
今日12月1日は「映画の日」だということで、取り上げるのは、77年の映画をテーマにした曲、エディ・ミッチェルEddy Mitchellの「最終上映La dernière séance」(作詞:クロード・モワーヌClaude Moine、作曲:ピエール・パパディアマンディスPierre Papadiamandis)。1977年の同名のアルバムに収録されています。
イエイエyéyéの大物旗手、エディ・ミッチェルEddy Mitchellは1942年、パリの下町で生まれました。59年にロック・グループ「黒いソックスLes chausettes noires」を結成し、Be bop a lula, Oh!Danielaなどをヒットさせました。のちにソロ活動を始め、80年に「ミント色の水Couleur menthe à l’eau」、82年に「象たちの墓Le cimetière des éléphants」がヒットしました。ヴィクトワール賞Victoires de la musiqueを5回受賞。昨年2014年にもジャック・デュトロン Jacques Dutronc、ジョニー・アリディーJohnny Hallydayとともに3枚組みのアルバム:Les Vieilles Canaillesをリリースしました。
自身も61年より映画出演しているほか映画との関連は深く、1982年から1998年まで、50年代の古いアメリカ映画を紹介したTV番組の司会を務め、この曲はその番組のテーマ・ソングに用いられました。

↑その番組内容が抜粋して上映された、パリ近郊のボーモン=シュル=オワズBeaumont-sur-Oiseの古い映画館「パラス劇場Le cinéma Le Palace」
2010年末に彼がおこなったツアーは、この曲名と同じタイトルでした。そして2012年には、1942年から今日までのフランス映画のドキュメンタリーDVD(ロラン・ショレLaurent Chollet監督)のナレーターもつとめています。
映画館をテーマにした、イタリア映画の「ニュー・シネマ・パラダイスNuovo Cinema Paradiso」(1988年)や日本映画の「オリヲン座からの招待状」(2007年)を思い起こさせる内容の曲です。
この動画には、見覚えのあるアメリカ西部劇のシーンがいろいろ出てきますが、このスターたちのほとんどはもうあの世に行ってしまいましたね。
La dernière séance 最終上映
Eddy Mitchell エディー・ミッチェル
La lumièr’ revient déjà
Et le film est terminé
Je réveille mon voisin
Il dort comme un nouveau-né
Je relèv’ mon strapontin
J’ai une envie de bailler
C’était la dernièr’ séquence 注1
C’était la dernière séance
Et le rideau sur l’écran est tombé
照明がふたたび点き
映画は終わった
僕は隣のやつを起こした
彼は新生児みたいに眠り込んでいた
僕は座席のシートを起こし
あくびをしたくなった
それはラスト・シーンだった
それは最終上映だった
スクリーンのカーテンは下された

La photo sur le mot fin
Peut fair’ sourire ou pleurer
Mais je connais le destin
D’un cinéma de quartier
Il finira en garage 注2
En building supermarché
Il n’a plus aucune chance
C’était sa dernière séance
Et le rideau sur l’écran est tombé
「終」という字の上にある写真は
微笑ませたりも泣かせたりもする
だけど僕は知っていた
地元の映画館の運命を
それはガレージや
スーパーの建物になるだろう
もうチャンスはないんだ
それはそこでの最終上映だった
スクリーンのカーテンは下された

{Refrain1:}
Bye bye les héros que j’aimais
L’entr’ acte est terminé
Bye bye rendez-vous à jamais
Mes chocolats glacés, glacés
バイバイ 僕の好きな俳優たちよ
幕間の休憩時間は終わった
永遠にバイバイ デートよ
僕のチョコレート・アイス、アイスよ
J’allais rue des solitaires
A l’école de mon quartier
A cinq heures j’étais sorti
Mon père venait me chercher
On voyait Gary Cooper
Qui défendait l’opprimé
C’était vraiment bien l’enfance
Mais c’est la dernière séquence
Et le rideau sur l’écran est tombé
僕は淋しい通りを通って
僕の地区の学校に通っていた
5時に下校し
父は僕を迎えに来たものだった
僕らは 虐げられた人たちを助ける
ゲーリー・クーパーを見たものだった
それはもちろん子供の頃のことだった
だがこれは最終上映だ
スクリーンのカーテンは下された

{Refrain2:}
Bye bye les fill’s qui tremblaient
Pour les jeunes premiers 注3
Bye bye rendez-vous à jamais
Mes chocolats glacés, glacés.
バイバイ 二枚目の俳優たちに
ぞくぞくしていた女の子たちよ
永遠にバイバイ デートよ
僕のチョコレート・アイス、アイスよ。
La lumière s’éteint déjà
La salle est vide à pleurer 注4
Mon voisin détend ses bras
Il s’en va boire un café
Un vieux pleure dans un coin
Son cinéma est ferm,
C’était sa dernière séquence
C’était sa dernière séance
Et le rideau sur l’écran est tombé
照明はすでに消えた
館内は泣きたくなるほどがらんとしていた
隣のやつは大きく伸びをしてから
コーヒーを飲みに行った
ひとりの老人が隅っこで泣いていた
彼の映画館は閉まり、
それは彼のラスト・シーンだった
それは彼にとっての最終上映だった
スクリーンのカーテンは下された
[注]
1 dernière séquence=dernière scène「ラスト・シーン」。séquenceを「シーンの集合」の意味で「シークエンス」と訳されることもあるが誤用だと仏語大辞典にある。dernière séance「最終上映」
2 finir en…「…になる」
3 jeune premier「二枚目俳優」
4 à pleurer「泣きたくなるほど」
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