き返す
  日がやって来る
  古き良きパリの
  岸辺を思い出すのさ

Lîle Saint-Louis6


L'Ile Saint-Louis a de la peine
Du pôle Sud au pôle Nord
L'océan ne vaut pas la Seine
Le large ne vaut pas le port
Si l'on a trop de vague à l'âme 注3
Mourir un peu n'est pas partir 注4
Quand on est île à Notre-Dame 注5
On prend le temps de réfléchir.

  サン=ルイ島は苦しむ
  南極から北極までの
  海はセーヌ川には匹敵しない
  外海は港には匹敵しない
  もしもあまりに物憂い気持ちだったとしても
  ちょっとばかり死ぬことは行ってしまうことじゃない
  ノートル=ダムに属する島であるからにゃ
  よく考える時間を持つことだ。

Quand on est une île
On reste tranquille
Au cœur de la ville
Moi je vous le dit,
Pour les îles sages
Point de grands voyages
Les livres d'images 注6
Se font à Paris

  島であるからにゃ
  街の真ん中で
  静かにじっとしているもんだ
  僕はねあなたにそう言うよ、
  お利口さんの島々にとっちゃ
  大旅行なんて関係ないんだ
  絵本はね
  パリで作られるものさ

Lîle Saint-Louis5


[注]
1 en douce「ひそかに、こっそりと」。
2 否定の意味のpointが主語とされるのは稀だが、他の例としてはPoint n’est besoin de+inf.「…する必要はまったくない。」がある。
3 vagueには「波」「虚空」「(心の)中途半端さ、どっちつかず」という3つの意味があり、avoir du vague à l'âme「物憂い(物悲しい)心地である」は3番目の意味。
4 mourir un peuが主語。
5 隣のシテ島にはノートルダム大聖堂Cathédrale Notre-Dame de Parisがあり、サン=ルイ島はその後ろに位置する。
6 livres d'images se font à Paris「絵本はパリで作られる」。大旅行して世界を回らなくてもパリであらゆるものが見られる。



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