2016
06.18

パリの騎士Le chevalier de Paris

Catherine Sauvage Le chevalier de Paris


今回は、エディット・ピアフÉdith Piafが創唱し1951年のACCディスクD大賞を受賞した「パリの騎士Le chevalier de Paris」(作曲:フィリップ・ジェラールM. Philippe Gérard、作詞:アンジェール・ヴァニエAngèle Vannier)です。
この曲は同年、ジョニー・マーサーJohnny Mercerが英語の歌詞をつけ、When the world was youngというタイトルで、ペギー・リーPeggy Lee、エディー・ゴーメEydie Gorme、フランク・シナトラFrank Sinatra、ジュリー・ロンドンJulie London、ナンシー・ウィルソンNancy Wilson、ナット・キング・コールNat King Coleなど多くの歌手によって歌われました。

ピアフではなく、カトリーヌ・ソヴァージュCatherine Sauvageをあえて選びました。



ペギー・リーのWhen the world was young



Le chevalier de Paris  パリの騎士
Catherine Sauvage    カトリーヌ・ソヴァージュ


Le grand chevalier du cœur de Paris
Se rappelait plus du goût des prairies.
Il faisait la guerre avec ses amis
Dedans la fumée,
Dedans les métros,
Dessus les pavés,
Dedans les bistrots.
Il ne savait pas qu'il en était saoûl. 注1
Il ne savait pas qu'il dormait debout. 注2
Paris le tenait par la peau du cou.

  パリ気質に染まった高貴な騎士は
  草原の香りをもう思い出さなかった。
  彼は友だちと戦った
  煙のなかで、
  地下鉄のなかで、
  舗道のうえで、
  ビストロで。
  彼は自分がそうしたことに酔い痴れているのに気づかなかった。
  立って眠るほどへとへとになっていることにも気づかなかった。
  パリが彼の首根っこを捕えていたのだ。

Le chevalier de Paris5


{Refrain:}
Ah ! Les pommiers doux,
Rondes et ritournelles.
J'ai pas peur des loups,
Chantonnait la belle.
Ils ne sont pas méchants
Avec les enfants
Qu'ont le cœur fidèle
Et les genoux blancs... 注3

  ああ!かぐわしいリンゴの木よ、
  ロンドよ、はやり唄よ。
  オオカミなんか怖くないわと、
  美しい娘は口ずさんだ。
  オオカミは子供たちには
  いじわるしないし
  忠実だし
  身持ちがいいわ…

Sous un pommier doux, il l'a retrouvée,
Croisant le soleil avec la rosée. 注4
Vivent les chansons pour les Bien-aimées.
Je me souviens d'elle au sang de velours.
Elle avait des mains qui parlaient d'amour
Et tressait l'argile avec les nuages 注5
Et pressait le vent contre son visage
Pour en exprimer l'huile des voyages.

  かぐわしいリンゴの木の下で、彼は彼女と再会した、
  陽の光が朝露を光らせていた。
  恋人たちの歌に幸あれ。
  僕は優しい気立ての彼女を思い出した。
  彼女は愛を語る手を持っていた
  そして雲で粘土細工をし
  そして風を顔に押し当てて
  遠くまで届く肖像画を描いていたのだ。

Le chevalier de Paris6


{Refrain}
"Adieu mon Paris", dit le chevalier.
"J'ai dormi cent ans, debout sans manger
Les pommes d'argent de mes doux pommiers."
Alors le village a crié si fort
Que toutes les filles ont couru dehors
Mais le chevalier n'a salué qu'elle
Au sang de velours, au cœur tant fidèle,
Chevalier fera la guerre en dentelles. 注6

  「さらばわがパリよ」、騎士は言った。
  「私は百年間眠った、安らぐことなく立ったまま
  私の愛しいリンゴの木の銀のリンゴも食べずに。」
  娘たちがみな外に飛び出すほど
  大きな声で村は叫んだが
  騎士は彼女にしか挨拶しなかった
  優しい気立ての、忠実な心根の彼女にしか、
  騎士は優雅な戦いをすることだろう。

{Refrain}

[注]
1 saoûl=soûl「酔った、酩酊した」
2 dormir debout「立ったまま眠る、へとへとである」
3 les genoux blancs直訳すると「白い膝」だが、性情を褒める言い回しだろう。意味の確認はできていない。
4 時間的関係を表す絶対分詞節。
5 ここからの3行は意味がとらえにくいが、騎士が彼女の面影を思い浮かべてしまうのは、彼女が愛を語ることのできる手を持っていて、雲や風を使って自分の似姿を作って送り込んでくるからだというのであろう。tresser は「編む、」tresser A avec B「BでAの形を作る」。argile「粘土」が本義だが、神が人間の肉体を作った素材であり、「粘土のように柔軟なもの、どうにでもなるもの」をも表す。huileは「油」で「油絵」の意味もある。
6 en dentelles「お上品な、当たりの柔らかい」



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