
今回もデュオの曲を。「永遠の愛Une vie d'amour」は、1981年のソ連・フランス・スイス合作の映画「テヘラン43 Téhéran 43」のなかで、シャルル・アズナヴールCharles Aznavourが歌った曲。この第二次大戦秘話的スパイスリラー映画は3時間強の大作で、モスクワ国際映画祭金賞を受賞しました。日本では劇場公開されず、それを大幅にカットして、刑事役として出演したアラン・ドロンAlain Delonの主演作品のように見せかけたビデオが「テヘラン」というタイトルで発売されただけだそうです。
この曲の内容は、映画に描かれているソ連工作員アンドレイとマリーという女性との恋(→歌詞中の画像の二人)に関連するようですが、Georges Garvarentzの曲に、Natalia Konchalovsky がロシア語で作詞し、アズナヴールがフランス語で作詞しました。映画が封切りされた年にフランスで、Téhéran 43と Une vie d'amourの2つのアルバムに収録されました。2004年のAutobiographieというアズナヴールのアルバムにも、アズナヴールがフランス語で歌っているもの、ロシア語で歌っているもの、ミレイユ・マチューMireille Mathieu とデュオでフランス語で歌っているものの3曲が収録されています。ロシア語の題名はВічне коханняで「永遠の愛」という意味。フランス語の題名は「愛の生活」という意味ですが、ロシア語の題名に合わせて邦題を選びました。そしてミレイユ・マチューとのデュオとしてご紹介します。
Une vie d'amour 永遠の愛
Charles Aznavour&Mireille Mathieu
シャルル・アズナヴール&ミレイユ・マチュー
Une vie d'amour
Que l'on s'était jurée
Et que le temps a désarticulée
Jour après jour 注1
Blesse mes pensées
Tant de mots d'amour
En nos cœurs étouffés
Dans un sanglot l'espace d'un baiser 注2
Sont restés sourds 注3
À tout, mais n'ont rien changé
誓い合っていたのに
時が崩してしまった
愛の生活が
来る日も来る日も
僕の心を傷つける
僕たちの心のなかで押し殺された
多くの愛の言葉は
嗚咽のなか 接吻のあいだ
耳を閉ざしたままだった
すべてに、だがなにも変えることはなかった
Car un au revoir 注4
Ne peut être un adieu
Et fou d' espoir
Je m'en remets à Dieu
Pour te revoir
Et te parler encore
Et te jurer encore
なぜなら「また会おう」は
「永遠にさようなら」になるはずもなく
希望に我を忘れ
僕は神に託す
君にまた会い
君にまた話し
君にまた誓うために

Une vie d'amour
Remplie de rires clairs
Un seul chemin
Déchirant nos enfers
Allant plus loin
Que la nuit
La nuit des nuits
明るい笑いに満たされた
愛の生活
ただひとつの道
それは僕たちの地獄をうち破り
夜よりも
もっと先に向かう
夜の中の夜に
Une vie d'amour
Que l'on s'était jurée
Et que le temps a désarticulée
Jour après jour
Blesse mes pensées
Tant de mots d'amour
Que nos cœurs ont criés
De mots tremblés, de larmes soulignées
Dernier recours
De joies désharmonisées 注5
誓い合っていたのに
時が崩してしまった
ひとつの愛の生活が
来る日も来る日も
僕の心を傷つける
震える言葉で、大袈裟な涙で
僕たちの心が叫ぶ
多くの愛の言葉は
調和しない喜びの
最後の手段なのだ
Des aubes en fleurs
Aux crépuscules gris
Tout va, tout meurt
Mais la flamme survit
Dans la chaleur
D'un immortel été
D'un éternel été
花々の咲きそめる夜明けから
灰色のたそがれまでのあいだに
すべては去り、すべては死ぬ
だが炎は生き残る
夏の
永遠の夏の
不滅の夏の 熱をもって

Une vie d'amour
Une vie pour s'aimer
Aveuglément
Jusqu'au souffle dernier 注6
Bon an mal an
Mon amour
T'aimer encore
愛の生活
息を引き取るときまで
盲目的に
愛し合うための生活
いい年も悪い年も
愛する人よ
ふたたび君を愛するために
Et toujours
そしていつまでも
[注] ミレイユ・マチューのパートは赤、アズナヴールのパートは青、二人で歌う部分は黒と色分けしたが、アズナヴールが一人で歌うヴァージョンもあるので、訳語は男性の言葉で表現した。
1 jour après jour「毎日毎日、来る日も来る日も」
2 l'espace de (時間的に)「…の間」
3 sourd à qn.(…を)「聞き入れようとしない」
4 au revoirは、もう会うことがない場合のadieu「さようなら」に対して、また会える場合の「じゃ、またね」という挨拶だが、4行後のPour te revoirに合わせて、「また会おう」とした。
5 désharmonisé=dés+harmonisé
6 dernierは通常は名詞の前に置かれる形容詞だが、例外的に名詞の後に置かれている。この部分は意訳した。
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