2015
05.28

兵隊が戦争に行くときQuand un soldat

Francis Lemarque Quand un soldat


「兵隊が戦争に行くときQuand un soldat」をフランシス・ルマルクFrancis Lemarqueが作詞・作曲したのは第2次大戦後の1952年で、ちょうど第1次インドシナ戦争のさなか。
ウィキペディアによると、手榴弾や小型地雷や罠で手足を切断され、ゲリラ容疑の村民を殺傷する掃討作戦によって身体と精神に障害を負い帰国した若い兵士の姿に、フランス本国は大きな衝撃を受けて、1949年に本国軍徴集兵の海外派遣を禁止する法律が制定され、その後は、フランス人志願兵と外人部隊兵戦地に赴くこととなったそうです。8年間の戦争で、フランス軍は7万5000人、フランス軍以外のフランス連合軍は1万9000人が戦死し、7万8000人が負傷。ベトミン側は兵士50万人の死傷者と25万人の民間人戦死者を出したとのこと。
あきらかに戦争を批判する意図をもったこの歌は、士気にかかわるということで放送が禁止されました。1954年のボリス・ヴィアンBoris Vianの「脱走兵Le déserteur」と同様のお話。フランシス・ルマルクは本来、「小さな靴屋さんLe petit cordonnier」や、「蛙La grenouille (Fais un voeu)」「パリのバラードBallade de Paris」などのように庶民の心を歌う詩人。この歌は、創唱したイブ・モンタンの代表作の一つともなりました。

その後、フランシス・ルマルクは1981年にアカデミー・シャルル=クロL'Académie Charles-Crosのシャンソン・フランセーズのグランプリを受賞。また、1992年には、レジョン・ドヌール勲章Chevalier de la Légion d'honneurを授けられました。



イヴ・モンタン



シャンソン・プリュ・ビフリュオレChanson Plus Bifluoréeという4人組のグループの歌。4人とも歌うし楽器も演奏します。この曲は、1991年に出した彼らの最初のアルバムChanson plus bifluorée À l'Européenに収録されています。



Quand un soldat             兵隊が戦争に行くとき
Francis Lemarque            フランシス・ルマルク


Fleur au fusil tambour battant il va 注1
Il a vingt ans un cœur d'amant qui bat
Un adjudant pour surveiller ses pas
Et son barda contre ses flancs qui bat
Quand un soldat s'en va-t-en guerre il a
Dans sa musette son bâton d'maréchal 注2
Quand un soldat revient de guerre il a
Dans sa musette un peu de linge sale

  銃口に花挿し太鼓の音に合わせ彼は行く
  彼は二十歳 恋する胸はときめき
  ひとりの曹長が彼の歩みを見守り
  装具は横っ腹にバタバタ当たる
  兵隊が戦争に行くとき 彼は持っている
  鞄のなかに 昇進の希望を
  兵隊が戦争から帰るとき 彼は持っている
  鞄のなかに 汚れた下着をちょっとばかり

Quand un soldat1


Partir pour mourir un peu 注3
A la guerre à la guerre
C'est un drôle de petit jeu 注4
Qui n'va guère aux amoureux
Pourtant c'est presque toujours 注5
Quand revient l'été
Qu'il faut s'en aller
Le ciel regarde partir
Ceux qui vont mourir
Au pas cadencé 注6
Des hommes il en faut toujours 注7
Car la guerre car la guerre
Se fout des serments d'amour 注8
Elle n'aime que l'son du tambour

  ちょっとばかり死んだ気分になりに行く
  戦いに 戦いに
  それは 恋に陥ったりまではしない
  軽いお遊びさ
  だけど たいてい
  また夏が来たら
  行かなきゃならない
  歩調を合わせて
  死にに行くやつらの
  出発を 空が見守る
  男たちには常に定めなんだ
  なぜなら戦争は なぜなら戦争は
  愛の誓いなんて馬鹿にするから
  戦争は太鼓の音しか愛さない

Quand un soldat2


Quand un soldat s'en va-t-en guerre il a
Des tas de chansons et des fleurs sous ses pas 注9
Quand un soldat revient de guerre il a
Simplement eu d'la veine et puis voilà... 注10

  兵隊が戦争に行くとき
  たくさんの歌や花を踏みつけて行く
  兵隊が戦争から帰るとき
  ただ運がよかったってだけ それだけさ

[注] この曲は特に脚韻の効果に注目したい。
1 tambour battant「太鼓を鳴らして、てきぱきと、ぴしぴしと」
2 bâton d'maréchal「元帥杖、(到達)しうる最高の位」。avoir son bâton d'maréchal dans sa giberne「一兵卒でも(努力次第では)高い位に就くことができる」という成句からの表現。
3 mourir un peutと次行のla guerreは、3,4行目にある「恋に陥ったりまではしない軽いお遊び」、すなわち休暇中の女性関係のことを、実際の戦争で死ぬことに近づけて表現している。
4 un drôle de=bizarre「滑稽な、奇妙な」
5 c'estは2行あとのqu'il faut…を予示。
6 (marcher) au pas cadencé「歩調を合わせて(歩く)」
7 il (me,te,…) faut…「(…には)…が必要だ」の表現で、en =des hommes。この節の7行目のil fautを引き継いでいる。
8 se foutre de「…を馬鹿にする」
9 des tas de=beaucoup de「たくさんの」
10 avoir de la veine= être en veine「運がいい」という俗語。veine「静脈」は、心臓への血液の戻りを象徴し、verser son sang pour la patrie「祖国のために血を流す」という表現に対抗してこの歌詞を用いていることが重要である。et puis voilà=et puis c’est tout「ただそれだけである」。




コメント
管理者にだけ表示を許可する
 
back-to-top