2014
10.18

マリンブルーのセーターPull marine

Isabelle Adjani


女優イザベル・アジャーニIsabelle Adjaniは1955年にフランス・パリ17区で生まれました。父親はアルジェリア人で母親はドイツ人。1969年に映画デビューしました。フランス語の他に英語・ドイツ語に堪能。各種の女優賞を何度もとっています。また、演劇女優としても何度かステージに立っています。恋多き人といわれ、共演者などとの関係が常に噂されてきました。一癖も二癖もある性格なようで、ウィキペディアによると、ゴダールの作品を突然降板したり、一度断った役を他の女優から奪い返したなどのスキャンダルも多く、マスコミが嫌いで、特に勝手に写真を撮られることを非常に嫌い、カンヌでパパラッチのカメラを壊したこともあったとか。

主な出演映画は、「アデルの恋の物語L'Histoire d'Adèle H.(1975)」「ブロンテ姉妹Les Soeurs Brontë(1978)」「ザ・ドライバーThe Driver(1978)」「死への逃避行Mortelle randonnée(1983)」「殺意の夏L'Été meurtrier(1985)」「イシュタールIshtar(1987)」「カミーユ・クローデルCamille Claudel(1988)」「王妃マルゴ La Reine Margot(1994)「悪魔のような女Diabolique(1996)」「イザベル・アジャーニの惑いAdolphe(2002)」「ボン・ヴォヤージュBon voyage(2003)」など。
私は、この最後の作品で彼女に興味を持ち、一時は彼女の出演作を続けて見ていました。たしかにすごい女優です。が、最近はずいぶん太っちゃったようですね。

アジャーニは、1974年からセルジュ・ゲンズブールSerge Gainsbourgの協力を受けてシャンソンを歌い始めました。今回取り上げる「マリンブルーのセーターPull marine」は、1983 年にゲンズブールによって書かれた曲の彼女の同名のファースト・アルバムのなかの曲で、一番のヒット曲。1984年にリュック・ベンソンLuc Bessonによりビデオ・クリップが制作されています。一般には「マリン色の瞳」という邦題が付けられています。確かに歌詞にはそうした表現がありますが、原題に即し、「マリンブルーのセーター 」としましょう。

そして彼女はその後、ゲンズブールから離れ、パスカル・オビスポPascal Obispo、エティエンヌ・ダオEtienne Daho、クリストフChristopheなどとのデュオのアルバム等を出しています。



Pull marine             マリンブルーのセーター
Isabelle Adjani           イザベル・アジャーニ


J'ai touché le fond d'la piscine
Dans l'petit pull marine,
Tout déchiré aux coudes
Qu'j'ai pas voulu recoudre,
Que tu m'avais donné.
J'me sens tellement abandonnée.

  わたしはプールの底に触れた
  小さなマリンブルーのセーターを着て、
  それは肘のところで完全に破れていたけど
  繕いたくはなかった、
  それはあなたがわたしにくれたセーター。
  わたしはこんなにも見捨てられたように感じる。

Y a pas qu'au fond d'la piscine 注1
Qu'mes yeux sont bleu marine.
Tu les avais r'pérés
Sans qu'il y ait un regard
Et t'avais rappliqué. 注2
Maintenant, je paie l'effet retard.

  わたしの目がマリンブルーなのは
  プールの底にいるときだけじゃないわ。
  あなたは視線もくれずに
  わたしの目を見分け
  そしてやって来たわ。
  今、わたしはその報いを受ける。

Isabelle Adjani1


Avant de toucher le fond,
Je descends à reculons,
Sans trop savoir c'qui se passait dans le fond.

  底に触れるまでのあいだ、
  わたしはうしろ向きに沈んで行く、
  底で起こるはずのことをあまり知らないまま。

C'est plein d'chlore au fond de la piscine.
J'ai bu la tasse, tchin tchin. 注3
Comme c'est pour toi, je m'en fous.
J'suis vraiment prête à tout.
T'avaler, que m'importe, 注4
Si l'on me trouve à moitié morte.

  プールの底は塩素でいっぱい。
  わたしは水を飲んじゃったわ、カンパ~イ。
  あなたのためだから、平気よ。
  わたしは本当になんでもするわ。
  あなたを飲みほすことだって、なんでもないわ、
  もしもわたしが死にかかっているところを発見されたとしてもね。

Noyée au fond d'la piscine, 注5
Personne ne te voyait
Sous mon p'tit pull marine,
M'enlacer, j't'embrassais 注6
Jusqu'au point de non-retour,
Plutôt limite de notre amour.

  プールの底で溺れて、
  誰もあなたを見ていなかったわ
  わたしの小さなマリンブルーのセーターの下で、
  わたしに絡みつくあなたを、わたしはあなたにキスした
  帰還不能のポイントで、
  というよりむしろ わたしたちの愛の限界で。

Isabelle Adjani2


Avant de toucher le fond,
Je descends à reculons,
Sans trop savoir c'qui se passait dans le fond.

  底に触れるまでのあいだ、
  わたしはうしろ向きに沈んで行く、
  底で起こるはずのことをあまり知らないまま。

Viens vite au fond d'la piscine
Repêcher ta p'tite sardine,
L'empêcher de se noyer,
Au fond d'toi, la garder,
Petite sœur traqueuse
De l'air de ton air amoureuse. 注7

  早くプールの底に来て、
  あなたの小さなイワシを引き上げて、
  溺れさせないで、
  あなたの心の底深く、守って、
  臆病な妹を
  あなたの愛情深い様子でひと息つかせてよ。

Si nous deux, c'est au fond dans la piscine,
La deux des magazines 注8
Se chargera d'notre cas
Et je n'aurai plus qu'à
Mettre des verres fumés
Pour montrer tout c'que je veux cacher.

  もしもわたしたち二人、プールの底でのこと、
  雑誌の2ページ目に
  わたしたちのことが載るとしたら
  わたしとしては
  サングラスをつけるしかしょうがない
  隠したいものをすべてを露わにするためには。

Isabelle Adjani4


Retrouve-moi au fond d'la piscine
Avant qu'ça m'assassine
De continuer sans toi.
Tu peux compter sur moi :
J'te r'ferai plus l' plan d'la star 注9
Qui a toujours ses coups de cafard. 注10

  プールの底でわたしを見つけてよ
  あなたがずっといてくれないせいで
  わたしが死んでしまう前に。
  あなたはわたしを信じていいわ:
  いつもふさぎ虫に取りつかれている
  女優のまねなんてもうあなたに対してしないわ。

J'ai touché le fond d'la piscine
Dans ton p'tit pull marine...

  わたしはプールの底に触れた
  あなたの小さなマリンブルーのセーターを着て…

[注] marineは「マリンブルー色」の意味の形容詞。pullは男性名詞なので、「海の」の意味の形容詞marinの女性形ではない。また、名詞のmarinは男性名詞で「船乗り」「セーラー服」「(地中海から南仏に吹く)南風」などの意味。marineは女性名詞としては「海運、船舶」関連の総体的な意味を持ち、「マリンブルー色」の意味のmarineは男性名詞である。
1 Y a pas=Il n’y a pasで、Il n’y a pas que A que B「BなのはAだけではない」
2 se rappliqué俗語で「戻って来る、やって来る」
3 boire la tasse「(溺れて)水を飲む」
4 t'avalerは、文は区切られているが、前行のprête àと(toutとともに)つながる。
que m'importe si…「もし…したって、私にはどうでもいい」
5 noyéeは、節の頭にあるが、前節の最後の行とつながって、「溺れて死にかかっているのを発見される」ということになる。
6 Personne ne te voyait…m'enlacerとつながる。
7 la garder de l'airとつながり、「彼女にde l'airを取っておく」。したがって、garder はgarder au fond d'toiと共有と考えられるが、ひょっとしたらそのau fond d'toiは、その上のse noyerとのつながりも秘めているようだ。すなわち、「あなたの底で溺れる」という…。de l'airは「空気」で、部分冠詞がついている。ton airのairは「様子」。
8 la deux des magazines 「雑誌の2ページ目」すなわち、新聞の場合は三面記事。
9 star(英)「(映画の)人気女優」
10 cafard「ゴキブリ」も意味するが、ここでは「ふさぎ虫、憂鬱」の意。

コメント
ビデオクリップが96年ということはないですね。
私がこのビデオクリップを見たのは1987年か88年でした。
dot 2015.11.18 03:17 | 編集
1996年は日本で公開された年でした。コメントありがとうございました。訂正いたしました。
朝倉ノニーdot 2015.11.18 07:41 | 編集
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