2015
10.05

メランコリーMélancolie

Jacqueline François


ジャクリーヌ・フランソワJacqueline Françoisは1922年、パリ郊外で生まれました。第2次大戦直後の1945年に23歳のとき、パリの放送局の素人のど自慢コンテストで優勝したのをきっかけにデヴューし、1948年には、アメリカ映画の主題曲「春なのにC'est le printemps」でディスク大賞を受賞。同年に、映画「パリのスキャンダル」のなかで影歌としてすでに吹き込んであった「パリのお嬢さんMadmoiselle de Paris」(後日取り上げます)が、翌年の映画封切り時には受賞がすでに知れ渡っていたこともあって大ヒットし、この曲名が彼女の代名詞ともなりました。彼女は2009年に亡くなっています。

ほかのヒット曲としては「ラ・セーヌLa Seine」「ポルトガルの洗濯女Les lavandières du Portugal」などがあります。シャンソンのスタンダード曲のほか、英語の曲をフランス語にアレンジしたものもとてもいい出来で、「ネイチャー・ボーイEtrange garçon (Nature boy)」など、私は好きです。

今回取り上げる「メランコリーMélancolie」は少しマイナーな曲で、1947年の映画「ジブラルタルの鮫Requins De Gibraltar」の主題歌。作詞はピエール・デュダンPierre Dudan、作曲はアラン・ロマンAlain Romansで、デュダン自身が歌っていました。
ジャクリーヌ・フランソワの代表曲は大体がのびやかで明るいワルツ調なのに、これは暗くけだるい感じの曲です。お聴きになって、越路吹雪が歌っていた曲だと思いだされる方もあるでしょう。

動画は私が作成しました。



ピエール・デュダン



Mélancolie           メランコリー
Jacqueline François     ジャクリーヌ・フランソワ


C'est une chanson nostalgique
Que l'on chantait dans les bars
Les bars de n'importe où
Bars de hasard, bars du cafard 注1

  これは懐かしい唄
  ひとはこの唄を酒場で唄っていた
  どこの酒場だっていい
  通りすがりの酒場、陰気な酒場で


Mélancolie2


Mélancolie un jour s'achève
Mélancolie on n'y peut rien 注2
Chaque jour dans la fumée et dans l'alcool, on noie ses rêves 注3
Seul jusqu'au matin...

  メランコリー 日が暮れて
  メランコリー 為すすべもなく
  日ごと 煙と酒に、
  ひとは自分の夢を紛らわせる
  ひとり 夜明けまで…

Et chaque nuit, ça recommence
Pour torturer le cœur trop lourd 注4
Le cafard dans la fumée et dans l'alcool, mène la danse
Jusqu'au jour

  夜ごと、それは繰り返し
  心をひどく苛む
  煙と酒にまみれた陰気な気分が、
  ダンスをリードする
  日が昇るまで

Demain, y aura de l'amour et de la lumière 注5
Peut-être bien, ça m'est égal... 注6
Barman jusqu'au matin, remplis mon verre
Je veux rêver que j'ai moins mal 注7

  明日は、愛がそして光が見えるわ
  たぶんね、でもわたしにはどうでもいいこと
  バーテンは朝まで、わたしのグラスを満たし続けてよ
  苦しみがましになった気になりたいから

Mélancolie... tu nous enchaînes
Plus fortement qu'un grand amour
Un beau soir dans la fumée et dans l'alcool, on noie ses peines 注8
Pour toujours.

  メランコリーよ… おまえはわたしたちを
  おおきな愛よりも強くつなぎ止める
  ある夜 煙と酒に、ひとは自分の苦痛を紛らす
  永遠に。

Mélancolie1


Le rire est bien trop près des larmes
Et ton cœur trop loin du mien
Ton oublie me fait mal
A moi qui n'ai presque plus rien.

  笑いは涙のすぐ近くにあり
  あなたの心はわたしの心からとても遠い
  あなたの忘却はわたしを苦しめる
  ほとんどもう何も持たないわたしを。


[注] 最初と最後の、色を変えた部分は歌っていない。間奏のあと、Mélancolie... tu nous enchaînesの節を繰り返して歌っている。
1 cafardは憂鬱。つまりはmélancolieと同義。
2 n'y pouvoir rien「手の施しようがない、どうにもできない」
3 noyer son (désespoir ou chagrin) dans l’alcool「やけ酒を飲む」ここはdans la fuméeも加えてses rêvesをnoyer「溺れさせる」、すなわち「やけ煙草とやけ酒で自分の夢を紛れさせる」。
4 lourdは、形容詞ではなく副詞。
5 Il y auraのIlが省略されている。
6 ça est égal à qn.「それは…にとってどうでもいい」
この辺から、訳語は女性の口調にしたが、元の歌詞は男性がそのまま歌っても問題ない。
7 avoir mal( à…)は「(…が)痛い」で、ここでは胸の痛み、心の苦しみをいう。あとに出てくるfair mal à qn.は「…を(精神的に)痛めつける、苦しめる」
8 un beau jourが「ある日」という意味であるのと同様、un beau soirは「ある夜」すなわち不特定な夜。そのあと、注4で示したのと相似の表現(ses rêvesとses peinesの違い)が続く。 注4の行では、chaque jourとなっていて、chaque nuit,ça recommence「それが繰り返される」ことが示されていた。ここでは、 un beau soirで始まり、あとにpour toujoursがつながる。一時的なごまかしに過ぎない一夜の行為がなぜ「永遠に」という表現とつながるのだろうか。同じことが永遠に繰り返されるのか?あるいは「永遠に苦痛が紛れる」ということを望んでのことだというのか?



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