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2016
01.19

カルーソーCaruso

Mireille Mathieu Caruso


エンリコ・カルーソーEnrico Caruso (1873年-1921年)は、オペラ史上最も有名なイタリア人テノール歌手の一人。アメリカに渡りニューヨークで活動していましたが、故郷のナポリで療養中に亡くなりました。
彼を歌ったイタリア語の曲「カルーソーCaruso」を、イタリアのシンガー・ソングライターのルチオ・ダルラLucio Dallaが1986年に作り歌っています。



ルチアーノ・パヴァロッティLuciano Pavarotti ララ・ファビアンLara Fabian フロ-ラン・パニーFlorent Pagny もイタリア語で歌っています。

そして、そのフランス語ヴァージョン「カルーソーCaruso」(フランス語読みはカルーゾ)をミレイユ・マチューMireille Mathieuが歌っていますので、今回これを取り上げましょう。 1989年のアルバムL'Américainに収録されています。



Caruso       カルーソー
Mireille Mathieu  ミレイユ・マチュー


La lune brille et sur la mer souffle le vent en rafale
Sur la vieille terrasse au bord du golfe de Sorrente
Un homme serre une fille très fort sans retenir ses larmes
La gorge nouée de chagrin pourtant malgré lui il chante

  月が輝き 海の上を一陣の風が吹きすぎる
  ソレント湾に面した古びたテラスで
  一人の男が涙も拭おうとせずに一人の娘を強く抱きしめている
  喉を悲しみに締めつけられつ心ならずも彼は歌う

Caruso3.jpg


{Refrain :}
Je t'aime tant je t'aime
Passionnément et tu le sais
Dans le fond de moi-même
Je ressens ta chaleur comme jamais

  君をとても愛している 愛しているよ
  熱烈に そして君はそれが分かっている
  わが身の奥深くに
  君の熱さを再び感じる かつてないほどに

Cette lumière sur la mer lui fait penser aux nuits de l'Amérique
Mais ce ne sont que mirages comme un sillage de bateau
Il entend dans le lointain des guitares qui jouent des romances d'hier
Et la lune à travers les nuages éclaire le golfe de Sorrente
Les yeux de l'amour au fond de la nuit lui paraissent encore plus clairs
Il laisse échapper une dernière larme pourtant malgré lui il chante

  この海の上の光は彼にアメリカの夜を思い起こさせる
  だがそれは船の航跡のごとき幻影に過ぎない
  彼は遠くに昨日の恋唄を奏でるギターの音色を聴く
  そして月は雲間からソレント湾を照らす
  夜の闇のなかの愛のこもった瞳は彼にはますます鮮明に見え
  彼は最後の涙を流れるに任せつ心ならずも彼は歌う

{Refrain}

Puissance de la musique qui fait d'un acte banal
À un coup de baguette magique un geste magistral 
Le regard qu'elle jette sur lui est plein de certitude
Il a oublié ce qu'il était il va quitter le sud
La vie lui paraît menaçante tout comme une nuit de l'Amérique
Il a envie de s'accrocher encore au golfe de Sorrente
C'est peut-être la vie qui veut fuir il n'entend plus que la musique
Il ferme les yeux comme un enfant sans s'interroger il chante

  魔法の杖の一振りで月並みな動作を
  みごとな所作にする音楽の力
  彼に投げかける彼女の視線は確信に満ちている
  彼はかつての自分を忘れてしまい南の地を去ろうとしている
  人生はアメリカでの一夜とまったく同じように不安なものに彼には思われ
  彼は再びソレント湾に身を寄せることを望んだ
  去ろうとしているのは命のほうだろう、彼はもう音楽しか聴かない
  彼は子どものように目を閉じて自らに問うこともなく歌う

{Refrain×2}

Caruso1.jpg


[注] baguetteは「細い棒」すべてを指す言葉である。棒状のフランスパン「バゲット」もしかり。音楽の場では、baguette magique「魔法の杖」 はすなわち「指揮棒」。



コメント
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dot 2022.04.07 22:04 | 編集
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dot 2021.01.11 21:04 | 編集
いつもパバロッティのカルーソーばかり聞いていましたが、今日、ミレイユ・マチューの歌が懐かしくなりいろいろきいていたらカルーソーも歌っていることを発見し聴き入ってしまいました。さらにこちらのブログにたどり着き、作曲したルチオ・ダルラの歌を聴くことができました。ルチオ・ダルラさんの歌がエクセレントですね。私もイタリア語で歌えるようにします。
本当に切ない曲ですよね。何回聴いても心に沁みます。
ノニーさんすばらしい記事をありがとうございました。
まりりんdot 2018.09.12 23:34 | 編集
 引退後、カンツオーネなどを音楽教室で練習しています。次の歌さがしていたら、Carusoに出会いました。早口のところがあり、とても口がまわらない、とても覚えられないな、とあきらめようとしていましたが、<Caruso フランス語>で検索しましたら、ミレーユ・マチューがフランス語で歌っていることを教えてくれ、その上に歌詞まで載せている貴サイトに出会い、感激!!
 ありがたいことです。フランス語歌詞で練習してみたいと思います。お礼ができませんので、感謝の言葉をくりかえします。ノニーさん メルシ・メルシ・メルシ
中澤敏明dot 2018.09.06 13:35 | 編集
私、カンツォーネはあまり知りませんし、日本の歌手となると全く知りませんので、
村上進さんの「カルーソー」をYouTubeで初めて聴きました。
40代の若さで亡くなられたとはとても残念ですね。

今日は同じくカンツォーネに関連したダリダの曲を取り上げてみました。
ご覧になってください。

雪は久しぶりで気持ちよかったです。
まだ若干融け残ってはいますが、自転車で出かけられました。

朝倉ノニーdot 2016.01.20 14:58 | 編集
本当に名曲ですね。
ルチオ・ダルラ。マチュー。ともに素晴らしくて、涙がでそうです。この曲は、亡くなれらた村上進さんの歌で記憶に残っています。まだ40代の若さでした。カンツォーネ歌手として大成
されるべき方でしたのに、残念でした。

ノニーさん、素晴らしいブログ、本当にありがとうございます。とっても嬉しい楽しみができました^^

東京の雪はもう消えましたか? どうぞお気をつけて。
mimihadot 2016.01.20 00:57 | 編集
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