
今回は、ピエール・ルーキPierre Loukiが作った「イワシたちLes sardines」というユニークな曲です。1963年のアルバム:Pierre Loukiに収録されています。
パリの地下鉄にギュウギュウ詰めになっている人々を缶詰のオイルサーディンにたとえた歌詞で、アルゼンチン・タンゴ風のメロディーがおしゃれです。
私はこの曲を、クレール・エルジエールClaire Elzièreのアルバム:「パリ、愛の歌 第2楽章~永遠のシャンソン名曲集~Chansons d’amour de Paris le seconde mouvement」で知りました。彼女の歌はとてもステキですが、動画は見つかりません。いつか暇ができたら私がアップしましょう。
Les sardines イワシたち
Pierre Louki ピエール・ルーキ
Si l'on pouvait desserrer les sardines,
Si l'on pouvait enfin leur éviter, 注1
D'avoir le cou aux pieds de la voisine,
Et du fer blanc à chaque extrémité, 注2
Elles pourraient, dans l'huile parfumée,
Remuer la queue, ne serait-ce qu'une fois,
En chantant "Sur la mer calmée", 注3
Chez l'épicier y aurait d' la joie !
イワシたちを解放してやれたなら、
首が隣のイワシの足元に
そして体の末端がブリキ缶の壁に
てな状況を免れさせてやれたなら
イワシたちは香りの良い油に浸って、
「ある晴れた日に」を歌いながら、
一度だけだとしても、尾びれを動かせるだろう、
食料品店は喜びであふれるだろう!

{Refrain:}
La santé,
Ça n'a pas de prix,
Donnez de l'air,
De l'air aux sardines.
La santé,
Ça n'a pas de prix,
Donnez de l'air,
Aérez Paris.
健康
それは値段がつけられない。
外気を与えてよ、
外気をイワシたちに
健康
それは値段がつけられない。
外気を与えてよ、
パリに風を入れてよ
Si l'on pouvait desserrer les sardines,
Si l'on pouvait écarter les harengs, 注4
On ferait bien, pour qu'ils aient meilleure mine, 注5
D' les renvoyer à la mer un moment.
Par le ministre une loi rédigée,
Ordonnerait, de ne plus les serrer,
De faire la surface corrigée,
Tant de sardines au mètre carré.
イワシたちを開放してやれたなら、
ニシンたちの間隔を空けてやれたなら、
彼らの血色がよくなるよう、
ひととき海に帰してやるといいだろう。
大臣によって制定された法律が、
もう彼らをギューギュー詰めにしないよう、
面積を修正するように命ずるだろう、
たくさんのイワシたちを1平米になんて。

{au Refrain}
Si l'on pouvait desserrer les sardines
Dans le métro, quelle révolution ! 注6
Quel réconfort pour les fortes poitrines 注7
Et quel confort d' l'Étoile à la Nation !
Sardines à l'huile ou bien aux aromates,
Gens de Pantin ou bien gens de Puteaux,
Ne vous laissez plus mettre en boîte,
Tous avec moi, chantez plutôt.
イワシたちを解放してやれたなら、
メトロのなかは、大革命だ!
豊かなバストは大いにもてはやされ
エトワールからナションの路線は大いに快適になる!
オイルサーディンであれスパイス効かせたイワシであれ、
パンタンの人たちであれピュトーの人たちであれ、
もう缶のなかに詰め込んじゃいけないよ、
みんな、ボクといっしょに歌おうよ。

{au Refrain}
[注]
1 éviter à qn. de+inf.「…に…することをを免れさせる」
2 fer blanc「ブリキ」
3 Sur la mer calmée「静かな海の上で」の意味だが、プッチーニPucciniのオペラ「蝶々夫人Madama Butterfly」の劇中歌「ある晴れた日にUn bel dì,vedremo」のフランス語版のタイトル。
4 être serré comme des harengs (dans une caque)「(樽に詰められた)ニシンのように、ぎっしり詰まっている、すし詰めである」という言い回しがある。
5 faire bien+de inf.「…するのがよい、適切である」
6 quel(le)が繰り返されるが、感嘆の意味。
7 forte poitrine「厚い胸、豊かな胸」

オイルサーディンの缶詰のイワシたちはかわいそう
首が隣のイワシの尾っぽにくっついたまま、缶のなかにギュウギュウ詰めや
なんとかしたらにゃあかん
なんちゅうても健康が一番や
息をつかせてやろう
鰭を動かせるようにしてやろう
いっそ海で泳がしてやろう
満員電車に押し込められた人間たちもおんなじや
オッパイがでかすぎても肩身の狭い思いをせんで済むようにしょう
すきまをあけよう
ゆとりを持とう
パリに風を通そう
そんでみんなで歌おう、このイワシの歌を!
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