2016
03.09

ラ・セーヌLa Seine

Jacqueline François La Seine


今回は、ジャクリーヌ・フランソワJacqueline Françoisの「ラ・セーヌLa Seine」です。この曲は、1948年にフラヴィアン・モノーFlavien Monodが作詞しギー・ラフォルグGuy Lafargeが作曲。同年にリゾート地のドーヴィルで開かれたコンクールの優勝曲となりました。彼女の一番のヒット曲「パリのお譲さんMademoiselle de Paris」とよく似たワルツの非常に美しいメロディーの曲で、繰り返しの言葉の響きがとても心地いい曲です。



ビング・クリスビーBing Crosbyがフランス語で歌っています。



ディーン・マ-チンDean Martin は英語で。 The River Seine



La Seine         ラ・セーヌ
Jacqueline François  ジャクリーヌ・フランソワ


La Seine est aventureuse
De Châtillon à Méry, 注1
Et son humeur voyageuse
Flâne à travers le pays ...
Elle se fait langoureuse
De Juvisy à Choisy 注2
Pour aborder, l'âme heureuse,
L'amoureux qu'elle a choisi ! 注3

  セーヌは向こう見ずだ
  シャティヨンからメリーまでは、
  そしてその放浪気質は
  国を横切り漫遊する…
  川は恋い焦がれたようすを見せる
  ジュヴィシーからショワジーまでは
  自分の選んだ恋人に、
  しあわせな気持ちで、近づこうとして!

La seine4


Elle roucoule, coule, coule
Dès qu'elle entre dans Paris !
Elle s'enroule, roule, roule
Autour de ses quais fleuris !
Elle chante, chante, chante, chante,
Chant' le jour et la nuit,
Car la Seine est une amante
Et son amant c'est Paris !

  川はやるせなく歌い、流れる、流れる
  パリに入るやいなや!
  川は蛇行し、巡る、巡る
  花咲く河岸のまわりを!
  川は歌う、歌う、歌う、歌う、
  昼も夜も歌いまくる、
  だってセーヌは恋する女で
  その恋人 それはパリだから!

Elle traîne d'île en île,
Caressant le Vieux Paris,
Elle ouvre ses bras dociles
Au sourire du roi Henri... 注4
Indifférente aux édiles
De la mairie de Paris, 注5
Elle court vers les idylles
Des amants des Tuileries ! 注6

  川は島から島へと彷徨う、
  古きパリをいとおしみながら、
  柔らかい腕を拡げる
  アンリ王の微笑みに…
  パリ市庁の
  市会議員たちには無関心に、
  川はチュイルリーの恋人たちの
  恋の歌に引き寄せられて流れる!

La seine5


Elle roucoule, coule, coule
Du Pont-Neuf jusqu'à Passy ! 注7
Elle est soûle, soûle, soûle
Au souvenir de Bercy ! 注8
Elle chante, chante, chante, chante,
Chant' le jour et la nuit...
Si sa marche est zigzagante
C'est qu'elle est grise à Paris !

  川はやるせなく歌い、流れる、流れる
  ポン・ヌフからパシーまで!
  川は酔って、酔って、酔いどれる
  ベルシーの想い出に!
  川は歌い、歌い、歌い、歌い、
  昼から夜まで歌いまくる…
  その歩みがジグザグだとしたら
  それは彼女がパリに夢中だから!

Mais la Seine est paresseuse,
En passant près de Neuilly, 注9
Ah ! comme elle est malheureuse
De quitter son bel ami !
Dans un étreinte amoureuse
Elle enlace encore Paris,
Pour lui laisser, généreuse,
Une boucle ... à Saint-Denis ! 注10

  でもセーヌは無気力に陥る、
  ヌイイのそばを通りつつ、
  あぁ!なんと彼女は不幸なの
  恋人と別れるなんて!
  愛情込めて抱こうとして
  彼女はいまだパリにまとわりつく、
  度量の大きい女は、彼に残して去る、
  湾曲した足跡を…サン・ドニで!

Elle roucoule, coule, coule 注11
Sa complainte dans la nuit...
Elle roule, roule, roule
Vers la mer où tout finit...
Elle chante, chante, chante, chante,
Chant' l'amour de Paris !
Car la Seine est une amante
Et Paris dort dans son lit ! 注12

  川はやるせなく歌い、流れる、流れる
  彼女の悲しい歌は 夜のあいだ…
  川は巡る、巡る、巡る
  すべてが終息する海に向かって…
  川は歌い、歌い、歌い、歌い、
  パリへの愛を歌う!
  なぜならセーヌは恋する女で
  パリはそのベッドにやすらうのだから!

La Seine3


[注] セーヌ川は全長777kmでロワール川に続いて第2の長さ。La Seine2全域がフランスに属す。ディジョンDijonの北西30kmの海抜471mの地点に源を発し、北西に向かい、パリを流れ、ル・アーヴルとオンフルールの間のセーヌ湾に注ぐ。中下流部は大きく蛇行した流れが特徴。セーヌの源流である聖なる湧水はパリ市が管轄し、近くにはナポレオン3世が源流から水を引いて作った祠があり、女神セクアナSequanaの像が祀られている。セーヌの名前は、その女神の名前に因むとされ、女性名詞でもあり、この歌詞のように女性に譬えられることが多い。
1 Châtillon-sur-Seine:セーヌ川上流域にある、ブルゴーニュ地方の町。Méry-sur-Seine:セーヌ川上流域にある、シャンパーニュ地方の町。
2 Juvisy-sur-Orge:イル・ド・フランスÎle-de-Franceの、パリの南東18kmにある町。Choisy-le-Roi:パリの南側の郊外にある町。
3 セーヌが選んだ恋人とは、後に出てくるように、パリのこと。
4 ポン・ヌフにあるアンリ4世の像のようだ。
5 la mairie「市役所」とは、シテ島の北、右岸にあるパリ市庁舎Hôtel de Ville de Paris。
6 チュイルリーTuileries:ルーヴル美術館(もとルーヴル宮殿)の西側に隣接する公園で、もとはチュイルリー宮殿の庭園。宮殿はパリ・コミューンの鎮圧時に消失し、残った外壁もその後撤去された。
7 ポン・ヌフle Pont-Neufは、シテ島西端を横切って両岸を結ぶ、パリで一番古い橋。パッシーPassyは、エッフェル塔のあるイエナ橋の次のビル・アキム橋の右岸にある、「高級住宅街」の代名詞となった地区。
8 ベルシーBercy地区。セーヌがパリ市に入ったあたりの右岸。セーヌ川が、すでに通り過ぎたところを懐かしんでいるという表現。現在はベルシー多目的総合体育館や新大蔵省、ショッピング街などができて開発が進んでいるが、以前は、ブドウ畑があり、ワイン倉庫が立ち並んでいたので、ワインで酔うという意味を持たせている。
9 イル・ド・フランスのオー・ド・セーヌHauts-de-Seine にあるNeuilly-sur-Seine。セーヌ川はパリ市を出た後大きく曲がってパリ市の西側をなぞるように北上しここを通る。
10 パリ北方4kmほどの郊外、サン・ドニSaint-Denis 。サン・ドニ大聖堂(バジリカ聖堂)Basilique Saint-Denisは、フランスの王と王族が何世紀にもわたって埋葬されてきた場所で、「フランス王家の墓所」と呼ばれる。une boucle「留め金」ではなく「湾曲部、カーブ」の意味のようだ。セーヌはここで再び大きくカーブしてパリから離れていく。
11 Elle roucoule「彼女はやるせなく歌う」だが、coule,couleの主語は次行のsa complainteだと捉えたほうが文法的には納得できる。
12 lit「ベッド」と「川床」の両義をかけた表現。


la Seine





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