2015
06.07

セーヌの花Fleur de Seine

Yves Montand Fleur de seine


「セーヌの花Fleur de Seine」は、1901年に、Fernand DisleとEugène Joullotが作詞し、Émile Spencerが作曲し、1870年生まれのガストン・ドナGaston Dona という歌手が歌っていた曲です。1950年には、イヴ・モンタンYves Montandが歌いました。同年にモンタンが歌った「白いバラ(サン・ヴァンサン通り)Rue Saint-Vincent」と歌詞内容がとても似ていて、不遇な身の上で娼婦になったきれいな女の子が死んでしまうというお話です。

ジョルジェット・プラーナGeorgette Plana(別名リキータRiquita)という、モンタンよりちょっと先輩の女性歌手。



モンタンの動画は私が作りました。下記の歌詞はモンタンの名前で出しましたが、1節目を歌っていなくて、ほかの部分も少なからず歌詞を変えて歌っています。



Fleur de Seine              セーヌの花
Yves Montand              イヴ・モンタン


C’était une gosse de dix-huit ans
Venue au monde un soir de déveine,
La gosse n’avait plus de parents
Libre de son dimanche et d’sa semaine
Elle s’en allait d’un air fripon
De Billancourt à Bagatelle, 注1
Le soir elle se couchait sous les ponts
Et la rivière, c’était chez elle

  それは不運な夜にこの世に生まれた
  18歳の子どもでした、
  その子はもう両親もいなくて
  日曜も平日も関係なく
  彼女はお転婆なようすで往来していました
  ビアンクールからバガテルへと、
  夜には彼女は橋の下で寝ました
  川、それは彼女の家だったんです

{Refrain :}
Elle avait un jupon plein d’trous
Elle fréquentait un tas d’voyous
Mais quand elle passait auprès de vous
Avec ses grands yeux noirs et doux
Le jeune homme comme le patriarche 注2
Désireux de l’attendre sous l’arche
Disait "C’est le printemps qui marche"

  彼女は穴だらけのスカートをはいていて
  たくさんの不良たちとつきあっていました
  でも彼女が黒くて色っぽい大きな目をして
  そばを通り過ぎるとき
  立派な身分の若者は
  橋のアーチの下で彼女を待ちたいと欲して
  「この人は歩く春だ」と言うのでした

Fleur de Seine1


Elle était belle comme les amours
Elle avait un cœur de grisette
Mais vagabonder tous les jours
C’n’est pas facile de rester honnête,
Aussi se donna-t-elle sans peur
A Charlot, la terreur de la berge,
Qui lui prit la taille et le cœur
Dans les bosquets d’une vieille auberge

  彼女は恋のように美しく
  小鳥のような心を持っていました
  だが日々放浪する身では
  身持ちよくしているのはやさしいことじゃありません
  それゆえ彼女は恐れもせずに
  河岸の乱暴者であるシャルロに身を捧げたのです
  古い宿屋の植え込みのなかで
  彼は彼女の身も心も奪ったのでした

{Refrain}

A force de passer des nuits 注3
A regarder la lune argentine,
D’avoir des coups de ses ennemies,
Elle s’en alla de la poitrine, 注4
Un soir elle se jeta dans l’eau,
Morte, elle était encore jolie
Elle a fait son dernier dodo 注5
Dans le lit d’la Seine, son amie

  銀色の月を眺めて
  幾夜も過ごし、
  彼女を嫌う者たちに殴られたために、
  胸を痛めて衰弱し、
  ある晩、川に身を投げました
  死んでもなお、彼女はきれいなままでした
  それは彼女の最後の眠りでした
  友であったセーヌの川床での

Fleur de Seine2


On la plaça dans un grand trou
Sans croix, sans nom, comme un toutou
Là-bas, à Pantin, tout au bout 注6
Par un matin de juin si doux,
Seul un rôdeur de rivière
L’ayant accompagnée au cimetière
Disait "C’est le printemps qu’on enterre".

  人々は彼女を大きな穴に安置しました。
  十字架もなく、名前もなく、犬コロのように
  あちらに、パンタン墓地の隅っこに
  穏やかな6月の朝
  川っぺりをうろついていたひとりの男だけが
  墓地までついて来て
  「春を埋葬するんだ」と言ったのでした。

[注]
1 Billancourt「ビヤンクール」はブローニュの森の南にあるコミューン、ブローニュ=ビヤンクールBoulogne-Billancourtであろう。1926年まではブローニュ=シュル=セーヌBoulogne sur Seineと呼ばれていた。Bagatelle「バガテル」はブローニュの森の中心部のバガテル公園le Parc de Bagatelleおよびバガテル城Le château de Bagatelleのことか。
2 patriarche「族長、家長、長老」などの意味の語。
3 A force de + inf.「…したせいで」
4 s’en aller de la poitrineは「肺病で死ぬ」ことを意味する場合があるが、ここでは文脈から、「胸を痛めて衰弱する」くらいの意味。
5 dodo「おねんね」次節のtoutou「わんわん」ともに幼児言葉。
6 Pantin「パンタン」はパリの北東部にあるコミューン。パンタン墓地はパリ近郊で最大級の墓地。



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