2014
09.16

太陽とそよ風の下でDans le soleil et dans le vent

Dans le soleil et dans le vent


今回は、ナナ・ムスクーリNana Mouskouriの「太陽とそよ風の下でDans le soleil et dans le vent」というとても悲しい歌。この原曲はD. Novkovic作のDie alte Mühle und der Windというドイツ語の歌で、フランス語の歌詞はミッシェル・ジュールダンM. Jourdanが書きました。

ナナは1934年にクレタ島で生まれ、3歳の時に家族でアテネに移り住みました。父親は映写技師で、ナチスへの抵抗運動に携わっていました。彼女は生まれつき声帯の膜が一つしかなく、それが並外れた音域の広さを生み出しているといわれますが、6歳ごろから早くも音楽の才能を示し始めました。12歳の時から歌とピアノと和声を学んだあと、16歳のときからアテネの音楽学校でピアノ科と和声科を専攻。1958年に、アルバイトでジャズを歌ったことが学校にばれて退学させられ、オペラ歌手の夢は閉ざされました。

ナナのレコーディング・キャリアはその1958年に始まります。1962年ジョルジュ・ブラッサンスとオランピア劇場で共演。そして1963年にユーロヴィジョン・コンクールのルクセンブルグ代表として出場し、8位となります。その後、世界中でコンサート・ツアーをおこない、世界中をディスクの市場とします。日本には、1974年に初来日し、中野サンプラザでコンサートを開きました。

歌手活動50年のあいだに、売れたアルバムの総数は3億枚。フォルクローレ、ジャズ、ポップ、クラシック(ヴェルディ、モーツアルト)など、さまざまなジャンルにわたる230以上のゴールド、ダイアモンド、プラティナ・ディスクを記録。1550曲以上も録音していますが、それは、フランス語、英語、ギリシャ語、ドイツ語、オランダ語、イタリア語、スペイン語、ポルトガル語、ヘブライ語、ウェールズ語そして日本語など多くの言語にわたります。

また音楽活動のかたわら、EU議会のギリシャ代表として政治活動を行い、また現在もユニセフの親善大使を務め、平和活動に携わっています。

そして、2007年にパリのオペラ座でお別れコンサートを開き、翌08年のHerode Atticus劇場でのお別れコンサートで、活動の幕を閉じました。

ナナはいつもメガネをかけていて、アンジェラ・アキを思い出させます。逆に、アキがナナ風なのかな。私が愛聴するAn Evening With Belafonte/Mouskouriというライブデュオアルバムがありますが、このツアー時のエピソードで、ハリー・ベラフォンテが、舞台上でメガネを掛けないように注意したところ、ナナはメガネは自分の一部であると主張して、これを拒否し、ベラフォンテが折れたそうです。メガネをかけ、身重でオランピアのステージに立ったこともあるとか。

ハーモニカの伴奏が郷愁を誘い、歌詞の意味を思いながら聴くと、つい涙ぐんでしまいます。



ドイツ語



Dans le soleil et dans le vent              太陽とそよ風の下で
Nana Mouskouri                      ナナ・ムスクーリ


C'est presque l'automne
Les enfant moissonnent
Et j'ai déjà
Rentré le bois 注1
Toi, en uniforme
Avec d'autres hommes,
Très loin d'ici
Tu es parti
Toi qui chantais

  秋はもう間近
  子どもたちは刈り入れをする
  私ももう
  薪を取り込んだわ
  あなたは、軍服姿で
  ほかの男たちといっしょに、
  遠いところへと
  出発した
  この歌を歌っていたあなたは

{Refrain:}
Dans le soleil et dans le vent
Tournant les ailes du vieux moulin
Elles tourneront aussi longtemps
Que nous vivrons main dans la main

  陽の光を浴び 風のなか
  古い風車の羽は回る
  僕たちが手を取り合って生きるあいだ
  羽はずっと回るだろう

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Un peu de poussière
Sur la tabatière
Me prouve bien
Que tu es loin
Mais, je crois entendre
Le refrain si tendre
Que l'an dernier
Pour me bercer
Tu me chantais

  煙草入れにうっすら積もった埃で
  私にはよく分かるわ
  あなたは遠いところにいるんだと
  でも、聞こえる気がするの
  去年
  私をなぐさめようと
  あなたが歌ってくれた
  とても優しい歌が

{Refrain}

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Ton ami hier
Est rentré de guerre, 注2
Il n'a rien dit
Mais j'ai compris
En voyant ta chaîne
Ton blouson de laine
Que plus jamais
Tu ne viendrais 注3
Me rechanter.

  あなたのお友だちが昨日
  戦場から帰ってきた、
  彼はなにも言わなかったわ
  でも分かったの
  あなたのチェーンや
  ウールの上着を見て
  もうけっして
  あなたが帰ってきて
  また歌を歌ってくれることはないんだと。

{Refrain}

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Tournent les ailes dans la lumière
Tourne le temps rien n'a changé
Mais dans mon cœur, depuis hier
Le vieux moulin s'est arrêté ...

  陽の光を浴びて羽は回る
  時は巡りなにも変わっていない
  でもわたしの心のなかでは、昨日から
  古い風車は止まってしまった…

[注]
1 rentrerは他動詞で「(外のものを中へ)取り込む」。 le boisは「森」ではなく、「薪」。「森へ帰る」なら、renter au boisとなる。
2 本来ならde la guerre
3 主文のj'ai comprisに時制を一致させるため、未来を表す表現が条件法の形になっている。




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