
今回は、セルジュ・ゲンズブールSerge Gainsbourgの「海草Les goémons」という曲。1962年のゲンズブールの4枚目のアルバム:Serge Gainsbourg N° 4に収録され、同年、シングルカットされています。
goémonは褐藻類のヒバマタを意味するフランス語。ゲンズブールは恋の名残を、波の下で揺れる海草そして浜に打ち上げられた海草に例えています。毎回、曲をご紹介するために、いろいろ下調べしますが、それが結構楽しい作業で、Wikipediaが最もありがたいサイト。今回は、海草の勉強をさせていただきました。ゴエモンついでに石川五右衛門の勉強も。ゲンズブールが彼のことを知ったなら興味を持ったかもしれませんね。辞世の句「石川や浜の真砂は 尽くるとも 世に盗人の 種は尽くまじ」を仏訳して教えてあげたかった。
Les goémons 海草
Serge Gainsbourg セルジュ・ゲンズブール
Algues brunes ou rouges
Dessous la vague bougent
Les goémons 注1
Mes amours leur ressemblent,
Il n´en reste il me semble
Que goémons
Que des fleurs arrachées
Se mourant comme les
Noirs goémons 注2
Que l´on prend, que l´on jette
Comme la mer rejette
Les goémons
さざめく波の下の
褐色のあるいは赤い
海草たち
僕の恋はそれに似ている、
僕には思えるんだ
海草しか
黒い海草のように
死んでいく
引き抜かれた花々しか残っちゃいない
ひとはそれを取り、それを捨てる
海が
海草を放り出すように

Mes blessures revivent
À la danse lascive
Des goémons
Dieu comme elle était belle,
Vous souvenez-vous d´elle
Les goémons
Elle avait la langueur
Et le goût et l´odeur
Des goémons
Je pris son innocence
À la sourde cadence 注3
Des goémons
僕の傷はよみがえる
海草たちの
淫乱なダンスで
おお彼女はなんと美しかったか、
おまえたちは彼女を覚えているか
海草どもよ
彼女は海草のような
悩ましさと
味わいと香りをもっていた
僕は彼女の純潔を奪う
海草たちの
沈黙のリズムで

Algues brunes ou rouges
Dessous la vague bougent
Les goémons
Mes amours leur ressemblent
Il n´en reste il me semble
Que goémons
Que des fleurs arrachées
Se mourant comme les
Noirs goémons
Que l´on prend que l´on jette
Comme la mer rejette
Les goémons
さざめく波の下の
褐色のあるいは赤い
海草たち
僕の恋はそれに似ている、
僕には思えるんだ
海草しか
黒い海草のように
死んでいく
引き抜かれた花々しか残っちゃいない
ひとはそれを取り、それを捨てる
海が
海草を放り出すように

[注]
1 goémon(学名:Fucus)は、褐藻類ヒバマタ目ヒバマタ科に分類される海草。肥料にされることが多いが、香辛料やハーブティーやサプリメントとしても用いられる。
2 goémonは生時は褐色だが、乾燥すると黒変する。
3 cadenceは音楽用語で「終止形、カデンツァ」を意味するが、本来は単に「リズム、テンポ」の意味。à la cadence de qc.「…のリズムで」
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