2015
10.31

行かないで(彼と彼女のソネット)T'en va pas

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「行かないで(彼と彼女のソネット)T'en va pas」はジャック・ブレルJacques Brelが歌う「行かないでNe me quitte pas」とは別の曲です。当時13歳のエルザ・ランギーニElsa Lunghiniが、映画「悲しみのヴァイオリンLa Femme de ma vie」(監督:レジス・ヴァルニエRegis Wargnier。ジェーン・バーキンJane Birkin主演。)に出演し、そのなかで歌った曲。「哀しみのアダージョ(副題:彼と彼女のソネット)」という邦題がつけられ、ピエール・ポルトPierre Porteによる演奏でも知られています。



歌詞はちょっと複雑な映画の内容と一致して、出て行こうとする父親(というより母親の恋人)に「行かないで」と言う、娘の言葉です。原田知世の日本語のカバーもYouTubeで見られますが、男と女の話に変えられています。

また、レーモン・ルフェーヴルRaymond Lefèvreにも「哀しみのアダージョ」という同名の曲があり、こちらは、映画「寄宿舎(副題:悲しみの天使)」の主題曲で、もともと、スペインのPop Topsが歌っていた曲で、そのまた原曲はスペインのミカエル・ヴァケスMichael Vacquezによるアダージョ・カルディナルAdajio Cardinal。
そして、マルティーヌ・クレマンソーMartine Clémenceauが、そのアダージョ・カルディナルをフランス語で歌っています。このブログですでに取り上げた「アダージョ・カルディナル(哀愁のアダージョ)Adajo cardinal」です。

このように、「哀しみのアダージョ」には別曲があることですし、ここでは、原名の直訳に副題を添えて表記しました。

エルザは、史上最年少でパリのオランピア劇場でのコンサートを開き、また、フランスのヒット・チャート第1位を史上最年少で獲得した歌手ですが、日本ではあまり知られていません。デヴュー当時、ヴァネッサ・パラディVanessa Paradisとよく比較されたようですが、その後はヴァネッサのほうがよく知られるようになりました。

T'en va pas   行かないで(彼と彼女のソネット)
Elsa Lunghini  エルザ・ランギーニ


T'en va pas 注1
Si tu l'aimes, t'en va pas 注2
Papa si tu l'aimes dis-lui
Qu'elle est la femme de ta vie vie vie
Papa ne t'en va pas
On peut pas vivre sans toi 注3
T'en va pas au bout d'la nuit

  行かないで
  彼女を愛してるなら、行かないで
  パパ、彼女を愛してるなら、言って
  生涯かけて愛した女性だと
  パパ、行かないで
  あなたなしには生きていけないわ
  行かないで、夜の終わりに

Ten va pas1


Nuit tu me fais peur 注4
Nuit tu n'en finis pas
Comme un voleur
Il est parti sans moi
On ira plus au ciné tous les trois

  夜 あなたはわたしを怖がらせる
  夜 あなたは怖がらせ続ける
  泥棒みたいに
  彼はわたしを置いて行ってしまった
  もう三人で映画館に行くことはないのね

Nuit tu me fais peur
Nuit tu n'en finis pas
Comme un voleur
Il est parti sans moi
Papa si tu pensais un peu a moi 注5

  夜 あなたはわたしを怖がらせる
  夜 あなたは怖がらせ続ける
  泥棒みたいに
  彼はわたしを置いて行ってしまった
  パパ、ちょっとはわたしのことも考えてほしいわ

{instrumental}

Où tu vas, quand tu t'en va d'ici?
J'arrive pas a vivre sans toi
Avec la femme de ta vie vie vie
Papa fais pas d'connerie
Quand on s'aime on s'en va pas 注6
On ne part pas en pleine nuit

  あなたはここから立ち去って、どこへ行くの?
  あなたなしで生きていけないわ
  あなたが命懸けで愛した女性とともに
  パパ、ばかなことをしないで
  お互い愛し合ってるのなら、行かないわ
  真夜中に立ち去ったりしないわ

Ten va pas2


Nuit tu me fais peur
Nuit tu n'en finis pas
Comme un voleur
Il est parti sans moi
Tu m'emmeneras jamais aux USA 注7

  夜 あなたはわたしを怖がらせる
  夜 あなたは怖がらせ続ける
  泥棒みたいに
  彼はわたしを置いて行ってしまった
  もうわたしをアメリカへ連れて行ってくれない

Nuit tu me fais peur
Nuit tu n'en finis pas
Comme un voleur
Il est parti sans moi
Papa j't'assure arrête ton cinéma 注8

  夜 あなたはわたしを怖がらせる
  夜 あなたは怖がらせ続ける
  泥棒みたいに
  彼はわたしを置いて行ってしまった
  パパ、芝居がかったことはやめてくれるわね

Nuit tu me fais peur
Nuit tu n'en finis pas
Comme un voleur
Il est parti sans moi
Papa j'suis sure qu'un jour tu reviendras

  夜 あなたはわたしを怖がらせる
  夜 あなたは怖がらせ続ける
  泥棒みたいに
  彼はわたしを置いて行ってしまった
  パパ、いつか帰って来ると信じてるわ

{instrumental}

Nuit, nuit tu me fais peur
Nuit tu n'en finis pas
Comme un voleur

  夜、夜 あなたはわたしを怖がらせる
  夜 あなたは怖がらせ続ける
  泥棒みたいに

Papa j't'assure arrête ton cinéma
Nuit tu me fais peur
Nuit tu n'en finis pas
Comme un voleur

  パパ、芝居がかったことはやめてくれるわね
  夜 あなたはわたしを怖がらせる
  夜 あなたは怖がらせ続ける
  泥棒みたいに

Papa j'suis sure qu'un jour tu reviendras

  パパ、いつか帰って来ると信じてるわ

[注]
1 否定の命令形。neの省略は、口語ではよくおこなわれる。t'en va pas「行かないで」と引き止める言葉は、この最初の段落だけで、あとは、引き止めてももう無理な状況を示すような歌詞になっている。ジャック・ブレルの歌では、「行かないで」と言い続けるが…。
2 la, lui, elle すなわちpapaが愛する彼女とは、彼の妻、本人の母親。
3 onが何度もでてくるが、nous「私たち」と同義の場合が多い。ただし、それは、父・母・娘全員の場合に限らない、ここでは母と娘だけを指す。
4 この段落では、それまでのpapa への語りかけから、nuit「夜」に対しての語りかけに変わり、papaをil「彼」と表現する。最後の行のonは書かれているとおり、3人全員。
5 この段落では、nuit「夜」に対しての語りかけが、最後の行でpapa への語りかけに戻る。
6 ここの2行は、私たちというより、不特定な人の普遍的な事実という形で述べている。on s'aime のs'aimerは、複数者間での相互的な意味だが、on s'en va pasと後のon ne part pasでは、相互的な意味は含まれず、立ち去るのは一人。
7 aux USAは、xとU間のリエゾンのみならず、SとAもアルファベットのフランス語読みでアンシェヌマンするので、「オズューエサー」のような発音になる。
8 j’t’assure の、jeのeの発音が飛ばされている部分は、ジュではなくシュを更に子音だけのように短く発音する。cinemaは、「はったり、芝居、人騒がせなまね」。前にあった、On ira plus au cine「もう映画館に行かない」というのとは無関係。



コメント
On ira plus au cine の cine に accent は付かないのですか?
chatgrisdot 2017.10.23 00:48 | 編集
アクサンの抜けている歌詞をコピペしてしまいました。
arrête ciné cinéma を直しました。
ありがとうございました。
朝倉ノニーdot 2017.10.23 06:49 | 編集
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