
「サンフランシスコの6枚の枯葉Six feuilles mortes de San Francisco」は、ぜひご紹介したい、とても素敵な歌詞の曲です。ムルージMouloudjiが1969年に作詞・作曲し、歌いました。
ムルージは1922年にパリで、アルジェリアの先住民の父親とフランス人の母親との間に生まれました。詩人ジャック・プレヴェールJacques Prévertに見出されて役者として舞台に上がり、そののちステージで歌うようになり、52年に「小さなひなげしのようにComme un p'tit coquelicot」がヒットしてディスク大賞を受賞し、一躍有名になりました。映画「寝台の秘密Secrets d’alcôve」に出演し、そのなかで歌った「いつの日にかUn jour tu verras」もいい歌です。
彼は、歌手、俳優であっただけでなく、小説家、画家としても活躍した多才な人で、小説「エンリコEnrico」は本名マルセル・ムルージMarcel Mouloudjiの名で出されてプレイヤード賞を受賞し、日本語にも翻訳されています。1994年に亡くなり、ペール・ラシェーズ墓地に眠っています。
ムルージの動画は私が作成しました。
イザベル・オーブレIsabelle Aubretも歌っています。
Six feuilles mortes de San Francisco サンフランシスコの6枚の枯葉
Mouloudji ムルージ
Je t'envoie six feuilles mortes de San Francisco,
Des poissons volants volés à Valparaiso
Une vague de ciel, un joli clair de Terre 注1
Un morceau d'océan, une cuillère de désert.
サンフランシスコの6枚の枯葉を君に送ろう、
ヴァルパライゾで盗んだ飛び魚たち
空の波、美しい大地の光
大洋のかけら、ひと匙分の砂漠を。

Je t'envoie six feuilles mortes de San Francisco,
Des daufins, une baleine, des haleurs, des bateaux,
Une aurore boréale, un typhon, une poupée,
Et des étoiles tombées sur le pont du bateau
サンフランシスコの6枚の枯葉を君に送ろう、
イルカたち、クジラ、タグボート、船、
北極のオーロラ、台風、人形、
そして船のデッキに落ちてきた星たちを

Au long de la croisière, je ne pense qu'à toi
Pas mis le nez à Terre, tant j'ai le mal de toi. 注2
航海のあいだ、僕は君のことしか考えない
地上に戻れず、君がとても恋しい。

Je t'envoie six feuilles mortes de San Francisco
Trois soleils et trois lunes volés à Mexico
Un récif de corail, une petite sirène
Comme on en voit danser à minuit sur la Seine,
サンフランシスコの6枚の枯葉を君に送ろう
メキシコで盗んだ3つの太陽と3つの月
サンゴ礁、小さな人魚
真夜中にセーヌ川で踊るのが見られるような、
Je t'envoie six feuilles mortes de San Francisco
Une poignée de neige du Kilimandjaro,
Une rose de Rio, une araignée du soir,
Et dix mille kilomètres de "je t'aime" en sautoir.
サンフランシスコの6枚の枯葉を君に送ろう
キリマンジャロの一握りの雪、
リオのバラ、夕べのクモ、
そして「愛している」の言葉を1万キロの長さのネックレスにして。

J'en ai le mal ma chère, de ta chère chair en soie
J'en ai le mal de Terre, j'en ai le mal de toi.
僕は君が恋しい、君のいとしい絹の肌が
大地が恋しい、君が恋しい。
Je t'envoie six feuilles mortes de San Francisco
Je t'envoie ces diamants qui rigolent sur l'eau
Je t'envoie mon amour et caresse la chaîne
Qui relie nos deux cœurs, du navire à la Seine.(×2)
サンフランシスコの6枚の枯葉を君に送ろう
水面で笑っているこれらのダイヤモンドを君に送ろう
君に僕の愛を送り、船からセーヌ川へと
僕たちの二つの心をつなぐ絆を愛しもう。

[注]
1 un joli clairは、joliが名詞の前につく「美しい」の意味の形容詞でclairが「(特に月の)光」の意味の名詞だとすると「美しい光」となり、joliが「きれいなもの」の意味の名詞でclairが「美しい」の意味の形容詞だとすると、重なる意味は省いて「美しいもの」という訳になる。どちらともとれる形にしているのかもしれないが、「空の波」など、変わった表現のなかに含まれるし、前者の語用のほうが一般的である。
2 mettre le nez à…は、多く否定的表現で「…に行く、に顔を出す」。avoir le mal de…=être en mal de…「…の欠乏で苦しむ、…がいなくて淋しい、…が恋しい」
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