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2014
09.24

木の下の家(パリは霧にぬれて)La maison sous les arbres

La maison sous les arbres


今回は、サスペンス映画「パリは霧にぬれてLa maison sous les arbres」のテーマ曲を取り上げましょう。この映画はパリに住むアメリカ人夫妻に起こった小児誘拐事件を描いたもので、アメリカの作家カヴァーノの小説を、1971年にルネ・クレマンRené Clément監督がフェイ・ダナウェイFaye Dunaway主演で映画化したものです。
このテーマ曲は、ジルベール・ベコーGilbert Bécaudによる演奏ヴァージョンと歌唱ヴァージョンがともに映画のなかで用いられています。映画のタイトル:La maison sous les arbres(「木の下の家」の意)は、子供が誘拐されて連れて行かれた家の周りが樹で囲まれている、ということでつけられているようです。

曲の原題も同じですが、歌詞内容は映画の筋書きとはまったく無関係。私としてはこの上なく好きな歌詞で、時間をかけて自分のものにしたい曲の一つです。
映画の邦題はなぜか「パリは霧にぬれて」ですが、曲の邦題は直訳的に「木の下の家」とし、映画の邦題は副題といたします。

ジルベール・ベコーGilbert Bécaudは1927年にフランスのトゥーロンで生まれ、幼少時よりピアノを学んでいました。第2次大戦後に作詞・作曲も始め、エディット・ピアフÉdith Piafに出会った後に、彼女の勧めにより自ら歌うようになりました。
パリのオランピア劇場で33回も公演し、紺地に水玉模様のネクタイがトレードマークで、「ムッシュ10万ボルト」とあだ名されました。最も知られるヒット曲は「ナタリー Nathalie」と「そして今はEt Maintenant」。ベコーは、会場内の観客からの死角ができないよう、ピアノの1本の足を切って改造し、常に僅かに傾いている状態のピアノで演奏したそうです。
彼は俳優でもあり、多くの映画にも出演しています。
2001年に74歳で亡くなり、ペール・ラシェーズ墓地に埋葬されました。



La maison sous les arbres        木の下の家(パリは霧にぬれて)
Gilbert Bécaud              ジルベール・ベコー


La maison sous les arbres
Est en pierres de lune, 注1
Posées une à une
Comme des brindilles
Sur un nid d’oiseaux,
Des diamants qui brillent
Sur de l’eau.

  木の下にある家は
  ムーンストーンでできている、
  鳥の巣の
  小枝のように
  ひとつひとつ積み重ねられて、
  水面に輝く
  ダイアモンドだ。

La maison sous les arbres


La maison sous les arbres
Est en pierres de lune,
Posées une à une
Comme des brindilles
Pour te faire un nid.
Ce sera ton nid,
Ton abri.

  木の下にある家は
  ムーンストーンでできている、
  君に巣を作るための
  小枝のように
  ひとつひとつ積み重ねられて。
  それは君の巣に、
  君の隠れ家になる。

La maison sous les arbres
N’aura que des fenêtres
Et un toit peut-être
Où les hirondelles
Et leurs hirondeaux 注2
Rangeront leurs ailes
En duo.

  木の下にある家には
  窓しかない
  そして屋根しか たぶんね
  そこにはメスのツバメたちと
  その夫のツバメたちが
  翼を並べるだろう
  つがいで。

hirondelle1.jpg


Reviens, je l’ai faite pour toi
De mes mains.
Elle a besoin de toi,
Tu vois bien!
Elle est sans raison
Et n’a pas de nom
Sans toi.

  帰っておいで、君のために作ったんだ
  私の手で。
  この家には君が必要だ、
  分かっておくれ!
  この家は意味がないし
  名前もない
  君なしでは。

La maison sous les arbres
Est en pierres de lune,
Posées une à une.
Mais pour l’habiter,
C’est bien entendu,
Tu devras marcher
Les pieds nus,
Les pieds nus.

  木の下にある家は
  ムーンストーンでできている、
  ひとつひとつ積み重ねられて。
  だがそこに住むには、
  もちろん、
  君は歩かなきゃ
  はだしで、
  はだしで。

La maison sous les arbres3


[注]
1 pierre de lune「月長石ムーンストーン」
2 hirondelle「ツバメ」は女性名詞。この文脈では、それを「メスのツバメ」としている。hirondeau(複数形~x)は、古い表現でツバメの子をあらわすが、それを「オスのツバメ」としている。




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