2015
12.07

不実女の哀歌La complainte des infidèles

Mouloudji La complainte des infidèles


今回は、ダニエル・ダリューDanielle Darrieuxが出演した1951年の映画「ボナデュー館La Maison Bonnadieu」(日本未公開)の主題曲としてジョルジュ・ヴァン・パリスGeorges Van Parysが作詞・作曲し、ムルージMouloudjiが映画のなかで歌った「不実女の哀歌La complainte des infidèles」。カトリーヌ・ソヴァージュCatherine Sauvageも歌っています。

映画のあらすじを調べてみたところ、さまざまな記述があり、理解に苦しみましたが…。
「ボナデューの館の夫人は19歳の若い男と浮気を重ね、気の弱い夫はその男の社会的地位のため黙認する。そして、妻を愛するがゆえ、自分にも愛人がいるふりをして嫉妬させようとする。そうした状況を、老夫人(夫か妻の母親)が若者と館のメイドとを結婚させることでうまく収めた」といったことのようです。

不実な女たちに、「あなたがたは復讐されて、男たちに与えてきた苦しみを今度は自分が味わうことになるよ」と、いわば因果応報を説く歌詞内容。一般には「不実女の嘆き」という邦題で呼ばれていますが、complainteの原義に即し「不実女の哀歌」とします。

ムルージ



カトリーヌ・ソヴァージュ



La complainte des infidèles  不実女の哀歌
Mouloudji             ムルージ


Bonnes gens
Ecoutez la triste ritournelle
Des amants errants en proie à leurs tourments 注1
Parce qu’ils ont aimé des femmes infidèles
Qui les ont trompés ignominieusement

  善良な方々よ
  お聴きなさい
  苦悩にとらわれた迷える情夫たちの悲しいフレーズを
  なぜなら彼らは不実な女たちを愛し
  彼女たちは彼らを卑劣にも裏切ったのだから

Méfiez-vous, femmes cruelles 注2
Qu’on vous en fasse tout autant 注3
La douleur n’est pas éternelle
Même chez le meilleur des amants 注4
Vaincues par vos propres armes
Vous connaîtrez à votre tour
Et le désespoir et les larmes
De la jalousie et de l’amour

  用心なさい、薄情な女たちよ
  あなたがたはまったく同じことをされるよ
  最良の情夫のもとでも
  苦しみは永久に
  あなた方自身の力で克服されたわけじゃない
  あなた方は自分の番が来て知ることになる
  嫉妬のそして愛の
  絶望と涙を

La complainte des infidèles1


{Refrain:}
Cœur pour cœur, dent pour dent 注5
Telle est la loi des amants
Cœur pour cœur, dent pour dent
Telle est la loi des amants.

  心には心を、歯には歯を
  恋人たちの法則はこういうこと
  心には心を、歯には歯を
  恋人たちの法則はこういうことさ。

Bonnes gens
c’est le refrain des filles cruelles
Sans foi, ni serment, trompées par leurs amants
Parce qu’ils ont aimé des femmes infidèles 注6
Ils se sont vengés victorieusement 注7

  善良なる方々よ
  これは薄情な娘たちの常套句
  契りもなく、誓いもなく、情人たちにだまされたというのは
  彼らは不実な女たちを愛したがゆえ
  見事に復讐したのだ

Ah! Souffrez mes tourterelles 注8
Vous voilà en peine d’amants 注9
Des inquiétudes mortelles
C’est vous qui connaîtrez le tourment
Répandez vos jolies larmes
Oui, pleurez, c’est bien votre tour
Vous avez dû rendre vos armes
Et l’amour est mort, vive l’amour!

  ああ!わがキジバトたちよ苦しむがいい
  あなた方はいま、情夫たちを案じている!
  死ぬほどの不安だ
  苦悩を思い知らされるのはあなた方だ
  美しい涙を流しなさい
  そうさ、泣きなさい、あなたの番が来たんだ
  武器を棄てて降参すべきだったのに
  そして恋は死んだ、恋よ万歳!

La complainte des infidèles2


{au Refrain}

[注]
1 en proie à「…に襲われる、…のとりこになる」
2 se méfier que+sub.「…しないか気を付ける、…することを用心する」。
3 en…tout autant「まったく同様に…する」。
4 この行は挿入部分で、次行のvaincuesが前行のn’est pas éternelleにつながる。
5 …pour…「…には…を」。同じ語を繰り返して対抗の意味を表す。œil pour œil , dent pour dent「目には目を、歯には歯を」の言い換え。
6 parce queは主節のあとに添えるのが定石だが、強調のため先行させている。
7 vengerは「(…の)仇を討つ、恨みをはらす」という意味だが、se venger も受動・相互等の意味はなく、「復讐する、仕返しする」 である。 victorieusement「成功裏に、勝利を収めて」は、結果を表現するので意訳した。
8 tourterelle「小型のハト、キジバト」。女性名詞で、femme infidèle「不実な女たち」を指す。
9 être en peine de …「…を心配する」




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