2016
08.31

夏の夕べにJe suis un soir d'été

Jacques Brel Jarrive


今回はジャック・ブレルJacques Brelの「夏の夕べにJe suis un soir d'été」です。1968年にリリースされた10番目のアルバム:J'arriveに収録されています。造語が多用され言葉遣いがたいへん特殊な歌詞です。あえて支離滅裂な情景描写をしているのでしょうか。納得のいかない箇所が複数残っていますが、思い切って出しましょう、夏のうちに。



Je suis un soir d'été  夏の夕べに
Jacques Brel       ジャック・ブレル


Et la sous-préfecture
Fête la sous-préfète
Sous le lustre à facettes
Il pleut des orangeades 注1
Et des champagnes tièdes
Et des propos glacés
Des femelles maussades
De fonctionnarisés
Je suis un soir d’été

  そして郡庁では
  輝く名声のもとに
  副知事夫人を祝福する
  オレンジエードが
  そしてなまぬるいシャンパンが
  そして官吏たちの
  ぶすっとした夫人たちの
  冷え切った話題が降り注ぐ
  僕はある夏の夕べを過ごしている

Je suis un soir dété1


Aux fenêtres ouvertes
Les dîneurs familiaux
Repoussent leurs assiettes
Et disent qu’il fait chaud
Les hommes lancent des rots
De chevaliers teutons 注2
Les nappes tombent en miettes
Par-dessus les balcons
Je suis un soir d’été

  開いた窓の側らで
  家族で夕食をする人たちは
  料理の皿をはねつけ
  暑いと言う
  ドイツ人のナイトの
  男たちはゲップをする
  テーブルクロスはばらけて落ちる
  バルコニーの上に
  僕はある夏の夕べを過ごしている

Aux terrasses brouillées
Quelques buveurs humides
Parlent de haridelles 注3
Et de vieilles perfides
C’est l’heure où les bretelles 注4
Soutiennent le présent
Des passants répandus
Et des alcoolisants 注5
Je suis un soir d’été

  曇天のテラスでは
  何人かの汗をにじませた男たちが
  がりがりののっぱの女たちのことや
  年増の尻軽たちのことを話している
  今は サスペンダーが
  散って行く通行人たちや
  アル中たちの現在をつなぎとめる時間だ
  僕はある夏の夕べを過ごしている

Je suis un soir dété2


De lourdes amoureuses
Aux odeurs de cuisine
Promènent leur poitrine
Sur les flancs de la Meuse 注6
Il leur manque un soldat
Pour que l’été ripaille 注7
Et monte vaille que vaille 注8
Jusqu’en haut de leurs bas 注9
Je suis un soir d’été

  鈍重な恋する女たちは
  厨房の匂いで
  胸の想いを馳せる
  ムーズ河の岸辺へと
  彼女たちは一人の兵士が恋しくて
  夏が宴を開いて
  なんとかストッキングの上までやって来てくれと願う
  僕はある夏の夕べを過ごしている

Aux fontaines les vieux
Bardés de références
Rebroussent leur enfance
A petits pas pluvieux
Ils rient de toute une dent 注10
Pour croquer le silence
Autour des filles qui dansent
A la mort d’un printemps
Je suis un soir d’été

  身元証明を身に付けた
  老人たちは 泉のほとりで
  雨に濡れつつとぼとぼと
  幼年時代に戻る
  彼らは1本歯で大笑いする
  静寂を噛み砕くために
  春の終わりに
  踊る娘たちのまわりの静寂を
  僕はある夏の夕べを過ごしている

La chaleur se vertèbre 注11
Il fleuve des ivresses 注12
L’été a ses grand-messes 注13
Et la nuit les célèbre
La ville aux quatre vents
Clignote le remords
Inutile et passant
De n’être pas un port
Je suis un soir d’été

  灼熱が背を伸ばし
  酔いが流れ出す
  夏は歌ミサを有し
  夜がそれをいとなむ
  街は四方に
  無駄で一時的な
  悔恨をしばたたかせる
  安息の地となり得ないという悔恨を
  僕はある夏の夕べを過ごしている

Je suis un soir dété3


[注] 題名および歌詞中のJe suis un soir d’étéは「私が夏の夕べを過ごしている」という、時間をあらわす表現。
1 Il pleut「雨が降る」だが、orangeade「オレンジエード」などの液体や液体以外の諸々のものまでが「降り注がれる」という表現に用いている。
2 teuton「チュートン人、テウトニ族(古代ゲルマン人の一種族)」あるいは「ドイツ人、ゲルマン人」を軽蔑的に指す。chevalierは「(中世の)騎士」だが、「(女性の)同伴者」の意味でも用いられる。
3 haridelle「やせ馬」。「痩せて背の高い女」のことも言う。
4 bretelle「物を背負うためのヒモ、革」。複数形で「サスペンダー、ズボン吊り」。
5 alcoolisant:alcooliser「…を酔わせる、アルコール中毒にする」の現在分詞を造語的に名詞として用いている。
6 Meuse「ムーズ河」フランス東部に発し、ベルギー、オランダを経て北海に注ぐ河。
7 ripailler「ご馳走をたらふく食べる、大宴会をおこなう」。
8 vaille que vaille「どうにか、ともかく」
9 en haut de「…の上部に、頂に」。bas「ストッキング」
10 rire de toutes ses dentes「呵々大笑いする」という表現を、老人なのでune dentとしたのだろう。
11 vertèbreは「椎骨」、vertèbréは「脊椎のある」で、se vertèbrerは造語。
12 fleuve「大河、流れ」をfleuverという動詞にしている。
13 grand-messe「歌ミサ」



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