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2016
05.28

小さな灰色のロバLe petit âne gris

Hugues Aufray Le petit âne gris


「小さな灰色のロバLe petit âne gris」という優しい曲は、シンガー・ソングライターのユーグ・オーフレイHugues Aufrayが1968年に作り歌いました。彼の歌にもバックコーラスが入っていますが、全部コーラスで歌われてボーイスカウトの愛唱歌ともなっているそうです。

ユーグの曲としては、以前「僕は信じていた(イエスタディ)Je croyais」を取り上げました。そのページで彼のプロフィールも紹介していますので参照ください。



Le petit âne gris  小さな灰色のロバ
Hugues Aufray   ユーグ・オーフレイ


Ecoutez cette histoire
Que l´on m´a racontée.
Du fond de ma mémoire,
Je vais vous la chanter.
Elle se passe en Provence,
Au milieu des moutons,
Dans le sud de la France,
Au pays des santons. 注1

  ひとが僕に語ってくれた
  この小さな物語を聞いてくれ。
  僕の記憶の底から、
  君たちにそれを歌おう。
  その物語はプロヴァンスで起こった、
  羊たちに囲まれて、
  フランスの南の、
  サントン人形の国で。

Quand il vint au domaine,
Y avait un beau troupeau.
Les étables étaient pleines
De brebis et d´agneaux.
Marchant toujours en tête 注2
Aux premières lueurs,
Pour tirer sa charrette,
Il mettait tout son cœur.

  彼がこの地にやって来たときには
  美しい羊の群れがいた。
  家畜小屋は
  雌羊と子羊であふれていた。
  明け方の光のなかを、
  いつも先頭を歩みつつ
  荷車を牽くために、
  彼は全霊を傾けていた。

Le petit âne gris1


Au temps des transhumances,
Il s´en allait heureux,
Remontant la Durance,
Honnête et courageux
Mais un jour, de Marseille,
Des messieurs sont venus.
La ferme était bien vieille,
Alors on l´a vendue.

  家畜の移動の時期には、
  彼は嬉しそうだった、
  デュランス川を遡りつつ、
  誠実で勤勉に働いた
  だがある日、マルセイユから、
  男たちがやって来た。
  農園はけっこう古かった、
  それで農園は売られたんだ。

Il resta au village.
Tout le monde l´aimait bien,
Vaillant, malgré son âge
Et malgré son chagrin.
Image d´évangile,
Vivant d´humilité,
Il se rendait utile
Auprés du cantonnier.

  彼は村に残った。
  みんなは彼をとても愛した、
  しゃんとしていた、歳にかかわらず、
  また辛い気持ちにもかかわらず。
  福音の象徴、
  謙虚さの体現だった、
  彼は役立てられた
  道路工事夫の傍らで。

Cette vie honorable,
Un soir, s´est terminée.
Dans le fond d´une étable,
Tout seul il s´est couché.
Pauvre bête de somme, 注3
Il a fermé les yeux.
Abandonne des hommes,
Il est mort sans adieux.

  この敬すべき命は、
  ある夜、終わった。
  家畜小屋の奥で、
  たった独りで彼は横たわった。
  哀れなケモノ、
  彼は目を閉じた。
  人々に打ち捨てられて、
  彼は別れの言葉もかけられずに死んだ。

Le petit âne gris2


Mm mm mmm mm...
Cette chanson sans gloire
Vous racontait la vie,
Vous racontait l´histoire
D´un petit âne gris...

  ムム ムム ムムム ムム…
  誉れなきこの歌は
  君たちに生命を語った、
  君たちに物語を語った
  小さな灰色のロバの物語を…

[注]
1 santon「托鉢僧」の意味と「サントン人形」というプロヴァンス地方の)小さな土人形の意味とがある。「故郷の九月C'est en septembre」の注に、この人形について解説した。
2 en tête「先頭に」
3 bête de somme「駄獣」。卑しめる言葉だが、愛情を込めた表現。


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コメント
ノニーさま
いつも拝読いたしております。
私は札幌に住んでおります。歌が好きで、ジャンルは問いませんが、外国の歌は原曲、内容も知りたいと思いますので、本当に、この、ノニー様の歌物語はありがたいのです。<小さな灰色のロバ>こんな歌に出会うと、私のささやかな人生が、有意義なものに思えます。
本当に、ありがとうございます。
どうぞご自愛なされませ。そして、ますますのご活躍を!
よぶすま草dot 2016.06.14 19:53 | 編集
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