
「人生は美しいC'est beau la vie」「ふるさとの山La montagne」をすでにご紹介したジャン・フェラJean Ferratの「太陽の子供たちDeux enfants au soleil」を今回は取り上げます。この曲は1961年にクロード・ドレクリューズClaude Delécluseが作詞し、フェラが作曲し歌い、同名のアルバムに収録されました。そして翌62年にイザベル・オーブレIsabelle Aubretとミュージシャン同士としての衝撃的な出逢いをし、彼女もこの曲を歌うことになりました。のちに、イザベルが深刻な交通事故を生き延びた時に捧げられたのが、「人生は美しい」でした。
これはフェラらしい暖かいまなざしで、真夏の太陽のもと浜辺で恋に目覚めた二人の姿を描いた曲です。「若者jeune」ではなく「子供enfant」、これはひとつのメルヘンです。 私は、この曲から、1948年に作られ1980年にリメイクされた映画「青い珊瑚礁The Blue Lagoon」(原作:ヘンリー・ドヴィア・スタックプールHenry De Vere Stacpoole)を思い出します。遭難し孤島に流れ着いた少年と少女は助け合いながら生き延びていき、思春期を迎え、性の知識もないまま愛し合い、子供が生まれる…。いえ、フェラはこの物語に基づいてこの曲を作ったわけではないでしょうが。
フェラ
イザベル・オーブレ
Deux enfants au soleil 太陽の子供たち
Jean Ferrat ジャン・フェラ
La mer sans arrêt
Roulait ses galets
Les cheveux défaits
Ils se regardaient
Dans l'odeur des pins
Du sable et du thym
Qui baignait la plage
Ils se regardaient
Tous deux sans parler
Comme s'ils buvaient l'eau de leurs visages
Et c'était comme si tout recommençait
La même innocence les faisait trembler
Devant le merveilleux
Le miraculeux
Voyage de l'amour
海はたえず
小石を転がしていた
乱れた髪で
彼らは見つめ合っていた
浜辺を浸す
松と砂とタイムの香りに包まれて
二人はことばも交わさずに
彼らは見つめ合っていた
まるでたがいの顔のしずくを飲んでいるかのように
そしてすべてが新しく始まったかのようだった
おなじ無垢な心が彼らを震えさせた
素晴らしく
不思議な
愛の旅を前にして

Dehors ils ont passé la nuit
L'un contre l'autre ils ont dormi
La mer longtemps les a bercés
Et quand ils se sont éveillés
C'était comme s'ils venaient au monde
Dans le premier matin du monde
戸外で彼らは夜を過ごした
たがいに身を寄せ合って彼らは眠った
海はずっと彼らをあやしてくれた
そして彼らが目覚めたとき
彼らはまるで世界の最初の朝に
世界に出てきたみたいだった
La mer sans arrêt
Roulait ses galets
Quand ils ont couru
Dans l'eau les pieds nus
À l'ombre des pins
Se sont pris la main
Et sans se défendre
Sont tombés dans l'eau
Comme deux oiseaux
Sous le baiser chaud de leurs bouches tendres
Et c'était comme si tout recommençait
La vie, l'espérance et la liberté
Avec le merveilleux
Le miraculeux
Voyage de l'amour
海はたえず
小石を転がしていた
水のなかを裸足で
彼らが走るとき
松の陰で
手をつないだ
そして無防備に
水に飛び込んだ
二羽の鳥のように
甘い唇で熱い口づけをかわしながら
そしてすべてが新しく始まったかのようだった
人生が、経験が、そして自由が
素晴らしく
不思議な
愛の旅とともに

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