
先に取り上げたジュリエット・グレコJuliette Grécoの「愛すことなくSans vous aimer」は、フランソワーズ・サガンFrançoise Saganが作詞した曲でした。今回のグレコの曲はサガンの小説を元にした、1958年のオットー・プレミンジャーOtto Preminger監督の映画「悲しみよこんにちはBonjour tristesse 」の同名の主題曲(作曲:Georges Auric、英語作詞:Arthur Laurents、仏語作詞:Henri Lemarchand / Jacques Datin)。こちらのほうがよく知られていますね。
この映画のヒロインのセシルはコート・ダジュールの別荘で父親といっしょに夏を過ごしていました。そこへやってきた亡き母の友人のアンヌは聡明な女性で、セシルも彼女が好きだったのですが、彼女が父親と再婚することになり、自分の自由な生活が奪われると懸念したセシルはそれを阻止するために計画を企てます。そこに、父親の軽薄な性格や行き違いなども絡み合った結果、アンヌは自動車事故で命を失ってしまいます。そして、セシルと父親の気楽な生活が戻るというところで映画は終わります。
この曲の歌詞は、セシルの自責の気持ちをあらわしたものですが、映画のなかでも主人公たちがダンスをしているシーンで、グレコがこの歌をステージで英語で歌っています。
フランス語の歌唱の既存の動画は→こちらを開いてYouTubeでご覧ください。
ここで直接開けるものを私も作ってみました。映画の映像に音源をつけましたので、グレコの口の動きと歌が合っていませんがあしからず。
Bonjour tristesse 悲しみよこんにちは
Juliette Gréco ジュリエット・グレコ
Depuis qu'on est ensemble 注1
Tu viens chaque matin
Me donner la première caresse
Bonjour tristesse. 注2
いっしょに暮らし始めてこのかた
おまえは毎朝やってくる
わたしに最初の愛撫をしに
悲しみよこんにちは。
Amie qui me ressembles
Tu es le seul miroir
Où je peux contempler ma jeunesse
Bonjour tristesse.
わたしに似た女友達
おまえは わたしが自分の未熟さを映し出して見ることのできる
唯一の鏡
悲しみよこんにちは。

Tu sais le secret de ma peine
Car c'est toi qui l'as bercé
Et s'il faut que je me souvienne
Tu viens poser ta main sur la mienne
Et toi tu n'oublies jamais
おまえはわたしの苦悩の秘密を知っている
だって それを育んだのがおまえなんだから
わたしが思い出さなきゃならないなら
おまえはわたしの手にその手を置きに来る
そしておまえは決して忘れない
Depuis qu'on est ensemble
Tu es mon seul amour 注3
J'ai trop de faiblesse
Pour te quitter
Ma tristesse
いっしょに暮らし始めてこのかた
おまえはわたしのただ一人の愛する人
おまえから離れるには
わたしはあまりにも頼りない
わたしの悲しみよ

Depuis qu'on est ensemble
Tu es mon seul amour
Et j'ai trop de faiblesse
Pour te quitter
Ma tristesse.
いっしょに暮らし始めてこのかた
おまえはわたしのただ一人の愛する人
そして おまえから離れるには
わたしはあまりにも頼りない
わたしの悲しみよ。
[注]
1 être ensemble「一緒に暮らしている、同棲している」
2 tristesseは擬人化され、呼びかけの相手なので、冠詞がない。
3 amourは「愛、恋」が本義で、mon amourは、恋人、妻・夫などの呼称に用いられるが、tristesseは女性名詞で、先にamie「女友達」とも呼んでおり、同性なので「恋人」とはせず「愛する人」とした。
Comment:1
コメント
グレコが亡くなり、悲しい・・・
monsieur ino
2020.09.26 11:54 | 編集
