
クロード・チアリClaude Ciariのギター演奏でお馴染みの「夜霧のしのび逢い」。この曲のオリジナルは、フランスのハワイアンバンドの作曲者兼ギタリストであったベルギー人のジョー・ヴァン・ヴェッターJo van Wetterが1964年に作りロス・マヤスLos Mayasというバンド名でギターのインストルメンタル曲として演奏した「浜辺La playa」という曲です。Los Mayasは同年来日。
また同年、クロード・チアリClaude Ciariのカヴァーが45ヶ国でヒットし、フランスのACCディスク大賞を受賞。
そして同年、女優のマリー・ラフォレMarie Laforetが歌う3ヶ国語のヴァージョンが作られました。
ピエール・バルーPierre Barouhがもじどおり浜辺での恋の物語にしたのがフランス語ヴァージョン「浜辺La plage」。
フランシスコ・カレーラスFrancisco Carrerasの作詞したスペイン語ヴァージョンLa playaも浜辺での恋の物語。
ダニエレ・パチェDaniele Paceの作詞したイタリア語ヴァージョンE se qualcuno s'innamorerà di meは、オリジナルがギター曲だということで、まだ見ぬ恋人を待ちわびるギタリストの話にしています。
この曲がギリシャ映画「夜霧のしのび逢いThe Red Lanterns」(1963年)のテーマソングだとされることが多いのですが、この曲と映画とはもともとは無関係で、日本でのみ、クロード・チアリの演奏を映画の随所に使用して公開されたというだけだそうです。そして、岩谷時子が、「夜霧のしのび逢い」という邦題で、映画の情景さながら、夜霧のたち込める裏町での不幸な恋をあらわした日本語の歌詞を付け、グラシェラ・スサーナなどが歌いました。
La plage 浜辺(夜霧のしのび逢い)
Marie Laforêt マリー・ラフォレ
Quand sur la plage
Tous les plaisirs de l'été
Avec leurs joies
Venaient à moi
De tous côtés 注1
L'amour offrait l'éternité
A cette image
De la plage ensoleillée.
浜辺で
夏の歓びがすべて
その楽しさとともに
わたしのところに
あらゆるところから
やって来たとき
愛は永遠を与えた
太陽の降り注ぐ浜辺の
このすがたに。
C'est bien dommage
Mais les amours de l'été
Bien trop souvent
Craignent les vents
En liberté
Mon cœur cherchant sa vérité
Vient fair' naufrage 注2
Sur la plage désertée.
でも 残念なことに
夏の恋は
しばしば
自由の風を恐れる
わたしの心は
自身の真実を求めて
難破してしまう
人気のない浜辺で。

Le sable et l'océan
Tout est en place
De tous nos jeux pourtant
Je perds la trace
Un peu comme le temps
La vague efface
L'empreinte des beaux jours
De notre amour.
砂と海は
すべてもとのまま
でも わたしたちの戯れすべての
足跡をわたしは失う
時のしぐさにちょっと似て
波は
私たちの恋の
美しい日々の痕跡を消す

Mais sur la plage
Le soleil revient déjà
Passe le temps
Le cœur content
Reprends ses droits 注3
A l'horizon s'offre pour moi
Mieux qu'un mirage
Une plage retrouvée
Mieux qu'un mirage
C'est la plage ensoleillée.
けれど浜辺には
太陽がすでに戻り
時が経ち
満たされた心は
元通りに立ち直る
水平線には わたしのために
幻影よりも好ましい
かつての浜辺が現れる
幻影よりも好ましいもの
それは陽の降り注ぐ浜辺

[注]
1 venir+inf.(可能性・強調・抗議などを表し)「…するようになる」。
2 de tous côtés「あらゆるところを、あらゆるところから」
3 reprendre ses droits「以前そうであった状態に戻る」
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