2016
08.01

美しい物語Une belle histoire

Michel Fugain


ミッシェル・フュガンMichel Fugainは1942年フランスのグルノーブルで生まれました。医学の勉強をあきらめたのち作曲の勉強をして、エルヴェ・ヴィラールHerve Vilard、ダリダDalida、マリー・ラフォレMarie Laforêtなどに曲を提供しました。1967年に自身の最初のアルバムを出したのち、1972年に、11人のミュージシャンと15人のその他のメンバーからなるグループBig Bazarを結成し、Fais comme l’oiseauやこの曲「美しい物語Une belle histoire」などを発表し、話題になります。その後、フュガンはグループを去り、Big Bazarも数年後に活動を終えます。1979年、彼はニースに音楽のワークショップ(若手アーティストのための教育の場)を設立しました。そして、1988年にViva la Vidaという曲でカムバックしました。その後、シャルル・アズナヴールCharles Aznavour、ミッシェル・サルドゥーMichel Sardouなどから提供された曲も歌っていたようです。最近では2011年から2012年にかけて、「良い年、悪い年Bon an, mal an」と題したアルバムを3つ出しています。ジャケットの写真を見ると、髭で黒々しかった顔立ちが一変していて別人のようです。

この曲「美しい物語Une belle histoire」は、1972年に、ミッシェル・フュガン&ビッグ・バザールMichel Fugain & Big Bazarのファーストアルバムに収録されています。フュガン自身の作曲でピエール・ドラノエPierre Delanoëの作詞。「愛の歴史」という邦題も使われていますが、これはまったくいただけません。英語のhistoryは歴史ですが、フランス語のhistoireは「歴史」と「物語」と二つの意味があり、この曲の内容は行きずりの恋の「物語」であって、進展・変化の過程を持った「歴史」というものではけっしてないのです。日本のグループのサーカスが「ミスターサマータイム」としてカヴァー。歌詞の内容はまったく違いますが、夏のヴァカンスでの恋ということでは、原曲の内容を引き継いでいます。

黒ひげフュガンの歌っている動画があったのですが、後半に女性とデュエットしているところがフランス語ではないのでやめました。選んだこちらの動画は、音源がBig Bazar当時のものですし、モノクロのパリの写真もなかなかいいです。



Une belle histoire        美しい物語
Michel Fugain & Big Bazar  ミッシェル・フュガン&ビッグ・バザール


C'est un beau roman, c'est une belle histoire 注1
C'est une romance d'aujourd'hui
Il rentrait chez lui, là-haut vers le brouillard
Elle descendait dans le midi, le midi
Ils se sont trouvés au bord du chemin
Sur l'autoroute des vacances
C'était sans doute un jour de chance 注2
Ils avaient le ciel à portée de main 注3
Un cadeau de la providence
Alors pourquoi penser au lendemain

  それは美しい小説、美しい物語
  それは今日の恋の歌
  彼は、霧に向かって北上し、家路につくところだった
  彼女は南へと下っていた、南へと
  彼らは出会ったんだ
  ヴァカンス用高速道路の端で
  それはたぶん 幸運な日だった
  彼らには空が手の届くところにあった
  神さまからの贈り物なんだ
  そんな時どうして明日のことを考えようか

Une belle histoire1


Ils se sont cachés dans un grand champ de blé
Se laissant porter par les courants
Se sont racontés leur vies qui commençaient
Ils n'étaient encore que des enfants, des enfants
Qui s'étaient trouvés au bord du chemin
Sur l'autoroute des vacances
C'était sans doute un jour de chance
Qui cueillir le ciel au creux de leurs mains
Comme on cueille la providence 注4
Refusant de penser au lendemain

  彼らは広い麦畑に隠れて
  風の向くままに身を任せつつ
  始まったばかりの彼らの生活について語り合った
  彼らはまだ子供に過ぎなかった、子供に
  ヴァカンス用高速道路の端で出会ったんだ
  それはたぶん 運のいい日だった
  空を手でつかみ取ったんだ
  神さまをつかみ取るみたいに
  明日のことを考えるのをこばみながら

Une belle histoire3


C'est un beau roman, c'est une belle histoire
C'est une romance d'aujourd'hui
Il rentrait chez lui, là-haut vers le brouillard
Elle descendait dans le midi, le midi
Ils se sont quittés au bord du matin
Sur l'autoroute des vacances
C'était fini le jour de chance
Ils reprirent alors chacun leur chemin
Saluèrent la providence en se faisant un signe de la main

  それは美しい小説、美しい物語
  それは今日の恋の歌
  彼は、霧に向かって北上し、家路につくところだった
  彼女は南へと下っていた、南へと
  朝になって彼らは別れた
  ヴァカンス用高速道路の端で
  幸運な日は終わった
  そして彼らは各々再び自分の道に戻り
  手を振りながら神さまに挨拶した

Une belle histoire4


Il rentra chez lui, là-haut vers le brouillard
Elle est descendu là-bas dans le midi

  彼は霧に向かって北上し、家路につき
  彼女は南へと下った

C'est un beau roman, c'est une belle histoire
C'est une romance d'aujourd'hui

  それは美しい小説、美しい物語
  それは今日の恋の歌

[注]
1 romanは「小説」。histoireは、ここでは「物語」。romanceは「恋愛詩、恋の歌」で、日本で言うロマンスとは意味が違う。
2 jour de chance「何をやってもうまくいく日、ついている日」
3 à portée de (la) main「手近に」
4 providence神学用語では「節理」。大文字で「神」。一般的には「救いの神、頼みの綱、天の助け」。この歌詞では「神さま」そのものとしたほうがふさわしいと思われる。



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