2016
02.15

異国の人L'étranger

Damia Létranger


「異国の人L'étranger」(作詞:R.Malleron、作曲:M.Monnot et Juel)は、もともとダミアDamiaが歌っていた曲ですが、ピアフEdith Piafも1934年に歌いました。水夫と娼婦の悲しい物語です。

ダミア



ピアフ



L'étranger       異国の人
Damia / Edith Piaf  ダミア / エディット・ピアフ


Il avait un air très doux,
Des yeux rêveurs un peu fous
Aux lueurs étranges.
Comme bien des gars du Nord,
Dans ses cheveux un peu d'or,
Un sourire d'ange.
J'allais passer sans le voir
Mais quand il m'a dit bonsoir
D'une voix chantante,
J'ai compris que, ce soir-là,
Malgré la pluie et le froid,
Je serais contente.
Il avait un regard très doux.
Il venait de je ne sais où. 注1

  彼はとても優しそうだった
  夢見るような瞳はいくらか奇妙で
  変わった光を放っていた。
  北方の若者たちによくある、
  若干金色がかった髪で、
  天使のように微笑んだ。
  私は彼に目を向けずに通り過ぎるところだったが
  彼が私に、今晩は、と
  歌うような声で言ったとき、
  私には分かったわ、その夜は
  雨が降っていたし寒かったけど
  私はしあわせな気分になれると。
  彼のまなざしはとても優しかった。
  彼はどこからかやって来た。

Létranger1


D'où viens-tu ? Quel est ton nom ?
Le navire est ma maison.
La mer mon village.
Mon nom, nul ne le saura.
Je suis simplement un gars
Ardent à l'ouvrage
Et si j'ai le cœur trop lourd,
Donne-moi donc un peu d'amour,
Espoir de caresses.
Et moi, fille au cœur blasé,
J'ai senti, sous ses baisers,
Une ardente ivresse.
Il avait un regard très doux
Il venait de je ne sais où.

  どこから来たの?あんたの名前は?
  船が俺の家。
  海が俺の村。
  俺の名前、それは誰も知りやしないさ。
  俺はただの男
  仕事熱心な
  俺がもし辛い気持ちでいるとしたら、
  愛情を少し分けてくれないか、
  優しくしてもらいたいんだ。
  そして私はといったら、荒んだ心の女ながら、
  彼に接吻されているうちに
  狂おしい陶酔を味わった。
  彼のまなざしは、とても優しかった
  彼はどこからかやって来た。

Simplement, sans boniments,
J'aimais mon nouvel amant,
Mon époux d'une heure.
Comme bien des malheureux,
Il croyait lire en mes yeux
La femme qu'on pleure
Et, follement, j'espérais
Qu'au matin, il me dirait
Suis-moi je t'emmène.
J'aurais dit oui, je le sens,
Mais il a fui, me laissant
Rivée à ma chaîne.
Il avait un regard très doux.
Il venait de je ne sais où.

  あっけなく、口説きの言葉もなく、
  私は、この新しい恋人を、
  一時間だけの夫を愛した。
  不幸な男たちによくあるように
  彼も私の目のなかに
  ひとに憐れまれる女を読み取った
  そして、愚かにも、私は望んでしまった
  朝になって、彼が私に言ってくれると
  ついて来い、連れてってやる、と。
  私は、ええ、と言っただろうと思う、
  でも彼は行ってしまった、私を残して
  鎖につながれたままの私を
  彼のまなざしはとても優しかった。
  彼はどこからかやって来た。

Létranger2


J'ai rêvé de l'étranger 注2
Et, le cœur tout dérangé
Par les cigarettes,
Par l'alcool et le cafard,
Son souvenir chaque soir
M'a tourné la tête
Mais on dit que, près du port,
On a repêché le corps
D'un gars de marine
Qui, par l'amour délaissé,
Ne trouva pour le bercer
Que la mer câline.
Il avait un regard très doux.
Il s'en allait je ne sais où.

  私はあのよそ者を夢見た。
  そして、心は乱れきった
  煙草や、
  お酒や、憂鬱で
  毎夜彼の思い出に
  私の頭はくらくらしてしまう
  けれどうわさでは、港の近くで
  若い船乗りの
  死体が上がったという
  その男は、恋に破れ、
  彼を揺すって慰めてくれるものは
  優しい海しかなかったという。
  彼のまなざしはとても優しかった。
  彼はどこかへ行ってしまった。

Létranger3


[注]
1 je ne sais où「どこかで、どこかに」という意味の成句で、「私は知らない」ということは加えずに訳していい。
2 L'étranger:邦題は「異国の人」で、アルベール・カミュAlbert Camusの小説は「異邦人」。外国人に限らず、ほかの地から来た者すなわち「よそ者」という訳語をここでは選んだ。




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