
ダリダDalidaの「舞台の上で死ぬ(歌いつづけて)Mourir sur scène」を、その命日の5月3日の日付で出します。「雨のブリュッセルIl pleut sur Bruxelles」と同じく、作詞:ミッシェル・ジュヴォーMichel Jouveaux 、作曲 :ジェフ・バルネルJeff Barnelで、1983年に、Les p'tits motsというLPに収録されました。このアルバムはその後、Mourir sur scèneの曲名を入れたCDになっています。
私はこの曲を加藤登紀子の歌で最初に知りました。ダリダにぴったりな歌だと思いますが、この歌詞の内容とは違って、4年後の実際の彼女の死は不幸で孤独なものでした。歌詞に出てくる「あなた」とは誰か気になります。日本語に翻案される場合、たいてい、異性の恋人にされてしまいますが、実際は違う場合が多いですね。この歌詞の場合は、明記されてはいませんが、mort「死」を大文字にしたMort「死神」ということでしょう。
Mourir sur scène 舞台の上で死ぬ(歌いつづけて)
Dalida ダリダ
Viens, mais ne viens pas quand je serai seule
Quand le rideau un jour tombera
Je veux qu'il tombe derrière moi
来て、でもひとりのときは来ないで
幕がいつか下りるときは
私のうしろで下りてほしいわ
Viens, mais ne viens pas quand je serai seule
Moi qui ai tout choisi dans ma vie
Je veux choisir ma mort aussi
Il y a ceux qui veulent mourir un jour de pluie
Et d'autres en plein soleil
Il y a ceux qui veulent mourir seuls dans un lit
Tranquilles dans leur sommeil
来て、でもひとりのときは来ないで
自分の人生ですべてを選んできた私は
自分の死も選びたいの
雨の日に死にたい人たちがいる
またほかの人たちは降り注ぐ太陽のもとで
ひとりでベッドの上で死にたい人たちもいる
眠りつつ静かに

Moi je veux mourir sur scène
Devant les projecteurs
Oui je veux mourir sur scène
Le cœur ouvert tout en couleurs
Mourir sans la moindre peine
Au dernier rendez-vous
Moi je veux mourir sur scène
En chantant jusqu'au bout
私はね 舞台の上で死にたいの
スポットライトを浴びて
ええ 舞台の上で死にたいのよ
色鮮やかに心開いて
わずかの痛みもなく死ぬのよ
最後にお会いするときに
私はね 舞台の上で死にたいの
最後まで歌い切りながら
Viens, mais ne vient pas quand je serai seule
Tous les deux on se connaît déjà
On s'est vu de près souviens-toi 注1
来て、でもひとりのときは来ないで
ふたりはすでによく知り合っているわ
近くで見つめ合ったこと想い出して

Viens, mais ne viens pas quand je serai seule
Choisis plutôt un soir de gala
Si tu veux danser avec moi 注2
Ma vie a brûlé sous trop de lumières
Je ne peux pas partir dans l'ombre
Moi je veux mourir fusillée de lasers
Devant une salle comble
来て、でもひとりのときは来ないで
むしろ特別な上演のときを選んで
もし私とダンスを踊りたいのなら
私のいのちは溢れる光のもとで輝くの
闇のなかに去りたくないわ
私はね レーザー光線で殺されたいの
たくさんの観客のいる前で
Moi je veux mourir sur scène
Devant les projecteurs
Oui je veux mourir sur scène
Le cœur ouvert tout en couleurs
Mourir sans la moindre peine
Au dernier rendez-vous
Moi je veux mourir sur scène
En chantant jusqu'au bout
私はね 舞台の上で死にたいの
スポットライトを浴びて
ええ 舞台の上で死にたいのよ
色鮮やかに心ひらいて
わずかの痛みもなく死ぬのよ
最後にお会いするときに
私はね 舞台の上で死にたいの
最後まで歌い切りながら
{Instrumental}
Mourir sans la moindre peine
D'une mort bien orchestrée 注3
Moi, je veux mourir sur scène
C'est là que je suis née.
わずかの痛みもなく
鳴り物入りの往生を遂げるの
私はね、舞台の上で死にたいの
私が生まれたのはそこなのよ。

[注] 挿入した写真は2012年に私が撮影した。
1 de près「近くで」
2 「死神とダンスを踊る」という表現はよく用いられる。前節の、以前から知古であるといった内容は、ダリダ自身が67年に自殺未遂を起こしていることを思い出させる。
3 orchestréは、orchestrer「管弦楽化する」「鳴り物入りで繰り広げる」という動詞からの表現。
Comment:1
コメント
ダリダが亡くなってもう29年。なんて早いのでしょう。
彼女の魅力は、直球の魅力。親愛の心を込めてダリダのばか❤と言ってしまうのです。
そして、タリだとは対照的なイザベル・オーブレを思い出してしまいます。こちらは野の花。フランスの野原に咲く、真っ赤なひなげし。ジャン・フェラは、どんなに大切にこのひなげしを扱っていたことでしょう。それは、イザベルの唄う「ビブレ」から伝わってきます。
ダリダが欲しくてたまらなかったものを持っていたイザベル・オーブレ。
ダリダも、生きていて欲しかったと、しみじみ思いました。
先日ミッシェル・デルベッシュの「LE Sud」を聞いて、この歌を布施明に歌わせたら、ぴったりだなぁーと思ったことでした。
ノニーさんが唄った「彼のことを話して」ききたいな^^
彼女の魅力は、直球の魅力。親愛の心を込めてダリダのばか❤と言ってしまうのです。
そして、タリだとは対照的なイザベル・オーブレを思い出してしまいます。こちらは野の花。フランスの野原に咲く、真っ赤なひなげし。ジャン・フェラは、どんなに大切にこのひなげしを扱っていたことでしょう。それは、イザベルの唄う「ビブレ」から伝わってきます。
ダリダが欲しくてたまらなかったものを持っていたイザベル・オーブレ。
ダリダも、生きていて欲しかったと、しみじみ思いました。
先日ミッシェル・デルベッシュの「LE Sud」を聞いて、この歌を布施明に歌わせたら、ぴったりだなぁーと思ったことでした。
ノニーさんが唄った「彼のことを話して」ききたいな^^
mimiha
2016.05.03 10:16 | 編集
