
前回に続き、この季節に相応しい曲をもうひとつご紹介しましょう。
ジュリエット・グレコ Juliette Grécoが「比べものがないほど強い歌だ」と評している「愛すことなくSans vous aimer」です。
作家のフランソワーズ・サガンFrançoise Saganがグレコ に4曲のシャンソンの歌詞を捧げました。それらは、1957年に、「ジュリエット・グレコ、フランソワーズ・サガンを歌うJuliette Gréco Chante Françoise Sagan」というアルバムに収録されました。そのうちの1曲です。作曲はミッシェル・マニュMichel Magne。
なお、サガンの小説をもとにした映画の主題曲、グレコの歌う「悲しみよこんにちはBonjour Tristesse」は近々取り上げます。
私はこの曲にとても惹かれます。朝目覚めるときにふと歌詞が心に浮かんでくるほどに…。1年くらいはかける覚悟で取り組んでみたいと思います。
Sans vous aimer 愛すことなく
Juliette Gréco ジュリエット・グレコ
Sans vous aimer
Sans l’avoir jamais pu
Je m’en vais oublier cet été
Vous et l’été
À jamais disparus
Leur mémoire va bientôt s’effacer
あなたを愛すことなく
それがけっしてできないまま
わたしはこの夏を忘れていく
永遠に過ぎ去った
あなたと夏
その想い出はまもなく消えゆく

{Refrain:}
Tes mots du soleil
Et tes mots de la nuit
Reviennent assourdis
Et l’automne en sourit
Toujours, toujours
Je n’aime que toi
Prends-moi, prends-moi
Prends-moi dans tes bras
Je n’aime que toi
Ne me quitte pas
陽の光に満ちたあなたの言葉
そしてあなたの夜の言葉が
かすかによみがえる
そして秋はそれをあざ笑う
いつまでも、いつまでも
わたしはあなたしか愛さない
抱いて、抱いて
抱いてあなたの腕のなかに
わたしはあなたしか愛さない
行かないで
Sans vous aimer
Je suis seule et déçue
Vous m’aimiez, et l’été me brûlait
Et dans l’allée
Où l’hiver revenu
Me fait trop ces brûlures regretter
あなたを愛すことなく
わたしはひとりぼっちで沈み込む
あなたはわたしを愛し、夏はわたしを焦がした
そして小径におとずれた冬は
かつての火傷を悔やませた

{au Refrain}
Sans vous aimer
Je n’ai jamais rien cru
De ces mots, de vos lents baisers
Et si jamais votre cœur l’eut voulu
Oubliez, oubliez cet été
あなたを愛すことなく
あなたの言葉も、あなたの長い口づけも
わたしはけっして信じなかった
だからあなたの心がかつてそれを望んだのだとしても
忘れて、この夏を忘れて
{au Refrain}

3枚の写真は、サガンとグレコ
[注] タイトルのSans vous aimerは「契らず」にという邦題がもともと付けられていた。言葉の響きがいいので、最初それに引きずられて訳したが、aimerの本義に立ち戻り、訳し直した。心を開くことができなかったのだと解釈し直して。
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