
今回は、シルヴィー・ヴァルタンSylvie Vartanが祖国への郷愁を歌った美しい曲、「思い出のマリッツァLa Maritza」(作詞P.ドラノエP. Delanoë 、作曲 J. ルナールJ.Renard)です。父親が存命中の1968年に作られたこの曲も、亡くなったのちの1972年に作られた「父Mon père」と同様、父親への愛が込められています。
La Maritzaとは、故郷ブルガリアを流れるマリヅァ川。ブルガリアを西から東へと流れ、トルコとの国境を越えエーゲ海に注ぎます。マリッツァという仮名表記は疑問ですが、邦題としてすでに広く知られているので、タイトルでのみ用いることにします。
日本語で歌っています。
La Maritza 思い出のマリッツァ
Silvie Vartan シルヴィー・ヴァルタン
La Maritza c'est ma rivière
Comme la Seine est la tienne
Mais il n'y a que mon père
Maintenant qui s'en souvienne
Quelquefois
マリヅァはわたしの川
セーヌがあなたの川であるように
でも、いまそれを
ときどき思い出す人は
父しかいない

De mes dix premières années 注1
Il ne me reste plus rien 注2
Pas la plus pauvre poupée
Plus rien qu'un petit refrain
D'autrefois :
La la la la...
わたしの10歳までのものは
もうなにも残っていない
いちばんみすぼらしいお人形さえ
昔の歌の短いフレーズしか
もう残っていない:
ララララ…
Tous les oiseaux de ma rivière
Nous chantaient la liberté
Moi je ne comprenais guère
Mais mon père, lui, savait
Ecouter
わたしの川の鳥たちは
わたしたちに自由の歌を歌っていた
わたしにはほとんど理解できなかった
けれど父は、彼は、心得ていた
その歌を聴くすべを
Quand l'horizon s'est fait trop noir
Tous les oiseaux sont partis
Sur les chemins de l'espoir
Et nous on les a suivis,
A Paris
地平線がすっかり闇に閉ざされると
鳥たちはみな飛び立つ
希望の旅路へと
そしてわたしたちも彼らについて行った、
パリへと

{Parlé}
De mes dix premières années
Il ne reste plus rien... rien
わたしの10歳までのものは
もうなにも…なにも残っていない
{Chanté}
Et pourtant les yeux fermés
Moi j'entends mon père chanter
Ce refrain :
La la la la …
けれど目を閉じると
わたしには聴こえる 父が歌うのが
このフレーズを:
ラ ラ ラ ラ …

[注]
1シルヴィーは、8歳のときに家族で祖国ブルガリアを離れパリへ移住した。
2何も残っていない。人形さえ残っていない。短いフレーズしか残っていない。つまり、残っているのは短いフレーズだけ。
Comment:2
コメント
ありがとうございました。
泣きました。
68歳。
わかる人はとても分かります!
泣きました。
68歳。
わかる人はとても分かります!
飯塚 敏夫
2023.03.09 23:21 | 編集

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