
シャンソンのなかでは、バラは、愛や夢や美やステキな生活の象徴として歌われています。「モナミ・ラ・ローズMon amie la rose」では、バラは「はかなさ」の象徴。この曲は、セシル・コーリエ Cécile Caulierの作詞、Cécile Caulierとジャック・ラコンブJacques Lacombeの作曲で、フランソワーズ・アルディーFrançoise Hardy が1964年に歌って彼女の代表曲となり、同名のアルバムに収録されています。「バラのほほえみ」という邦題でも知られています。
また、1999年に、アラビア系のポップスにアレンジしたものを、ナターシャ・アトラスNatacha Atlasが歌い、彼女の3枚目のアルバムGedidaに収録されています。ナターシャは、モロッコ人の父と、イスラム教徒のイギリス人の母の間にベルギーで生まれた歌手。
ナターシャの歌っている動画を選びましたが、音量が小さいので加減してお聴きください。非常におもしろいアレンジです。
Mon amie la rose モナミ・ラ・ローズ
Françoise Hardy フランソワーズ・アルディー
On est bien peu de chose 注1
Et mon amie la rose me l'a dit ce matin 注2
A l'aurore je suis née, baptisée de rosée 注3
Je me suis épanouie
Heureuse et amoureuse
Au rayon du soleil
はかないものよ
私の友だちのバラは今朝私にこう言った
夜明けに私は生まれ、露の洗礼を受け
私は咲いたわ
しあわせな気持ちで 恋していたの
太陽の光に

Je me suis fermée la nuit
Me suis reveillée vieillie
Pourtant j'etais très belle
Oui j'etais la plus belle
Des fleurs de ton jardin
夜になると私は閉じて
目覚めたら年老いていたわ
でも私はとても美しかった
ええ一番美しかったのよ
あなたの庭の花々のうちで
On est bien peu de chose
Et mon amie la rose me l'a dit ce matin
Vois le dieu qui m'a faite
M'a fait courber la tête
はかないものよ
私の友だちのバラは今朝私にこう言った
見てよ 私を作った神さまが
私のこうべを垂れさせるの
Et je sens que je tombe
Et je sens que je tombe
Mon coeur est presque nu
J'ai le pied dans la tombe
Déjà je ne suis plus 注4
Tu m'admirais que hier et je serais poussière 注5
Pour toujours demain.
私は倒れそうよ
私は倒れそうよ
心臓はほとんどむき出しだし
片足はお墓のなか
もう私は生きていないわ
あなたは昨日だけ私に見とれてくれた でも私は塵になるのよ
明日は永遠に。

On est bien peu de chose
Et mon amie la rose est morte ce matin
La lune cette nuit, a veillé mon amie
Moi en rêve j'ai vu 注6
Eblouissante et nue 注7
Son âme qui dansait
Bien au délà des nues 注8
Et qui me souriait
はかないものよ
私の友だちのバラは今朝死んだ
今夜は月が、私の友だちの通夜をしてくれたわ
私は夢のなかで見た
まばゆく輝き裸で
彼女の魂が
雲の彼方で
踊っているのを
そして私に微笑みかけているのを
Croit celui qui peut croire 注9
Moi j'ai besoin d'espoir
Sinon je ne suis rien
Ou bien si peu de chose
C'est mon amie la rose
Qui l'a dit hier matin.
信じられる人は信じるわ
私 私には希望が必要よ
さもなきゃ 私はなんでもないもの
もしくはとてもはかないもの
わたしの友だちのバラよ
昨日の朝そう言ったのは。
[注]
1 choseは不定代名詞として「わずかなもの、取るに足りないもの」。peu de chose全体でも同様の意味。onは、不特定な存在。「私」ととらえてもいいが、あえて主語をつけずに訳した。
2 la roseはmon amieと同格のため、定冠詞がついている。me l'a ditのleは前行の内容であることが、最後の節で明瞭になる。
3 roséeここでは名詞で「露」だが、「バラ色の」という意味の形容詞の女性形と同じ綴り。
4 êtreは、「存在する、生きている」の意味。
5 qu’hierとしないのは、queを強調するためか。
6 j'ai vuの目的語は、2行あとのson âme。
7 éblouissante et nueは挿入され、son âmeを形容している。
8 au délà de「…の向こうに」。nue=nuage「雲」、常に複数形で用いられる。
9 croitの主語はcelui
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