2015
11.24

初めてのギターMa première guitare

Sacha Distel Ma Premiere Guitare


サシャ・ディステルSacha Distelは1933年にパリで生まれたイケメンのギタリスト・歌手・俳優。「雨にぬれてもToute la pluie tombe sur moi」を先にご紹介しています。俳優としては、映画「さよならをもう一度Aimez-vous Brahms ?」(先にご紹介した「ブラームスはお好きQuand tu dors près de moi」がテーマソング)にも出演しています。私生活面では、ブリジッド・バルドーBrigitte Bardotとの関係ののちスキーヤーの女性と結婚。没年は2004年。

今回ご紹介するのは、サシャが自作した「初めてのギターMa première guitare」(1972年)というすてきな曲で、gypsy swingと言われる、フランス在住ジプシーによるジャズの創始者:ジャンゴ・ラインハルトDjango Reinhardtへのオマージュ。当時、ギターを弾き始めた若者たちにとってはカリスマ的存在でした。以前ご紹介したジャンゴの代表作「雲Nuages」は私の大好きな曲です。

サシャ・ディステル



モダン・ジプシー・ポップ・バンドと自称するチコ&ザ・ジプシーズchico & the gypsies。ワールド・ミュージックの大御所であるジプシー・キングズGipsy Kingsからチコが独立して結成したバンドです。



Ma première guitare  初めてのギター
Sacha Distel      サシャ・ディステル


J'avais quinze ans,
C'était le temps
De ma première guitare,
Et tout ce temps
Revient souvent
Du fond de ma mémoire.
Ces quinze ans-là
C'était Django
Qui les mettait en fête.
En ce temps-là 注1
C'était Django
Qu'on avait dans la tête.
Dans sa musique, il y avait comme une odeur de feu de bois,
Il y avait un je-ne-sais-quoi, 注2
Moitié Harlem, 注3
Moitié bohème.
Et sur tout ça passaient, joyeux, de merveilleux nuages, 注4
Pareils à ceux
Qu'ont dans les yeux
Tous les gens du voyage.

  僕は15歳、
  それは僕の初めてのギターを手にした
  時のことだった、
  その時のことが
  僕の記憶のなかから
  ときおりすべて蘇ってくる。
  当時の15歳の僕たちを、
  夢中にさせたのは
  ジャンゴだった。
  その時代に
  僕たちの頭にあったもの、
  それはジャンゴだった。
  彼の音楽のなかには、焚火の匂いのようなものがあった、
  何か名状しがたいものがあった、
  なかば黒人街風で、
  なかばボヘミアン風のものが。
  そしてそれらすべての上を、喜ばしいことに、
  旅する人々すべてが
  目のなかに持つのと同じ
  すばらしい雲が流れる。

Ma première guitare2


Depuis ce temps,
J'ai eu le temps
De changer de guitare,
Et le gitan 注5
De mes quinze ans
Est là dans ma mémoire.
Et, bien des fois,
C'est malgré moi,
Il me vient quelques notes
Comme un refrain
Venu soudain
Du fond d'une roulotte. 注6
Alors je sens sous mes doigts monte l'odeur du feu de bois,
J'entends comme un je-ne-sais-quoi
Moitié Harlem
Moitié bohème.
Et sur mon cœur passent, joyeux, ces merveilleux nuages
Pareils à ceux
Qu'ont dans les yeux
Les enfants du voyage.

  その後、
  僕はギターを替える
  ことになり、
  僕の15歳のときのジプシーは
  僕の記憶のなかにしまい込まれた。
  それから、何度も何度も、
  思いがけず、
  いくつかの音符が
  ルフランのように
  ジプシーの幌馬車の奥から
  突然にやって来る。
  そのとき僕の指の下に焚火の匂いが立ち昇るのを感じる、
  僕には何か名状しがたいものが聴こえる
  なかば黒人街風で、
  なかばボヘミアン風のものが。
  そしてそれらすべての上を、喜ばしいことに、
  旅する者たちすべてが
  目のなかに持つのと同じ
  すばらしい雲が流れる。

Ma première guitare3


[注]
1 動画では、ここを3行前と同様にCes quinze ans-làと歌っているが、私の持っている音源では、En ce temps-làと歌っている。ライブなので言い換えるはずを間違えて同じように歌ったようだ。
2 je-ne-sais-quoi「名状しがたいもの」
3 Harlemアメリカ合衆国ニューヨーク州ニューヨーク市のマンハッタン区北部に位置するアフリカ系アメリカ人の文化とビジネスの中心地。名前の由来はトルコ語のハーレムとは関係なく、オランダの都市ハールレムにちなんでオランダ移民によって名付けられたといわれる。
4 1940年にジャンゴが作曲した曲「雲Nuages」を念頭に入れた表現。1961年のフランソワーズ・サガンFrançoise Saganの小説「すばらしい雲Les merveilleux nuage」とは無関係。
5 le gitan「ジプシー」はジャンゴを指している。
6 roulotte「幌馬車」ジプシーの移動手段であり生活拠点でもある。



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