2014
10.07

彼女はとても美しかった(風が連れ去った恋)Elle etait si jolie

Alain Barrière


アラン・バリエールAlain Barrièreは、1935年にブルターニュで生まれたシンガー・ソングライター。パリ郊外のタイヤ会社にエンジニアとして勤めるかたわら、自作の詩をパリのキャバレーで歌っていましたが、1961年のシャンソン・コンクールでCathyを歌って決勝に残り、注目されるようになりました。
1963年に、今回取り上げる「彼女はとても美しかった(風が連れ去った恋)Elle etait si jolie」でフランス代表としてユーロヴィジョンに出場。5位にとどまりましたが、人々に受けて大ヒットしました。その翌年には最大のヒット曲「私の人生Ma vie」を出し、オランピアに出場。71年に自分のレコード会社を作り、73年に「君は行ってしまうTu t’en va」をノエル・コルディエNoëlle Cordierとのデュエットで出し、ドイツでも大ヒットしました。
ミッシェル・ポルナレフMichel Polnareffと似た話ながら、77年に、税金問題などからアメリカに逃げ、その後カナダに移住しますが、90年代初めにはフランスに戻り、母国での活動を再開しました。
2010年11月には53曲収録した3枚組ベスト・アルバムを出しました。翌11年1月に3度目の脳血管障害に襲われて入院し、その後ブルターニュの自宅で静養を続けていました。そして9月16日(金)のパレ・デ・コングレPalais des Congrès公演を最後に50年に及んだキャリアの幕を閉じる重大な決心をしたそうです。

彼は、ロックやyéyéに対抗した曲作りをモットーとし、シャンソンのいわゆるスタンダード・ナンバーの歌唱も定評がありますし、クラシック音楽をアレンジして作った曲も得意です。



Elle etait si jolie        彼女はとても美しかった(風が連れ去った恋)
Alain Barrière         アラン・バリエール


Elle était si jolie
Que je n'osais l'aimer 注1
Elle était si jolie
Je ne peux l'oublier
Elle était trop jolie
Quand le vent l'emmenait
Elle fuyait ravie 注2
Et le vent me disait...

  彼女はとても美しかった
  僕が愛するのを臆するほどに  
  僕は彼女を忘れることができない
  彼女はとても美しかった
  風が彼女を連れ去ったとき
  彼女は陶然として消えた
  そして風は私に言った…

Elle est bien trop jolie 3


Elle est bien trop jolie
Et toi je te connais
L'aimer toute une vie
Tu ne pourras jamais 注3
Oui mais elle est partie
C'est bête mais c'est vrai
Elle était si jolie
Je ne l'oublierai jamais

  「彼女はほんとうに美しすぎる
  そしておまえ、わたしはおまえのことを分かっている
  彼女を一生愛することは
  おまえには決してできないだろう」
  そのとおりだ だが彼女は去ってしまった
  残念だが本当だ
  彼女はとても美しかった
  僕は彼女をけっして忘れないだろう

Aujourd'hui c'est l'automne
Et je pleure souvent
Aujourd'hui c'est l'automne
Qu'il est loin le printemps
Dans le parc où frissonnent
Les feuilles au vent mauvais 注4
Sa robe tourbillonne
Puis elle disparaît...

  今は秋だ
  僕は時おり涙を流す
  今は秋だ
  春はなんと遠くなったことか  
  公園では木の葉が
  いやな風に震えている
  彼女のドレスがひるがえり
  そして彼女は姿を消す…
Elle est bien trop jolie 2


Elle était si jolie
Que je n'osais l'aimer
Elle était si jolie
Je ne peux l'oublier
Elle était trop jolie
Quand le vent l'emmenait
Elle était si jolie
Je n'oublierai jamais

  彼女はとても美しかった
  僕が愛するのを臆するほどに  
  彼女はとても美しかった
  彼女を忘れることができない
  彼女はあまりにも美しかった
  風が彼女を連れ去ったとき
  彼女はとても美しかった
  僕は彼女をけっして忘れないだろう

[注]
1 si…que「非常に…なので…である、…なほど…である」。 oser「思い切って…する、…する勇気がある、厚かましくも…する」の意味で、否定文ではpasがしばしば省略され、その場合、すこし意味が弱くなる。
2 ravi(e)は動詞のravir「心を奪う」の過去分詞が形容詞となったもので、ravi(e)「心を奪われた」すなわち「大喜びの」が本義だが、ravirには「奪う、さらう」の意味もあり、ここでは「さらわれて」の意味も含まれているようだ。
3 この行まで、風が言った内容なので、訳文では括弧で囲んだ。この行と前の行の語順が逆転されている。
4 au vent mauvaisは、ヴェルレーヌPaul Verlaineの「秋の歌Chanson d'automne」の1節 Et je m'en vais / Au vent mauvais…。セルジュ・ゲンズブールSerge Gainsbourgの「君に別れを告げに来た(手ぎれ)Je suis venu te dire que je m'en vais」にも用いられている。



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