
「思い出のグリーングラスGreen green grass of home」というカントリー・ソングはカーリー・プットマン・ジュニアという人が1965年に発表し、トム・ジョーンズTom Jonesほか多くの歌手に歌われてきました。
この曲をフランス語に翻案してダリダDalidaが歌っています。これは、1967年に、恋人のルイジ・テンコが自殺し、彼女が後を追って自殺未遂を起こしたあと復帰しTV出演した際のことです。
原曲では、死刑囚が、監獄のなかで故郷のわが家に帰る夢を見て、目覚めてそれが夢だったことに気づき、翌朝になれば自分の遺体は故郷に帰り皆が逢いに来てくれるんだと思う、という内容の歌詞です。
フランス語の歌詞では、恋人あるいは夫と離れて遠くにいる女性がわが家(彼のいる家)に帰る夢を見て、目覚めて周りに灰色の壁しか見当たらないことは同じですが、明朝、始発列車で帰ることにしようと決心するしあわせなお話。復帰のステージで歌う歌ですから、それにふさわしく明るい内容にしたのでしょう。題名は、Les grilles de ma maisonで、直訳すると「わが家の鉄柵」で、原曲のgreen「緑の」という語に似た響きということで、grilleという語を使っています。Le toit de ma maison「わが家の屋根」という題でも呼ばれるようです。「思い出のグリーングラス」という原曲の邦題を用いることにしました。
トム・ジョーンズ
ダリダ
Les grilles de ma maison 思い出のグリーングラス
Dalida ダリダ
Ce long voyage est fini
Je me retrouve au pays
C’est d’un pas léger que je me dirige chez moi
J’avais peur que tout me soit étranger
Mais rien ne semble changé
C’est bon d’ouvrir les grilles de sa maison
この長い旅は終わり
わたしは故郷に帰る
わたしは軽い足どりでわが家に向かう
すべてが見知らぬものになってはしないかと心配だった
でもなにも変わっていないわ
あの人の家の柵を開けるのはうれしいことよ
Dans le jardin tout fleuri
Tu es là qui me souris
C’est bon d’ouvrir les grilles de sa maison
庭は花盛り
あなたはそこにいてわたしに微笑みかける
あの人の家の柵を開けるのはうれしいことよ

Les murs n’ont pas vieilli
La maison se rit du temps
Et le vieux chêne a mis son habit de printemps
J’avais peur que tout me soit étranger
Mais rien ne semble changé
C’est bon d’ouvrir les grilles de sa maison
壁は古びてはいない
家は時の経過をものともしていない
そしてコナラの老木が春の衣装を身に着けていた
すべてが見知らぬものになってはしないかと心配だった
でもなにも変わっていないわ
あの人の家の柵を開けるのはうれしいことよ
{Parlé}
Soudain, au réveil, je n’aperçois
Que des murs gris autour de moi
Et je comprends, oui!
Que je n’ai fait que rêver
とつぜん、目を覚ますと、まわりには
灰色の壁しか見当たらない
そして分かったわ、ええ!
わたしは夢を見ていたに過ぎないと
S’il est trop tard pour partir ce soir
Demain par le premier train
J’irai ouvrir les grilles de ma maison
今夜、発つのには遅すぎるなら
明日、始発列車で
わたしの家の柵を開けに行こう
Dans le jardin tout fleuri
Tu seras là qui me souris
Ce sera bon d’ouvrir les grilles de sa maison
庭は花盛り
あなたはそこにいてわたしに微笑みかけるわ
あの人の家の柵を開けるのはうれしいことでしょう

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