2016
01.12

それぞれのテーブルTables séparées

Dalida Femme est la nuit


「それぞれのテーブルTables séparées」という曲は、私は最初、ちあきなおみの日本語の歌で知りました。元のフランス語のシャンソンはダリダDalidaの歌で、1976年に彼女の11番目のアルバム「夜は女の匂いFemme est la nuit」(なんとまぁどぎつい邦題!)に収録されたものです。作詞:クロード・カルモーヌClaude Carmoneとパスカル・セヴランPascal Sevran、作曲:アリス・ドナAlice Dona。先に取り上げたニコレッタNicolettaの「再会Je n'pourrai jamais t'oublier」と似た状況の歌詞内容ですし、これまた日本語で女性歌手に好んで歌われる歌です。私は、饒舌ではないこちらのほうが自身の大昔の経験に近くて身につまされます。



Tables séparées それぞれのテーブル
Dalida       ダリダ

La porte s'ouvre tout à coup
Et ma mémoire en prend un coup 注1
C'est toi qui entre

  ドアがとつぜん開く
  そして私の記憶が衝撃を受ける
  入って来たのはあなた

Dans ce restaurant familier
Où nous avons souvent caché
Nos dîners tendres 注2

  私たちがよく
  こっそりとディナーを楽しんだ
  このおなじみのレストランに

Je n'écoute plus mes amis
J'allume comme un alibi 注3
Ma cigarette

  もう友だちの声も耳に入らず
  ごまかしに
  タバコに火を付ける

Tables séparées7


Je sais très bien que tu m'as vue
Et maintenant je n'ose plus
Tourner la tête

  あなたが私に気づいたことはよく分かってるけど
  振り返る勇気なんか
  もう私にはない

La fille qui est à ton bras
A bien quinze ans de moins que toi
Ça te rassure

  あなたの腕にいる女性は
  あなたより15歳くらい若いようだけど
  あなたをすっかり安心させてるみたいね

Je me souviens que tu riais
Quand je disais que les regrets
Ont la peau dure 注4

  あなたが笑っていたことをよく思い出すわ
  後悔というのはしぶといものだと
  私が言っていたときに

Un peu gêné tu me salues
Et tu demandes le menu
D'une voix basse

  あなたはバツの悪そうな顔でわたしに会釈し
  メニューを注文する
  小さな声で

Nous qui avons tous partagé
Nous voilà tables séparées
Chacun sa place

  かつてはわたしたちはすべてを分かち合っていた
  今はこうして別のテーブルに
  それぞれ座っている

Je t'observe à la dérobée 注5
Tu n'as pas tellement changé
Avec les femmes

  わたしはこっそりあなたを観察する
  あなたはそんなに変わっていない
  女性たちといっしょにいて

Tables séparées5


Tu ne fais pas dans le détail 注6
Quand tu sorts de ton éventail 注7
Le coup du charme

  あなたは無造作にふるまっている
  そのときふと見せる
  持ち前の魅力的なしぐさを

Et je me croyais immunisé
Je l'avais même imaginé
Ce face à face 注8

  私はそれには慣れているつもりだったし
  こうして顔を合わすことも
  想像していたのに

Mes amis chantent et font les fous 注9
Comment leur dire que je m'en fous 注10
Que je suis lasse

  わたしの友人たちは歌ったりふざけたりしている
  どう彼女たちに言えばいいの もうどうだっていいし
  うんざりだと

Quand l'amour s'écrit au passé 注11
Il ne reste à débarrasser 注12
Rien que deux tables séparées.

  恋が過去形で綴られるとき
  人はふたつの別のテーブルに別れる
  ことになるだけ。

[注] 現在形で話が展開して行くなかに、半過去での追想が挿入される。そして最後の3行が総括する。
1 en prendre un coup「(手ひどい)障害を被る」
2 cacher nos dîners tendres直訳すると、「私たちの水入らずの夕食を隠す」。
3 alibiは「アリバイ」のほかに「口実、言い訳」の意味がある。comme un alibiは訳しにくいが「ごまかしに」とした。
4 avoir la peau dure「抵抗力がある、強靭である」
5 à la dérobée「ひそかに、こっそりと」
6 dans le détail「細かい点で」。faire dans le détailは「細かく気を配ったふるまいをする」といった意味になる。
7 sortirは「外へ出る」の意味の自動詞ではなく、「取り出す、連れ出す、売り出す」の意味の他動詞で、目的語はle coup du。éventailの本来の意味は「扇」だが、ここでは「(選択・変動の)範囲、バラエティー」。
8 face à face=face-à-face「対面、二頭会談」。l'avaisのleはce face à faceのこと。
9 faire le fou「浮かれ騒ぐ、はしゃぎ回って遊ぶ」。ここではmes amisなので複数形になっている。
10 je m'en fous「そんなことどうだっていい」
11 s'écrire au passé「過去形で書かれる、綴られる」。
12 Il reste à+inf.「…することが残っている」に、rien que「…だけしか…ない」という限定が加わる。



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