2014
10.02

凪L'embellie

Jean Ferrat Lembellie


ジャン・フェラJean Ferratの「ふるさとの山La montagne」を9月21日に取り上げましたが、今回は彼の「凪L'embellie」という美しい曲。1980年のアルバムFerrat 80に収録されています。

embellieという語は、「一時の晴れ間」「(暴風雨)の小やみ、凪」という意味で、繁忙な生活のなかで美しいものに心を向けたり過去を懐かしんだりする、短いひとときをフェラはこの言葉であらわしています。「美しくなった女」という邦題がつけられているのは、embellir「美しくする」という動詞の過去分詞の女性形と捉えてのことでしょうが、歌詞の内容とまったく合いません。でも「美しい時間」といったニュアンスも含めた題名だとは思います。また「夕なぎ」という邦題も正確ではなく、「凪」の一語にしたいと思います。



L'embellie                    凪
Jean Ferrat                   ジャン・フェラ


Ecris quelque chose de joli
Des vers peut-être ou de la prose
Un instant de rêve et de pause
Dans le tumulte de la vie
Ecris quelque chose de joli
Quelques mots de bleu et de rose
Un moment de métamorphose
Que tu nommerais l´embellie

  なにか素敵なことを書いてよ
  詩でもいいしあるいは散文でも
  人生の繁忙のなかの
  夢とやすらぎの瞬間
  なにか素敵なことを書いてよ
  青いろかバラいろの言葉を
  変容のひと時
  それを君は凪と名付けるだろう

Lembellie3.jpg


L´embellie l´embellie
L´embellie l´embellie

  凪、凪
  凪、凪

Verse un peu de joie dans nos cœurs
Avec des riens qui vous délivrent 注1
Un peu d´espoir et de douceur
On en a tant besoin pour vivre

  僕たちの心に少しばかりの喜びを注いでよ
  ひとの気持ちを解きほぐすような些細なことがらで
  少しばかりの希望と優しさ
  生きるためにそれらがとても必要だ

Ecris quelque chose de joli
L´odeur des lilas et des roses
Chante-nous la beauté des choses
Dans les yeux de l´homme ébloui 注2
Ecris quelque chose de joli
L´aube entre nos bras qui repose
La seconde où lèvres mi-closes
Le plaisir vient comme la pluie

  なにか素敵なことを書いてよ
  リラやバラの香り
  魅了された者の目に映る
  ものの美しさを僕たちに歌ってよ
  なにか素敵なことを書いてよ
  夜明けは僕たちの腕のあいだにとどまり
  唇をなかば閉じた瞬間
  喜びが雨のように降りそそぐ

Lembellie1.jpg


L´embellie l´embellie
L´embellie l´embellie

  凪、凪
  凪、凪

Ces mots à peine murmurés
Dans la tendresse qu´on devine
Baigné de musique angevine 注3
Le temps sur nous s´est refermé

  これらの言葉はほとんど囁かれない
  愛が感じとれた際には
  アンジューの音楽に浸りつ
  時は僕たちの上で再び閉ざされた

Je l´aurais voulu si joli
Ce poème en bleu et en rose
Cet instant de rêve et de pause
Dans le tumulte de la vie
Je l´aurais voulu si joli
Mon amour en qui tout repose
Et que nul ne puisse ni n´ose
Douter que tu es dans ma vie

  僕は望んだ 青いろとバラいろのこの詩が
  人生の繁忙のなかの
  夢と安らぎのこの瞬間が
  とても素敵であってほしいと
  僕は望んだ すべての拠り所である僕の恋人が
  とても素敵であってほしいと
  そして僕の人生に君がいることを
  誰も疑い得ず疑おうとなどしないようにと

Lembellie2.jpg


L´embellie l´embellie
L´embellie l´embellie

  凪、凪
  凪、凪

[注]
1 相手をtuと呼んでいる歌詞なので、このvousは「不特定な人」。
2 l´hommeは「人間一般」か、あるいは「男」すなわち自分のことで、その目に映っている「ものの美しさ」を相手(彼女)が二人のために歌うということか。
3 angevine「アンジェの、アンジュー地方の」。アンジェAngersはフランス西方のアンジュー地方Maine-et-Loireの都市。アンジューの音楽とは、ダンスのための民族音楽だろう。



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