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2015
09.22

パダム・パダムPadam...padam...

Édith Piaf padam


今回は、エディット・ピアフÉdith Piafの「パダム・パダムPadam...padam...」です。この曲は、ノルベール・グランズベールNorbert Glanzbergが作曲し、そのメロディーをピアフが「パダム、パダム…」と口ずさむのを聴いて、アンリ・コンテHenri Contetが作詞。1951年に創唱、翌52年にADFディスク大賞を受賞しました。

2010年に、パリで「パダム・パダムPadam Padam」というミュージカルの公演がありました。これは、この曲の作曲者グランズベール(1910-2001)の実話にインスピレーションを受けて制作され、この曲のほか、「Mon manège à moi私の回転木馬」イヴ・モンタンYves Montandの「グランブルヴァールLes grands boulevards」など、グランズベールが作曲した曲がいくつも登場しました。



Padam...padam...           パダム・パダム
Édith Piaf               エディット・ピアフ


Cet air qui m’obsède jour et nuit
Cet air n’est pas né d’aujourd’hui
Il vient d’aussi loin que je viens
Traîné par cent mille musiciens
Un jour cet air me rendra folle
Cent fois j’ai voulu dire pourquoi
Mais il m’a coupé la parole
Il parle toujours avant moi
Et sa voix couvre ma voix

  昼も夜も私につきまとうこの旋律
  この旋律はきょうに始まったものじゃない
  それは私が生まれたのと同じくらい昔から
  数多くのミュージシャンに引きずられて来た
  いつかこの旋律が私を狂わせるだろう
  なぜなのと言いたいと何度も思った
  だけどそれは私の言葉をさえぎって
  私に先んじてしゃべり
  その声は私の声を覆い隠してしまう

Padam1.jpg


Padam...padam...padam... 注1
Il arrive en courant derrière moi
Padam...padam...padam...
Il me fait le coup du souviens-toi 注2
Padam...padam...padam...
C’est un air qui me montre du doigt 注3
Et je traîne après moi comme un drôle d’erreur
Cet air qui sait tout par cœur

  パダム…パダム…パダム…
  それは私の背後から走り寄ってくる
  パダム…パダム…パダム…
  忘れるなよと私をつつく
  パダム…パダム…パダム…
  それは私をあざける旋律
  そして私はおかしな失敗みたいに引きずってしまう
  すべてを見通しているこの旋律を

Il dit:“Rappelle-toi tes amours 注4
Rappelle-toi puisque c’est ton tour
’y a pas d’raison pour qu’tu n’pleures pas
Avec tes souvenirs sur les bras...”
Et moi je revois ceux qui restent
Mes vingt ans font battre tambour
Je vois s’entrebattre des gestes
Toute la comédie des amours
Sur cet air qui va toujours

  それは言う「お前のいくつもの恋を思い出せ
  おまえの番なんだから思い出せ
  おまえが泣かないなんて理由はないぜ
  思い出をいっぱい抱えてるくせして…」
  そこで私は自分に残っているものを振り返る
  私の二十歳の青春が太鼓を打つ
  私は殴り合っているしぐさを見る
  いつも鳴り響くこの旋律に乗った
  すべての恋の喜劇を見る

Padam...padam...padam...
Des “je t’aime” de quatorze-juillet
Padam...padam...padam...
Des “toujours” qu’on achète au rabais 注5
Padam...padam...padam...
Des “veux-tu” en voilà par paquets 注6
Et tout ça pour tomber juste au coin d’la rue
Sur l’air qui m’a reconnue

  パダム…パダム…パダム…
  巴里祭のいくつもの「ジュテーム」
  パダム…パダム…パダム…
  楽々手に入れる「いつまでも」
  パダム…パダム…パダム…
  「欲しいだけ」どっさりまとめて
  そしてそれらはぜんぶ街角で降ってくる
  私の馴染みの旋律に乗って

Padam2.jpg





Écoutez le chahut qu’il me fait

  それが私に対して起こす騒ぎを聞いてごらんよ

Comme si tout mon passé défilait 注7

  まるで私の過去が次々に浮かんでくるようだ


Faut garder du chagrin pour après
J’en ai tout un solfège sur cet air qui bat... 注8
Qui bat comme un cœur de bois...

  後々のために悲しみは取っておくべきね
  木の心臓のような音をたてる
  この旋律の音階が私にはぜんぶ分かっている

[注]
1 原題のPadamは擬音語で、パダンと訳されている場合が多いが、ピアフの歌を聴き動画の口の動きを見て、amの音はフランス語特有の鼻母音ではなく、madam「マダム」と同様にパダムと書いたほうが正確であろうと判断した。
2 le coup du souviens-toi つついて「思い出せ」あるいは「覚えておけ」と注意を喚起すること。
3 montre du doigt「指さす、あざける」
4 amourには「恋」と「恋人」の両義がある。ここではどちらともとれるが。
5 au rabais「安売りの、値引きして」
6 en veux-tu en voilà「あり余るほどの、たっぷり」から理解していいだろう。par paquets「いくつかずつまとめて」。
7 défilerには「(糸でつないだものを)ばらばらにする」と「列を作って進む、次々に現れる」の2つの意味があり、ここでは後者であろう。
8 solfègeは、歌詞を用いずドレミファを用いておこなう歌唱訓練。




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