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2015
10.21

センチメンタル族Foule sentimentale

Alain Souchon Foule sentimentale


今回取り上げるのは、アラン・スーションAlain Souchonの最大のヒット曲。1993年のアルバム:C'est déjà çaに収録されているFoule sentimentaleです。この曲の邦訳名としては、「センチメンタルな大衆」が一般的なようで、原名の読み風に「フール・センチメンタル」としているのも見かけます。それではまるでバゲット・サンドイッチみたいですから、「フール・サンティマンタル」にすべきじゃないでしょうか。歌詞のなかでのこの言葉の意味合いなどを考えた上で、このページでは、新規の名称「センチメンタル族」を用いることにしました。

シャンソンには、何らかのメッセージが込められた歌がたくさんあります。この曲は、消費社会に対して疑問をなげかける内容。ですが、この曲が流行りCDが売れたことは、消費を促進することになったかも…。

アラン・スーションに関しては、先に取り上げた「ボクは10才J'ai dix ans」で簡単にご紹介しています。「女の子のスカートの下 Sous les jupes des filles」も取り上げました。ほかにも「インチキ野郎Bidon」などおもしろい曲が多数あり、個人的には「ジムのバラードLa ballade de Jim」が好きです。これらもいずれ取り上げましょう。



Foule sentimentale      センチメンタル族
Alain Souchon         アラン・スーション


Oh la la la vie en rose 注1
Le rose qu'on nous propose 注2
D'avoir les quantités d'choses
Qui donnent envie d'autre chose
Aïe, on nous fait croire
Que le bonheur c'est d'avoir
De l'avoir plein nos armoires
Dérisions de nous dérisoires car

  オー・ラ・ラ・バラ色の生活
  僕らが勧められるバラ色ってのは
  たくさん物を持つことさ
  他の物をさらに欲しくなる物をね
  やれやれ、僕らは信じさせられる
  幸せって持つことだって
  タンスいっぱい持つことだって
  ちんけな僕らに見合ったちんけなものをね なにせ

Foule sentimentale4


Foule sentimentale 注3
On a soif d'idéal
Attirée par les étoiles, les voiles
Que des choses pas commerciales
Foule sentimentale
Il faut voir comme on nous parle 注4
Comme on nous parle

  センチメンタル族なのさ
  理想を渇望するんだ
  商業的ではない物
  星々や船の帆に引きつけられる
  センチメンタル族なのさ
  彼らがどんな風に僕らに語るか知るべきだよ
  どんな風に語るか

Il se dégage
De ces cartons d'emballage
Des gens lavés, hors d'usage
Et tristes et sans aucun avantage
On nous inflige
Des désirs qui nous affligent
On nous prend faut pas déconner dès qu'on est né 注5
Pour des cons alors qu'on est 注6
Des

  洗脳された人々用の、不要の
  そしてくだらなくてなんら有用でない
  これらの段ボール箱から
  彼は自分を解放する
  僕らに苦しみを与える欲望を
  ひとは僕らに押し付ける
  ひとは僕らをまぬけ扱いするが
  のっけから馬鹿を言うんじゃない
  だって僕らも

foule sentimentale1


Foules sentimentales 注7
Avec soif d'idéal
Attirées par les étoiles, les voiles
Que des choses pas commerciales
Foule sentimentale
Il faut voir comme on nous parle
Comme on nous parle

  センチメンタル族の仲間なのさ
  理想への渇望を抱き
  星々や船の帆に
  商業的ではない物だけに引きつけられる
  センチメンタル族なのさ
  彼らが僕らにどんな風に語るか知るべきだよ
  どんな風に語るか

foule sentimentale3


On nous Claudia Schieffer 注8
On nous Paul-Loup Sulitzer
Oh le mal qu'on peut nous faire
Et qui ravagea la moukère 注9
Du ciel dévale
Un désir qui nous emballe 注10
Pour demain nos enfants pâles
Un mieux, un rêve, un cheval

  ひとは僕らにクラウディア・シーファーを押し付ける
  ひとは僕らにポール=ルー・シュリッツェルを押し付ける
  おー、ひとが僕らになしうる悪
  そしてかつて女性を苛んだ悪のなんたるや
  僕らを熱狂させるひとつの願望が
  空から降ってくる
  明日 僕らのひ弱な子供たちが
  マシなことを、夢を、馬を、という

Foule sentimentale
On a soif d'idéal
Attirée par les étoiles, les voiles
Que des choses pas commerciales
Foule sentimentale
Il faut voir comme on nous parle
Comme on nous parle

  センチメンタル族なのさ
  彼らは理想を渇望するんだ
  星々や船の帆に
  商業的ではない物だけに引きつけられるんだ
  センチメンタル族なのさ
  彼らが僕らにどんな風に語るか知るべきだよ
  どんな風に語るか

Foule sentimentale2


[注]
1 la vie en roseはご存じ、エディット・ピアフのシャンソンのタイトルに掛けた表現。2行目のroseは男性名詞なので「バラ色」。「花のバラ」のroseは女性名詞。今回の歌詞では、バラ色は否定的なニュアンスで用いられている。
2 onは、人間一般、不特定の人、私たち、あなたがた、彼らなど複数の意味でもちいられる語で、この歌詞では、商業的価値を押し付ける側を示す場合と、foule sentimentaleの側すなわち自分の側を示す場合とがあり、読み分ける必要がある。
3 foule sentimentaleは、直訳すれば「感じやすい大衆」で、sentimentalは、「おセンチな」という意味ではない。また、fouleは「民衆、大衆」という集合名詞で、主語として用いられた場合、動詞は単数形・複数形いずれも可能。
4 onはここではfoule sentimentaleを指し、すなわち自分も含まれるわけだが、「彼ら」と訳した。間接目的語のnousは「ひとに」くらいの意味。
5 il ne faut pas déconner「馬鹿言うんじゃない」のil neが省略されている。dès qu'on est néは、déconnerとの語呂を合わせで、ここのonも次行のonもnousの側。直訳すれば、「生まれるやいなや」。
6 conは「馬鹿」。alors que…は「…なのに」。
7 注3で示したfoule sentimentaleがここでは複数形にされている。前節のqu'on est des foules sentimentalesとつながり、des=de+lesで、on「僕たち」がles foules sentimentalesの一部であるということ。
8 Claudia Schiefferはスーパーモデルで女優、Paul-Loup Sulitzerは実業家で、マネーゲームを題材にした小説で知られるベストセラー作家。ともに大消費化社会の象徴ということで、その名前が動詞的に用いられている。
9 moukèreは「女性」を示す単語で、もとはイスラム系の語だったらしい。
10 emballerは話し言葉で「熱中させる」の意味。un désir qui nous emballeと単数で示されており、前出のdes désirs qui nous affligentという悪しき諸願望と対比的に、ひとつのよき願望を示している。具体的には、後続の内容で、子供たちがいい夢を持つようになること。



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