2015
09.05

かもめLes goélands

Damia Les goélands


ダミアDamiaの代表作、「かもめLes goélands」を今回取り上げます。この曲はリュシアン・ボワイエLucien Boyer によって1905年に作詞・作曲され、ダミアは22歳の1911年頃から歌い始めていたようで、彼女はキャフェ・コンセールのステージで兵士たちの前でこの歌を歌い、第1線までも出向いて歌いました。初に録音されたのはずっとそのあと、彼女が40歳の1929年。

動画は、曲に関する解説から始まります。



Les goélands            かもめ
Damia               ダミア


Les marins qui meurent en mer
Et que l'on jette au gouffre amer 注1
Comme une pierre,
Avec les chrétiens refroidis 注2
Ne s'en vont pas au paradis
Trouver saint Pierre !

  水夫たちは海で死ぬと
  海の底深く投げ込まれる
  石ころみたいに、
  死んだクリスチャンたちといっしょに
  天国へ行くことはないんだ
  聖ペテロに会いになんぞ!

Les goélands5


Ils roulent d'écueil en écueil
Dans l'épouvantable cercueil
Du sac de toile.
Mais fidèle, après le trépas, 注3
Leur âme ne s'envole pas
Dans une étoile.

  暗礁から暗礁へと彼らは転がる
  ズタ袋という
  ひどい柩に収まって。
  だが、むくろに未練をもつ彼らの魂は、
  他界したのちも、
  星へと昇ることはないのさ。

Désormais vouée aux sanglots
Par ce nouveau crime des flots
Qui tant le navre,
Entre la foudre et l'Océan
Elle appelle dans le néant
Le cher cadavre.

  以来 むくろをひどく傷つける、
  荒波のこの新たなる悪行により
  嗚咽を余儀なくされ、
  稲妻と大海のはざまで
  魂は虚しくも
  いとしいむくろを呼んでいるんだ。

Et nul n'a pitié de son sort
Que la mouette au large essor
Qui, d'un coup d'aile,
Contre son cœur tout frémissant,
Attire et recueille en passant
L'âme fidèle.

  そして彼の運命を憐れんでくれるのはただ
  大きく飛び立つかもめだけさ
  かもめは、ひとつ羽ばたいて、
  おののく彼の心に鞭ち、
  飛びながら引き寄せ迎え入れる
  未練深い魂を。

Les goélands6


L'âme et l'oiseau ne font plus qu'un.
Ils cherchent le corps du défunt 注4
Loin du rivage,
Et c'est pourquoi, sous le ciel noir,
L'oiseau jette avec désespoir
Son cri sauvage.

  魂とかもめはもう一体でしかない。
  彼らはしかばねを探す
  岸から遠くはなれて、
  だから、暗い空のしたで、
  鳥は絶望のうちに
  荒々しい叫び声をたてるのさ。

Ne tuez pas le goéland
Qui plane sur le flot hurlant
Ou qui l'effleure,
Car c'est l'âme d'un matelot
Qui plane au-dessus d'un tombeau
Et pleure... pleure !

  鳴きながら波の上を舞い
  波をかすめている
  かもめを殺すんじゃないよ、
  なぜならそれは水夫の魂なのさ
  墓のうえを舞いながら
  泣いている…泣いているんだ!

[注]
1 amer「苦い」「厳しい」の意味が一般的だが、詩では「海の」の意味で用いられる。味が「塩辛い」ではなく、「過酷な」という意味は含むだろうが、gouffre「深淵」「渦潮」に単に「海の」という修飾を加えたとしてもいいだろう。
2 refroidiは「冷酷な」ではなく、「(死んで)冷たくなった」と捉えるのが妥当だろう。
3 fidèleは「信心深い」ではなく、「貞節な、忠実な」の意味であり、3節目のle cher cadavreという表現が示すように、自分の元の身体すなわち「むくろ」に対する執着心を示している。4節目の fidèleも同様。
4 corps du défuntはcadavreと同じ意味「なきがら、むくろ」だが、魂が離れて、ただの死体になったことを示すために言葉を変えてある。




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