
「スラバヤ・ジョニーSurabaya Johnny」は、オペレッタ「三文オペラDie Dreigroschenoper」で知られるクルト・ヴァイルKurt Weillとベルトルト・ブレヒトBertolt Brechtのコンビで1942年に作られた曲で、1956年にボリス・ヴィアンBoris Vianがフランス語の歌詞を付け、カトリーヌ・ソヴァージュCatherine Sauvageが歌っています。彼女は、「三文オペラ」の挿入歌をボリス・ヴィアンがフランス語に翻案した「マッキーの哀歌La Complainte de Mackie」も歌っています(この動画は削除されて現在ありません)。
ピア・コロンボPia Colomboもフランス語で歌っています。
クルト・ヴァイルの妻のロッテ・レンヤLotte Lenyaの歌うドイツ語の原曲。
日本では、倍賞千恵子が劇中で歌っています。
Surabaya Johnny スラバヤ・ジョニー
Catherine Sauvage カトリーヌ・ソヴァージュ
J´étais jeune, dix-sept ans, une môme
Je t´ai vu, t´arrivais d´Birmanie 注1
Tu disais qu´il fallait que j´ te suive
Tu disais "T´auras pas d´soucis"
J´ t´ai demandé c´ que tu faisais dans la vie
Tu m´as dit, aussi vrai que j´suis là 注2
"Je travaille quelque part aux chemins d´ fer
Et je n´ai rien à fiche sur lamer"
わたしは若かった、17歳の娘っ子
あんたを見かけた、あんたはビルマからやって来た
あんたはわたしに付いて来いと言った
あんたは言ってた「心配ないよ」と
わたしはあんたがどんな仕事をしているのか尋ねた
あんたは言った、はっきりと
「僕は鉄道関係の仕事をしている
だから海の上でやることなんぞ何もない」と
Tu parlais trop, Johnny
Tout était faux, Johnny
Dès l´ premier mot, Johnny, tum´as trompée
Ah, c´ que j´ te hais, Johnny 注3
Quand t´es là qui ricanes, Johnny
Tu retires cette pipe de ta grande gueule? 注4
Ordure!
あんたはしゃべり過ぎだった、ジョニー
ぜんぶ嘘だったわ、ジョニー
最初の言葉からそうよ、ジョニー、あんたはわたしを騙した
ああ、わたしはどんなにあなたを憎むことか、ジョニー
そこにいてニタニタ笑っているとき、ジョニー
そのパイプをあんたのおしゃべりな口から外したら?
ろくでなし!

Surabaya Johnny
Pourquoi t´es si méchant?
Surabaya Johnny
Bon Dieu! Et moi qui t´aime tellement
Surabaya Johnny
Pourquoi je souffre tant?
Tu n´as pas d´ cœur, Johnny,
Et moi je t´aime tellement
スラバヤ・ジョニー
どうしてあんたはそんなに意地悪なの?
スラバヤ・ジョニー
おやまあ!あんたをこんなに愛してるわたしは
スラバヤ・ジョニー
どうしてすごく苦しむの?
あんたは薄情よ、ジョニー
そしてわたしはあんたをこんなに愛してる
Y avait sept dimanches par semaine
Au début quand j´ te connaissais pas
Mais au bout de quinze jours à peine
Y a plus rien qui t´ plaisait en moi
Qu´il est long le chemin jusqu´au Punjab 注5
De la source du fleuve à la mer
J´ose même plus me regarder dans une glace
J´ai déjà l´air d´une vieille rombière
1週間に日曜日が7回あった
あんたをまだ知らない初めのうちはね
でも2週間経つやいなやで
わたしにはあんたに気に入ってもらえるものは何も無くなった
パンジャブまでの道のりは長い
大河のみなもとから海までの
わたしはもはや自分を鏡に映して見ることさえしない
わたしはもう老女のようだ
Il t´ fallait pas d´amour, Johnny
Il t´ fallait du fric, Johnny
Moi, bonne idiote
Je n´ voyais plus qu´ ta bouche
Tu as tout exigé, Johnny
Et j´en ai remis, Johnny 注6
Tu retires cette pipe de tagrande gueule?
Ordure!
あんたは愛してくれなくていいのよ、ジョニー
あんたはお金だけくれりゃいいのよ、ジョニー
お人好しで馬鹿なわたしはね
あんたの口もとしか見ていなかった
あんたはすべてを要求した、ジョニー
そしてわたしは答え過ぎたわ、ジョニー
そのパイプをあんたのおしゃべりな口から外したら?
ろくでなし!
Surabaya Johnny
Pourquoi t´es si méchant?
Surabaya Johnny
Bon Dieu! Mais moi, je t´aime tellement
Surabaya Johnny
Pourquoi je souffre tant?
Tu n´as pas d´ cœur, Johnny,
Et moi je t´aime tellement
スラバヤ・ジョニー
どうしてあんたはそんなに意地悪なの?
スラバヤ・ジョニー
おやまあ!あんたをこんなに愛してるわたしは
スラバヤ・ジョニー
どうしてすごく苦しむの?
あんたは薄情よ、ジョニー
そしてわたしはあんたをこんなに愛してる
J´ai jamais bien cherché au juste
Où t´avais pu trouver c´ nom-là
Mais du haut jusqu´en bas de la côte 注7
Y avait pas d´ client plus connuqu´ toi
Un beau jour, dans un lit à cent balles
J´entendrai le tonnerre de la mer
Et voilà qu´ tu t´en vas sans rien dire
Ton bateau est à l´ancre en bas
わたしにははっきりとは分からない
あんたがどこでその名前を手に入れることができたのか
でも丘陵の上から下まで
あんたほど有名なお客はいなかった
いつの日か、100フランのベッドのなかで
わたしは海鳴りを聞くことだろう
さてあんたは今、何にも言わずに立ち去るところだ
あんたの船はこの下に錨を下ろしている

Tu n´as pas d´ cœur, Johnny
T´es un salaud, Johnny
Voilà qu´ tu pars, Johnny
Sans dire pourquoi
Mais moi, je t´aime, Johnny
Comme au premier jour
Johnny, dis, tu retires cette pipe de ta grande gueule?
Ordure!
あんたは薄情よ、ジョニー
あんたは卑劣なやつよ、ジョニー
あんたは行ってしまうのね、ジョニー
理由も言わずに
でもわたしは、あんたを愛してる、ジョニー
初めての日のように
ジョニー、ねえ、そのパイプをあんたのおしゃべりな口から外したら?
ろくでなし!
Surabaya Johnny
Mais pourquoi t´es si méchant?
Surabaya Johnny
Bon Dieu! Mais moi, je t´aime tellement
Surabaya Johnny
Pourquoi je souffre tant?
Tu n´as pas d´ cœur, Johnny,
Et moi, je t´aime tellement
どうしてあんたはそんなに意地悪なの?
スラバヤ・ジョニー
おやまあ!あんたをこんなに愛してるわたしは
スラバヤ・ジョニー
どうしてわたしはすごく苦しむの?
あんたは薄情よ、ジョニー
そしてわたしはあんたをこんなに愛してる
Johnny!
ジョニー!
[注] Surabaya「スラバヤ」は、インドネシアのジャワ島北東部にある商業都市で貿易港。日本では、インドネシア料理店の名前にもよく使われている。
1 Birmanieミャンマーの旧称。
2 aussi vrai que「…と同様に本当のこと」
3 ce que …!「なんて、どんなに」
4 gueule「(肉食獣などの)口」「(人の)口、面(つら)」。grande gueuleは「大きな口」「大きな顔」だが、「おしゃべり、口先だけの人」をも指す。
5 Punjab「パンジャブ」インド北部からパキスタン中北部にかけてのインダス川中流域。
6 en remettre「余計なことを言い過ぎる、やり過ぎる」
7 du haut jusqu´en bas「上から下まで」
Comment:2
コメント
瀬間千恵さんは、クルト・ヴァイルの曲をよく歌われているそうですね。
私は、日本のシャンソン界に関してはまったく無知で、
その意味では、長く外国に滞在しているということでしょうか。
実際はずっと日本に住んでおり、
単なる趣味としてフランス語のシャンソンの翻訳を始め、
その延長で、自分でも歌い始めました。
シャンソン自体に関しても、もともと持っている知識は乏しく、
ブログの記事を書きながら勉強しています。
アマリア・ロドリゲスは、もう20年くらい前に来日した際にコンサートに行き、
以来、よく聴いていました。
私は、日本のシャンソン界に関してはまったく無知で、
その意味では、長く外国に滞在しているということでしょうか。
実際はずっと日本に住んでおり、
単なる趣味としてフランス語のシャンソンの翻訳を始め、
その延長で、自分でも歌い始めました。
シャンソン自体に関しても、もともと持っている知識は乏しく、
ブログの記事を書きながら勉強しています。
アマリア・ロドリゲスは、もう20年くらい前に来日した際にコンサートに行き、
以来、よく聴いていました。
朝倉ノニー
2016.02.24 07:44 | 編集

スラバヤ ジョニー この曲を知ったのは瀬間千恵さんのお蔭です。素晴らしい歌唱で、圧倒されました。
瀬間千恵さんには素敵な歌が沢山ありますが、アマリア・ロドリゲスのファド「暗いはしけ」も素敵でした。
懐かしく思い出しました。
ノニーさんは長く外国に滞在されていらしたのでしょうか?
ふっとそんな事をおもってしまいました^^
瀬間千恵さんには素敵な歌が沢山ありますが、アマリア・ロドリゲスのファド「暗いはしけ」も素敵でした。
懐かしく思い出しました。
ノニーさんは長く外国に滞在されていらしたのでしょうか?
ふっとそんな事をおもってしまいました^^
mimiha
2016.02.22 02:20 | 編集
