
フランソワーズ・アルディーFrançoise Hardyの「恋の季節Le temps de l'amour」(作詞: André Salvet, Lucien Morisse、作曲: Pierre Grascolas)を、最近ふと耳にして、古い曲で音質も悪いし、野暮ったい伴奏だなと思いつつも、心の奥をくすぐられるような感じがして、妙にこの曲が気になりました。リリースされたのは1962年。ちょうど、弘田三枝子の「悲しき片思い」(61年)、「ヴァケイション」(62年)と同じ頃で、ミコちゃんと同い年の私は実際に「悲しき片思い」を少しばかり経験していました。そしてその後、ピンキーとキラーズの「恋の季節」(68年)は、私自身の「恋(+失恋)の季節」そのものでした。私と同じ団塊の世代の方々にとっては、60年代すなわちイエイエYéyéの時代は青春と重なりますね。和製ポップスのみならずイエイエの曲も、その頃ちゃんと聴いていなくても、今聴くとなにか懐かしさのようなものを感じさせるのではないでしょうか?
歌詞の最後に、「ひとはそれを思い出すOn s'en souvient」が繰り返されます。「恋の季節」を思い出す人のための曲なんですね。
旦那のジャック・デュトロンとデュオで歌っている動画もあります(→こちら)。歌詞の書かれた紙を掲げて二人の前にしゃがみ込んでいるおじさんが、なんともおかしいです。
Le temps de l'amour 恋の季節
Françoise Hardy フランソワーズ・アルディー
C'est le temps de l'amour
Le temps des copains et de l'aventure 注1
Quand le temps va et vient
On ne pense à rien malgré ses blessures
それは恋の季節
仲間たちとアヴァンチュールの季節
季節が行ったり来たりするとき
ひとは傷つきながらもなにも考えやしない
Car le temps de l'amour c'est long et c'est court
Ça dure toujours, on s'en souvient 注2
なぜなら恋の季節は長くもあり短くもある
それはずっと続き、ひとはそれを思い出す
On se dit qu'à vingt ans 注3
On est le roi du monde
Et qu'éternellement
Il y aura dans nos yeux tout le ciel bleu
二十歳のころは
自分を世界の王だと思っている
そして青空がまるごと自分の眼の中に
永遠にあるだろうと

C'est le temps de l'amour
Le temps des copains et de l'aventure
Quand le temps va et vient
On ne pense à rien malgré ses blessures
それは恋の季節
仲間たちとアヴァンチュールの季節
季節が行ったり来たりするとき
ひとは傷つきながらもなにも考えない
Car le temps de l'amour ça vous met au coeur
Beaucoup de chaleur et de bonheur
なぜなら恋の季節はあなたの心に
たくさんの熱情と幸福を与えるから
Un beau jour c'est l'amour 注4
Et le coeur bat plus vite
Car la vie suit son cours 注5
Et l'on est tout heureux d'être amoureux
ある日には それは恋
そして心臓はもっと速く打つ
なぜなら人生は予想通りになるものだから
そしてひとは恋しているととても幸せ

C'est le temps de l'amour
Le temps des copains et de l'aventure
Quand le temps va et vient
On ne pense à rien malgré ses blessures
それは恋の季節
仲間たちとアヴァンチュールの季節
季節が行ったり来たりするとき
ひとは傷つきながらもなにも考えない
Car le temps de l'amour c'est long et c'est court
Ça dure toujours on s'en souvient
On s'en souvient
On s'en souvient
On s'en souvient
なぜなら恋の季節は長くもあり短くもある
それはずっと続き、ひとはそれを思い出す
ひとはそれを思い出す
ひとはそれを思い出す
ひとはそれを思い出す

[注] le tempsには「時」「時代」「(人生の)時期」「季節」など、複数の意味があるが、ピンキラの曲名と同じ「恋の季節」という邦題を用いた。日本語の「季節」も、「四季」のみならず、人生の「時期」という意味合いで用いられるので、歌詞中もそれに合わせた。訳語を使い分けたほうがいい個所もあるが、同じ語の繰り返しを活かすことにした。
1 aventure「冒険」と訳してもよかったが、「情事」などのニュアンスを含んだ「アヴァンチュール」は日本語でも通用するので。
2 toujours「常に」「今でも」「永遠に」という複数の意味があり、文脈で判断するしかない。
3 se dire「自分に言う→心に思う」。vingt ans「二十歳=青春」
4 前節に、「恋の季節」が、たくさんの「熱情」と「幸福」を与えるとあり、それが或る日には「恋」だという。
5 suivre son cours「通常の経過をたどる、予想通りになる」
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