2016
02.11

私たちの言葉La langue de chez nous

La langue de chez nous


今回は、フランス語の美しさ、価値を謳いあげたイヴ・デュテイユYves Duteilの「私たちの言葉La langue de chez nous」です。市販CDの邦題は「愛の言葉の国」(なんてくすぐったい題名なんでしょう)。1985年にリリースされた同名のアルバムに収録されています。自身のサイトで、彼はこの曲に関してこうコメントしています。「私は、母国語であるフランス語への愛の歌を、その美しさと豊かさそしてそれが私に抱かせる誇りを表すために提供したい。私はこれを、ケベックにおける(フランス語の)防衛のために戦ったケベックのシンガー・ソングライターで作家のフェリックス・レクレールFélix Leclerc:(下の写真と動画)に捧げる。」翌年の1986年、この曲でデュテイユは、最優秀歌唱大賞とアカデミーフランセーズの銀メダルを受けました。

Félix Leclerc




デュテイユのこの曲は2004年に「キリンハニーブラウン」のテレビCMに使われました。歌詞の内容はまったくビールに合わないと思うのですが…。ひょっとしたら、歌詞に「フランスの泡une bulle de France」という言葉が入っているからかも。ちなみに、日本でビールのCMに使われた曲をざっと挙げてみると、シャル・ウィ・ダンス、ケ・セラ・セラ、ユー・アー・マイ・サンシャイン、パッヘルベルのカノン、オー・シャンゼリゼ、スケーターズ・ワルツ、大脱走のマーチ、慕情、第三の男、風とともに去りぬ…などとさまざま。こんなにビールの味って違うんでしょうかね。

余談はさておき、デュテイユの動画をご覧ください。



La langue de chez nous  私たちの言葉
Yves Duteil          イヴ・デュテイユ


C'est une langue belle avec des mots superbes
Qui porte son histoire à travers ses accents 注1
Où l'on sent la musique et le parfum des herbes
Le fromage de chèvre et le pain de froment

  それは 素晴らしい語をもつ美しい言葉で
  持ち前のアクサンを通して物語を運ぶ
  人はそこに音楽や草の香りを
  ヤギ乳のチーズや小麦のパンの香りを感じる

Et du Mont-Saint-Michel jusqu'à la Contrescarpe 注2
En écoutant parler les gens de ce pays
On dirait que le vent s'est pris dans une harpe 注3
Et qu'il en a gardé toutes les harmonies

  そしてモン・サン・ミッシェルからコントレスカルプまで
  この国の人々が話すのを聞いていると
  まるで風がハープに捕らえられて
  そのすべてのハーモニーを留めるようだ

La langue de chez nous3


Dans cette langue belle aux couleurs de Provence
Où la saveur des choses est déjà dans les mots
C'est d'abord en parlant que la fête commence
Et l'on boit des paroles aussi bien que de l'eau

  プロヴァンスの色彩のこの美しい言葉には
  物の風味がすでに語に含まれていて
  とにかく 祭りが始まるよと言いながら
  人は水と同じように語句を飲む

La langue de chez nous2


Les voix ressemblent aux cours des fleuves et des rivières
Elles répondent aux méandres, au vent dans les roseaux
Parfois même aux torrents qui charrient du tonnerre 注4
En polissant les pierres sur le bord des ruisseaux

  声は大河や小川の流れに似ている
  蛇行に応じ、葦のあいだを抜ける風に答える
  ときには 川べりの小石を磨きながら
  轟音を運ぶ急流にさえも似ている

C'est une langue belle à l'autre bout du monde
Une bulle de France au nord d'un continent 注5
Sertie dans un étau mais pourtant si féconde
Enfermée dans les glaces au sommet d'un volcan

  それは世界の反対側の美しい言葉
  ある大陸の北側のフランスの泡だ
  万力ではめ込まれながらもとても豊かであり
  火山のいただきで氷塊に封じ込められている

La langue de chez nous5


Elle a jeté des ponts par-dessus l'Atlantique
Elle a quitté son nid pour un autre terroir
Et comme une hirondelle au printemps des musiques
Elle revient nous chanter ses peines et ses espoirs 注6

  その言葉はアトランティック大陸を越えて橋をかけ
  巣を飛び立って他国に向かい
  そして音楽の春にツバメのように
  戻ってきて苦しみや希望を私たちに歌い

Nous dire que là-bas dans ce pays de neige
Elle a fait face aux vents qui soufflent de partout 注7
Pour imposer ses mots jusque dans les collèges 注8
Et qu'on y parle encore la langue de chez nous 注9

  私たちに語る 向こうの雪の国では
  彼女は自らの語を中学校にも植え付けるために
  そこかしこ吹く風にさらされたこと、
  だからそこではいまなお私たちの言葉を話していることを

La langue de chez nous4


C'est une langue belle à qui sait la défendre
Elle offre les trésors de richesses infinies
Les mots qui nous manquaient pour pouvoir nous comprendre
Et la force qu'il faut pour vivre en harmonie

  それを護るすべを知っている人にとって美しい言葉であり
  限りなく豊かな宝物を
  私たちが理解し合うために不足している語を
  そして調和のうちに生きるために必要な力を与えてくれる

Et l'Île d'Orléans jusqu'à la Contrescarpe
En écoutant chanter les gens de ce pays
On dirait que le vent s'est pris dans une harpe
Et qu'il a composé toute une symphonie 注10

  そしてオルレアンからコントレスカルプまで
  この国の人々が歌うのを聞いていると
  まるで風がハープに捕えられて
  すべてのひとつの完全なシンフォニーを構成するようだ

[注]題名は「私たちの国の言葉」という訳も考えられるが、歌詞でわかるように、フランスに限らず、フランス語を話すすべての国を含んだ表現なので、「国」は省いた。
1 accentは「アクセント、訛り、抑揚、響き、音」などなど様々な意味が含まれる語。複数にされていて、それら複数の意味が込められているので、音読みで記した。
2 contrescarpe「(城塁の堀の)外岸壁」。固有名詞としては、パリ第5区の「コントルスクルプ広場Place de la Contrescarpe」。
3 On dirait que…「…らしい」
4 du tonnerreはcharrier の目的語。du tonnerre(de Dieu)は熟語として「すごく」という意味もあるが、ここは原義。tonnerre「雷鳴、轟音」はtonner「鳴り響く」から来た語で、ton「トーン」と関連する。
5 une bulle de Franceカナダのケベック州に飛んで行ったフランス語の泡。以下、ケベック州の地形をあらわした表現が続く。セントローレンス湾とオンタリオ湖をつなぐセントローレンス川に浮かぶオルレアン島(フェリックス・レクレールの動画参照)は、ちょうど万力で挟まれているように陸と陸に挟まれている。enfermée以下は、隕石の衝突でできた円形の淡水湖、ニュー・ケベック・クレーターが火山の噴火口のように見えるのでそれを指しているようだが、確かではない。
6 venir+inf「…しに来る」に準じて、revenir+inf「…しに戻って来る」。chanterのみならず、次節のdireもつながっている。
7 faire face à「…に顔を向ける、面と向かう」
8 pour imposer…は前行につながる。imposerは「…を強要する、(価値を)認めさせる、課す」などの意味だが意訳した。
9 このqueは、1行目のnous direにつながる。
10 touteはun,uneを伴って「まるまる…、…そっくり、…全部」の意味。




コメント
○十年前、イヴ・デュティーユの来日公演を、銀座の朝日ホールで聞いたことを思い出しました^^

懐かしい時間、懐かしい人・・ マァ本当に時間の流れるのは
早いですね。
ノニーさん、どうぞお元気で^^
mimihadot 2016.02.11 10:57 | 編集
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