2015
06.25

エッフェル塔の哀歌La complainte de la Tour Eiffel

Mouloudji La complainte de la Tour Eiffel


今回は、ムールージMouloudjiの「エッフェル塔の哀歌La complainte de la Tour Eiffel」(作詞:ギョーム・オノトーGuillaume Honoteau、作曲:ジョルジュ・ヴァン・ペリスGeorges Van Parys、編曲:ミッシェル・ルグランMichel Legrand)です。ギョーム・オノトーが1946年にLa Tour Eiffel qui tue !という戯曲を書き、1949年にその舞台にムールージが出演していますのでその中で歌ったようです。

エッフェル塔は、フランス革命100周年を記念して、1889年にパリで行われた第4回万国博覧会のために建造されました。現在でこそ、エッフェル塔はパリのシンボルとして人々に愛されていますが、当初は、鉄骨丸出しのこの塔に対する世間の反応はかんばしいものではありませんでした。作家のギ・ド・モーパッサンGuy de Maupassantなどは、エッフェル塔1階のレストランによく通った理由として「ここがパリの中で、いまいましいエッフェル塔を見なくてすむ唯一の場所だから」と言い、ここから、「エッフェル塔の嫌いなやつは、エッフェル塔に行け」ということわざが生まれたとか。

この曲は、人々に眉を顰められたエッフェル塔をかばうような内容です。tour「塔」という名詞は女性名詞ですし、この歌詞ではエッフェル塔をひとりの娘に例えています。たしかに、塔の姿は女性の立ち姿にも見えます。そういえば、シャルル・トレネCharles Trenetの「喜びありY'a de la joie」にも、エッフェル塔が、「きちがい女みたいに両脚そろえてセーヌ川をひとまたぎ」するなんて表現がありました。また、エッフェル塔の下はスカートの下といわれます(アラン・スーションAlain Souchonの「女の子のスカートの下Sous les jupes des filles」の記事参照)。


エッフェル塔の建造に関する解説のあと、歌が始まります。



La complainte de la Tour Eiffel   エッフェル塔の哀歌
Mouloudji                  ムールージ


Amis, chantons la complainte de la pauvre Tour Eiffel 注1
Ecoutez sa morne plainte quand le vent souffle du ciel.

  友よ、哀れなエッフェル塔の哀歌を歌おう
  上空を風が吹くとき、彼女の鬱々としたうめき声を聞け。

La complainte de la Tour Eiffel 1


On vient de la mettre au monde, la belle fille au long corps
Et déjà les méchants grondent qu’elle est présage de mort.

  ひとは彼女を世に送り出した、長い体躯の美しい娘を
  そして意地悪な人たちは、彼女は死の前兆だとつぶやいた。

Les uns disent qu’elle perce le ventre de l’éternel
Comme jadis en la Perse faisait la tour de Babel 注2

  ある者たちは言う 彼女は無窮の天の腹を貫いていると
  昔 ペルシャでバベルの塔がやったように

Les autres que son squelette ne fera pas de vieux os 注3
Que les pieds de la pauvrette seront minés par les eaux.

  またほかの者たちは、彼女の骨格は長生きしないだろう
  かわいそうに彼女の脚は水に蝕まれるだろうと言う。

Mais nous qui la trouvons belle, nous défendrons notre tour
Il faut tout donner pour elle, nos bras, nos cœurs, nos amours.

  だが彼女を美しいと思う僕たちは、僕たちの塔を護るんだ
  彼女のためにすべてを捧げねば、僕たちの腕、僕たちの心、僕たちの愛を。

La complainte de la Tour Eiffel 2


[注]
1 「エッフェル塔の嘆き」という邦題が一般的だが、この文脈からもcomplainteは「嘆き」ではなく「哀歌」の意味である。
2 ne pas faire de vieux os「若死にする、長生きしない」
3 tour de Babel「バベルの塔」旧約聖書の「創世記」中に登場する巨大な塔。その昔、人々は同じ言語を用いていたが、天に届こうと巨大な塔を築き始めた人間どもの野心に怒った神が、言語を混乱させて互いの意思の疎通ができないようにさせたため、塔の建設は中断され、人々は世界中に分散したという。




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