
今回は、ミッシェル・デルペッシュMichel Delpechの「ロレットの店でChez Laurette」。心温まる歌詞と郷愁を呼ぶメロディーの素敵な曲です。1965年にデルペッシュが自身の体験をもとに作詞し、作曲はローラン・ヴァンサンRoland Vincent。
ミシェル・デルペッシュは、高校時代をそして仲間たちと放課後に過ごしたクルブヴォアのカフェを後年よく思い出しました。彼は彼の両親と一緒にそのカフェの上に住んでいて、オーナーのクリスティアンヌ・ヴォークランChristiane Vauquelinは、彼にとってはたいへん大切な人でした。彼は1964年に最初のディスク、アナトールをリリースするときに、作曲家ローラン・ヴァンサンRoland Vincentに出会いました。そして打合せに、サン・ラザールから、ローラン・ヴァンサンの住むサン・クルーに向かうの汽車の中で、彼は、クリスティアンヌの思い出を込めた「ロレットの店で」の歌詞を書きました。そしてローラン・ヴァンサンは、すみやかにメロディーを見つけてくれました。この「青年期の懐かしい歌」は1965年5月1日にリリースされ、イエイエyéyé真っ只中のこの時代では売れ行きはさほどではなかったのですが、ラジオでよく放送され多くの人に歌われました。優しい顔立ちのデルペッシュが微笑みながら歌うと、誰しも心癒され、自分も微笑みたくなります。
デルペッシュはこの曲で一躍有名になりましたが、その後、派手なポップス系に向かい、ワイト島でのロック・フェスティバルへのオマージュという副題の「ワイト・イズ・ワイトWight is wight」や「君のためならPour un flirt」を出しました。またその後、再び方向転換し、フランスをマリアンヌという女性に譬えた「美しかったマリアンヌQue marianne était jolie」、「ランボーは歌うRimbaud chanterait」、「哀しみの終わりにLa maison est en ruine」などを出しました。現在は、新しい取り組みのかたわら、60年代の懐かしい曲を歌うÂge tendre et Têtes de boisのメンバーにもなりました。
Chez Laurette ロレットの店で
Michel Delpech ミッシェル・デルペッシュ
À sa façon de nous app’ler ses gosses
On voyait bien qu’ell’ nous aimait beaucoup
C’était chez ell’ que notre argent de poche
Disparaissait dans les machines à sous
自分の子供たちという彼女流の呼び方で
僕たちをとても愛してくれていることがよく分かった
彼女の店で 僕たちのポケットの小銭が
スロットマシーンのなかに消えた
Après les cours on allait boire un verre
Quand on entrait Laurette souriait
Et d’un seul coup nos leçons nos problèmes
Disparaissaient quand ell’ nous embrassait
学校が終わると一杯飲みに行ったもんだ
僕たちが入ってくるとロレットは微笑み
彼女が僕たちにキスしたら
授業のことや問題ごとなんかいっぺんに吹っ飛んだ
C’était bien, chez Laurette
Quand on faisait la fête 注1
Elle venait vers nous.. Lau-rette
ステキだったよ、ロレットの店は
僕たちが羽目を外していたら
彼女は僕たちのほうにやってきた…ローレットは

C’était bien, c’était chouette
Quand on était fauché
Elle payait pour nous.. Lau-rette
ステキだった、うれしかった
僕たちがすかんぴんのときは
彼女は僕たちにおごってくれたんだ…ローレットは
Et plus encore afin qu’on soit tranquille
Dans son café y avait un coin pour nous
On s’y mettait pour voir passer les filles
Et j’en connais qui nous plaisaient beaucoup 注2
そしておまけに僕たちがおとなしくなるようにと
彼女のカフェには僕たちのためのコ-ナーがあった
僕らは女の子たちが通るのを見るためにそこに陣取った
そして僕たちがすごく気に入った子らと僕は知り合った
Si par hasard on avait l’âme en peine
Laurette seule savait nous consoler
Ell’ nous parlait et l’on riait quand même
En un clin d’œil ell’ pouvait tout changer 注3
もしもたまたま僕たちが苦しい気持ちを抱えていたなら
ロレットだけが僕たちをなぐさめることができた
彼女が僕たちに話しかけると僕たちはやはり笑顔になった
ウィンク一つで彼女はなんでも変えられたんだ
C’était bien chez Laurette
On y retournera
Pour ne pas l’oublier Laurette
Ce s’ra bien ce s’ra chouette
Et l’on reparlera,
Des histoir’s du passé
Chez Laurette
ロレットの店はステキだった
あそこにまた行こう
ロレットを忘れないために
ステキだろう うれしいだろう
そして僕たちはまた話すのさ、
昔のことを
ロレットの店で

Ce s’ra bien ce s’ra chouette
Et l’on reparlera,
Des histoir’s du passé
Chez Laurette
ステキだろう うれしいだろう
そして僕たちはまた話すのさ、
昔のことを
ロレットの店で
[注]
1 faire la fête「浮かれ騒ぐ、羽目をはずす、浮かれた生活を送る」
2 enは、ここではdes fillesの意味で、quiの先行詞。connaîtreは「知っている」ではなく「知り合う、近づきになる」。plaire à qn.「…の気に入る」主語のほうがqn.の気に入られる。
3 un clin d’œil「ウインク、目配せ」
[追記] デルペッシュは、2016年1月2日に、69歳で亡くなりました。
Comment:2
コメント
この曲を初めて知ったのは高校生の頃、ラジオで聞いたミシェル・ベルナルクによる素晴らしい演奏。
大学に入ってからCDがあることを知ったものの手に入らずに15年くらいずっと探し続け、CD発売から20年近く経ってやっと入手。
そのCDを見て、初めてこの曲がミシェル・デルペッシュによるものだと知りました。
名曲ですね。
大学に入ってからCDがあることを知ったものの手に入らずに15年くらいずっと探し続け、CD発売から20年近く経ってやっと入手。
そのCDを見て、初めてこの曲がミシェル・デルペッシュによるものだと知りました。
名曲ですね。
mikunitmr
2021.05.16 01:01 | 編集

亡くなったんですね、何故かしら泣けてくる、、
ロレットの店 、、を聴きながら、、
学生時代 ワイトイズワイトなど よく伴奏したものです
先日 シャン研 卒業後40余年同期会をボンボンで開いた時に
一人がこの歌を唄っていた、、僕は今日はじめて知りました
デルペッシュ のものだと
ありがとうございました
ロレットの店 、、を聴きながら、、
学生時代 ワイトイズワイトなど よく伴奏したものです
先日 シャン研 卒業後40余年同期会をボンボンで開いた時に
一人がこの歌を唄っていた、、僕は今日はじめて知りました
デルペッシュ のものだと
ありがとうございました
トッツィー
2019.10.23 17:42 | 編集
