
日本語でよく歌われる「別離」の原曲は、ニノ・フェレールNino Ferrerが作り歌ったC'est irréparableで、1963年に出した最初のアルバム(45回転のEP)に入っていました。1965年に、ミーナMinaがUn anno d'amoreの曲名でイタリア語で(日本語でも)歌い、それがヒットしたことで、フェレールの元の歌が注目されるようになったそうです。フランス語ではダリダDalidaも歌っています。日本語の歌と比べて勢いがあり、印象がまったく異なりますので、本語の歌のイメージから分離させたいということで、原題を直訳した「もう取り返せない」という題名を用いることにし、「別離」という邦題は副題としました。フェレールに関しては、先に取り上げた「泉の傍の家La maison près de la fontaine」のページで解説していますので参照ください。
ミーナのUn anno d'amore
C'est irréparable もう取り返せない(別離)
Nino Ferrer ニノ・フェレール
Je sais que c'est fini
Je sais mais je t'en prie
Écoute-moi quand même
Écoute-moi car je t'aime
Depuis qu'on s'est quitté
Je suis seul étonné
Mes jours sont tellement lents
Et vides et obsédants
Je suis seul, la nuit vient
Et je me souviens
終ったことだと分かってるさ
分かってる だがお願いだ
それでも聞いてくれ
聞いてくれ 君を愛しているのだから
別れてこのかた
僕はひとり困惑している
日々はこんなにも遅々として過ぎ
空虚で執拗だ
僕はひとり、夜になると
想い出す
D'un an d'amour
Les matins indolents
Les soirs de pluie
Les vacances et le vent
Et ton corps blond
De soleil et de sable
Un an d'amour
C'est irréparable
Un an d'amour
C'est irréparable
恋の1年を
けだるい朝
雨の夜
ヴァカンスと風
そして太陽と砂に染まった
君の黄金色の体
恋の1年間
それはもう取り返せない
恋の1年間
それはもう取り返せない

Maintenant ce n'est plus moi
Un autre est avec toi
Et toi, tu lui souris
Comme tu m'avais souri
Et ce sourire, tu vois
Je te hais pour cela
Je te hais mais je t'aime
Au fond ça revient au même 注1
Je t'aime, le comprends-tu ?
T'ai-je vraiment perdue ?
今ではもう僕ではなく
ほかの男が君といっしょにいる
そして君は、彼に微笑みかける
かつて僕に微笑みかけたように
その微笑み、そうさ
僕はそのせいで君が憎い
君が憎いけれど君を愛している
つまり結局はあい変わらず
君を愛している、分かってくれるか?
僕は本当に君を失ってしまったのか?
Un an d'amour
Des années de regrets
Des feuilles mortes 注2
Et le temps passé
L'automne emporte
Les rêves et les fables
Un an d'amour
C'est irréparable
L'automne emporte
Les rêves et les fables
Un an d'amour
C'est irréparable
恋の1年間
悔恨の数年間
枯葉
過ぎ去った時
秋は運んでくる
夢と寓話を
恋の1年間
それはもう取り返せない
秋は運んでくる
夢と寓話を
恋の1年間
それはもう取り返せない

[注]
1 au fond「実は、結局は」。ça revient au même「(いずれにせよ結局は)同じことだ」。
2 シャンソンの名曲「枯葉Les feuilles mortes」に歌われるように、夏の恋が秋には去っていくということをdes feuilles mortesは象徴し、1年間の恋と言いながら、恋の経過と季節の移り変わりを重ねた表現になっている。
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